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赤いカケラが私の喉に
意地悪くつっかえて
声の出口を奪うのです
飲み落とそうと溢れる唾液は
それも叶わず流れ落ちる
カケラから甘酸っぱさを吸い取りながら
透き通った{ルビ黄金=きん ....
私は花にはなれなくて
私は花を見るだけで
羨ましげに茎の影から
陽にあたるその透けた花弁を
雨粒が伝うその雌しべを
蝶に奪われゆくその蜜を
私の憧憬への軽い蔑視を
ああ 蝶よ
....
奴らは風に揺れているんじゃない
あのギザギザの牙を剥き
風を食らっているんだ
やがて奴らの揺れが止まるのは
周りの風を食い尽くしたからだ
風だけでは満足できずに
不用意に摘み取る指を
虎視眈眈と欲して