どうしたら此処から翔べるのか
そればかり考えていて
けっきょく何処にも翔べなかった
次々と羽化する蝶たちを
横目で見ながら
葉陰に守られて留まって
安穏
すがるような言葉 ....
ある日の夕方
ポチは神妙な顔をして
私の前におすわりをして
喋りはじめた
ねぇ。
ボクはずっと前から考えていたのだけど
どうして人は平気で人を傷つけたり
いがみ合ってみたり
....
知らない
し
暑くもない
し
ちょっとだけ寒かったりする
あ
初めまして
わたしは
あれ
誰でしたっけ?
夏の果てに棲むという
或いは大きな口をひらけて
あれは ....
一日終わる 堕天使達の
かくも短き 一夜の宴
折れた翼を 探しつつ
心の氷 溶けざらん
旨き肴と 旨き水
膳に集いし 一時や
心に羽根が 生まれる如く
話し弾 ....
銀色の雨が降り出し
夏、恋も。
The end...もう、傘もいらない
温めたミルクに溶かす甘さなら君のいない夜に忘れたよ
綺麗な色を並べるの ....
それを見つけたのはもう随分昔です
早口言葉みたいに呪文みたいにお経みたいに
聞き取れないような音で速さで
青で赤で黄で鮮やかな色彩で時に真っ黒で
真っ直ぐに進んで行きました
....
このひと だれよ
じいちゃんの にいさんだぢだ
五人兄弟だったのも
三人は 戦争さ いって 死んだんだ
ほら もうひとりの おじさんは かえってきて
そこで 店っこやってるべ
じいちゃ ....
一点の翳りも見えぬ空の下白さを競う百合とTシャツ
軒下でチリリと唄うびーどろは風に撫でられ恋を煩う
結い上げた髪にかんざし挿してみる すこし淫らなおんなを気取る
誰がため ....
もう いいかい。
もう いいよ。
草にまけるかと思った
あんまりにも長いあいだ かくれていたから
風が強く吹くたびに私の肌は傷ついた
動くことはできない
みつかってしま ....
ぼくらはあまりにも醜いから
醜いから誰かに会うことが恐くて
となりの惑星にさえまだ行く勇気がない
そんな醜いぼくらのせめてもの救いは
この星にうたがあるってことだ
どこを捜しても どこを ....
わたしはあなたの声の中に家を建て
夏の風をちょっと吹き入れて
声を聞きながら
寝そべっている
わたしに用事はなかったのですが
あなたの方で用事があるらしく
声色をぴんと伸ばして
いそ ....
暗闇の中に、
わたしはあなたの
横顔を探したい
満たされて静かに微笑む
十六番目の月のように
もういいのだと言った
あなたの横顔を、
....
会社に行ったら
がむしゃらに
仕事をこなして
家に帰ったら
絶え間ない雑用を
次々に片付けて
外に出たら
ボランティアで
誰かのために汗を流して
それでも
時間が余りそ ....
生活習慣よりも、性格習慣を変えましょう!。
僕は欲望と言う名の宅配便で
君の食卓に差し出されたタマネギ。
だから、君の良く手入れをした
ぞくぞくするほどに
ネイルアートが良く似合う、
白くて長い指先で
薄皮を剥がされてみたい。
....
何年かぶりに
虫歯がひどく痛む夜
でも
この感覚っていい感じって
生まれて初めて考える
ズキズキ歯痛に
全神経が集中するから
今夜は
久しぶりに
心の芯が痛まない
とおくから まよなか が くる
いとまき あなた の きら の なか
せんの とおり を こえましょか
とおいひび まよなか が なく
からくり あなた の ゆめ の くち
せん ....
紅さし指で
この唇をなぞっておくれ
宵をにぎわす祭りの夜に
提灯ゆらり
光はたぶんに
正しいものだけ捕まえる
ほら
燃える可憐な蛾がひとつ
短命ながらも風情をもって ....
おばあさん たべねば だめだ
見舞いにきた人が
そう 励ましてから
おばあさんの 体調は悪化した
食べれねぐなったがら もうだめだ
と 急に思いつめたらしい
看護婦さんがみかね ....
つきつち とぼとぼ
昇りかけた 爪の背
赤い雪 閉じた 街
散り散り 夏夜 宴
噛まずに 飲み込む
にぎやかな 靴の音
切り揃えた髪 だけ
しゃがむ 横断歩道
まず考えなければならないのは、このフォーラムも官警により管理されている(若しくは、
される危険性がある)という事、そして、その事により管理者である片野さんにご迷惑を
おかけする可能性が多分にあると ....
オレンジ色の光が長い影を作って
ひび割れたアスファルトに 残る
赤いランドセルが自慢
こんなに綺麗に使っていたのは私だけだったから
なのに もうこんなに汚れてしまったのね
引っ掻 ....
どこかで風の止む音がしたの
走っていってみたけれど間に合わなかった
私の花園で赤い花が咲くことはもう無いでしょう
どこかで水の零れる音がしたの
走っていってみたけれど間に合わなかっ ....
小声で呼ばれて小声で教えられた
(左左、ミミズが傘を差してる)
顔を向けようとして止められた
(向いたら気づかれる)
目の端っこで何とか見る
確かに紫色のミミ ....
私小説というものがほぼ死に絶え、小説はエンタテイメントとして書かれ・読まれ・消費されるものになって久しい。それに対して、詩というものは、未だに“私詩”とでも呼ぶべきものが大半を占めているように思える。 ....
空ばかり見ていたからあなたは空になった
わたしからはもう届きようがないからわたしは空ばかり見てる
空に伸びる道が世界にひとつだけあるとしたらその道のその名前は「少女」
空ばかり見ているけれど少女 ....
予約していたのは
ありふれた ごくごく簡素なホテル
チェックインし 渡された鍵は1547号
けれど15階の何処にも
47号室は見当たらず
フロントにとって返して尋ねると
ああ 失礼しま ....
風の便りに聞いたんだけどさあ
20年も筆を折ったままだったおまえが
またぞろ詩を書いているんだってね
どうゆう風の吹き回しだか知らないけど
本棚一杯の現代詩手帳やユリイカ
荒川洋治やら訳 ....
夏のことをよく知っている人がいて
その人は
例えば緑の葉っぱを重ねたような人で
ときどき
鮮やかな花を咲かせていたりする
ただ画家がその人の絵を
描こうとするとき
その人は
たちま ....
魂の一粒を失ったひ
そらがうみを吸収した
愛したそらも愛したうみも
愛の意味も変わり果てたのに
同じ青だけで泣いているのか
魂の一粒をうしなったひ
夜と朝とが入れ替わった
流れ いき ....
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