{引用=八月の月で海鳴り
それでも僕らは響く波音を知っていた}
僕は今、紺碧の{ルビ海=マーレ}を閉じ込めた窓辺から
君に宛ててこの手紙を書いている
{ルビ ....
むかし
一年に一度しか逢えない
ひこぼしとおりひめは
可哀想だとおもった
いま
一年に一度必ず逢える
ひこぼしとおりひめを
うらやましいとおもう
何故かホームレスは街に棲む
しょざいなげに地下道に
初夏の花咲く公園に彼らは居る
両手いっぱいに袋を下げて
おきまりのレゲエ状態のヘアスタイル
かの国でも何故か彼らは
ショッピングバックを ....
イーサ・ダラワの七月の浜辺には
遠い国の浜辺から
いつのまにやら波が攫った
いくつもの言葉が流れ着く
嵐の後にそれを集めて歩くのが
灯台守のワロの ....
やさしさの
形は何かと尋ねたら
君は丸だと答えたね
金柑蜜柑夏蜜柑
すこやかに香り
夕暮れの
色は何かと尋ねたら
君はまっすぐ指差して
....
朝の空気がこんなにきれいだから
きみは生きていていい
:
神様が歌っているから
朝焼きたてのパンを買いに行こう
ラウラ、ラウラ、ラウディ
:
神様の歌はとてもシンプル
きみは生きていて ....
もし世界が 黙るのならば
わたしは うたおうとおもう
そのくらいしなければ わたしは
この世界では 生きていけない
もし目を瞑っているのに 気づいたならば
できるなら 目を開けたほうがい ....
手をつないで
蛍を見に行ったのだけど
あまりにも きみどりの光が舞うから
僕は天地を失いそうになって
繋いだ手を
ぎゅっと握ったのです
そうすると
君もぎゅっと握ってきたので ....
半歩、まえをゆく
あなたは
鳥の巣を見たいという
つゆの前日
うすみどりのかぜが
わたしたちのあいだをゆききする
わたしの部屋へ ゆくみち
みみを澄ます
ゆるい
花火
....
感性に年齢は関係ないか。
と、聞かれたら。やはり「関係はある」と答えてしまうだろう。
まだ10代前半の頃、詩(のようなもの)に興味を持ち、作品と言えるほどではないにしても、走り書きのよ ....
コンクリートの丸いもようは、踏んじゃだめよ
って、
しあわせになれないから
って、
きみが言ったとき
さっき
二度ほど踏んでしまったぼくは
ちょっと泣きそうになって、あわてて
声をだし ....
不自由なりの自由を不自由というひとは
はやく
不自由になればいいとおもう
無責任なりの責任を無責任というひとは
逃げ出して
帰ってこなければいいとおもう
どうせひととして
為せ ....
満天の星の下で
優雅に飛び交う蛍たち
手のひらに降りてきた光
そっと抱きしめる
静と動!
遠と近!
悠久と一瞬!
異質の小さな光たちは
それでも絶妙のコラボレーションで
....
もう少し冬でいてと
あなたは春に
すがりついている
どうやら
夏はあなたを太陽と
間違えているが
後ろを向く間に
秋だった
落ちるのはあなたに似ているようで
忘れているうちに
白い ....
私は花にはなれなくて
私は花を見るだけで
羨ましげに茎の影から
陽にあたるその透けた花弁を
雨粒が伝うその雌しべを
蝶に奪われゆくその蜜を
私の憧憬への軽い蔑視を
ああ 蝶よ
....
嵐の日にカンパーナが遠くでないている
そんなに悲しい声でなくのはやめてくれ
森が揺れているよ
悲しい悲しいと、
カンパーナ
誰もおまえの森を奪いはしないのに
....
ひとが死んだ
そして
その後にひとは
死んだひとをまたころしている
もう血も流れないから
ひとはなみだを流せないのか
そうやって
いちど死んだひとのいのちを
にどもさんども ....
母に
「おまえよりおとうとのほうがかわいい」と
言われた
ようやく10年後
家を出れた
わからなかった
母も人だということが
家族という塊を抜けたいま
いたいけれど わかる ....
星の夜には
空から銀糸が降りてくるという幻想を持って
今は亡き
あの人と、あの人と、あの人と、あの子 と
日記のような会話をします。
瞬いた先から、雫が玉のように伝わって
....
奴らは風に揺れているんじゃない
あのギザギザの牙を剥き
風を食らっているんだ
やがて奴らの揺れが止まるのは
周りの風を食い尽くしたからだ
風だけでは満足できずに
不用意に摘み取る指を
虎視眈眈と欲して
夕暮れの空に飛行機が消えて4000秒後
あの大都会がすっぽりとあなたを飲み込んでしまった
あなたがそこに飛び込んだ瞬間
無関係だった街が暖色の光を帯びて心に浮かび上がり
あなたがそこに ....
仕事をやめたいやめたいと毎日泣きそうな顔で
働いているCさんは
今年で勤続十年表彰されて金一封
旦那と別れたい別れたいと
言いつづけたHちゃんは
第二子ご懐妊つわりも軽く順調
親な ....
悠久の時を越えて来るものは
優しい光りとなり
波に木霊する
ひとつひとつが七色に輝きながら
押し寄せてまた戻る
百年も千年も波の旅と恋が始る
煌きは風と渡り
....
縮こまった 手と足を
ゆっくり 伸ばしてみる
卯月の 空へ
ドアを 開けて
ゆっくり ゆっくり
歩き出してみる
季節を感じて 蒼い風に乗る
....
空の果ての底の底には
自動販売機があるから
想像力をぶち壊して
一緒に
珈琲を飲もうよ
旅立つなんてなんて無理
今旅の途中だからさ
でも本当は
そんなこと言えない位
空の果て ....
物干し竿に吊したシャツが
風を孕んでくるりくるり
くる くる
掴んでる洗濯バサミは
一生懸命!!
※ 洗濯バサミは今日も健気 ....
青空に
ふとキリンが
浮いている
なんという
虚ろな空なのだ
ああ青空
縞模様を辿ってついにここまで来ました
ここまで来た
ふと
振り返るキリンの眼には
何も映らな ....
おまえが
私を挫折させるものだとは
知らなかった
かつて
あの公園にいたおまえは
空と海と大地を知っていて
私は知らなかったから
だから
知りたかっただけ
もしまた会えるとき ....
キッチンをピカピカにして良い女演じて見せる吾にウインク
「待ってるよ」その一言にスロープを心が先に駆け下りて行く
其処からも「ちがねえだろ」君の言う我は其処から違う距離有り
本棚に並 ....
あなたは届いたり
届かなかったり
する
ふゆのなかでは
わたしはあなたにもぐり込んだり
息をとめたり とめなかったり
する
わたしは海のように
いくつもの約束を
忘れたり
....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11