金曜の星夜 土曜の月夜
千月 話子
星の夜には
空から銀糸が降りてくるという幻想を持って
今は亡き
あの人と、あの人と、あの人と、あの子 と
日記のような会話をします。
瞬いた先から、雫が玉のように伝わって
濡れている花の夜露が
ふるふる と震え答える
ささやかな囁き。
明日の日付をまだ書かないのは
星の夜、星無しの夜
靴を放った占いの
半端な縦置き 曇り空で
毎日がきらきら しているわけじゃない
という真実が
今は、少し煩わしいのです。
たとえば、南の空を掬って落ちる塵糸に
星が紛れて さらさらと
白いノートに模様を付ける
そんな会話を金曜の夜 出来そうな気がして
夜明けまで、あと1時間
まだ眠れそうにありません。
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月の夜には
空から青い鳥が、降る舞い散るという幻想を持って
光る私は
あの人と、あの人と、あの人と、あの子 と
移ろうような会話をします。
指先から、浮かぶ羽音が伝わって
鳴いている音階が
ぴちぴち と踊り答える
片足の着地。
受け取った言葉にすぐ返事をしないのは
月の夜、月無しの夜
変わり行く 上弦下弦の満ち欠けに
綺麗にはまれぬ不器用な心で
毎日がうつうつ している訳じゃない
という 素直さが
今は少し救いです。
たとえば、月の裏側で
眠る誰かの静かな寝息を掴まえた
青い小鳥が くるくる廻り
そっと落とした夢の絵画を
受け止めた掌なぞる 同じあなたと
そんな会話を 土曜の夜
出来そうな気がして
夜明けまで、あと1時間
輝きが増すばかりです。
希望が生まれる 金曜の星夜
平和が生まれる 土曜の月夜
どんな時も と願います。