無い心
しらいし いちみ 

キッチンをピカピカにして良い女演じて見せる吾にウインク

「待ってるよ」その一言にスロープを心が先に駆け下りて行く

其処からも「ちがねえだろ」君の言う我は其処から違う距離有り

本棚に並びておりぬ一冊に我が手を待つ愛おしさかな

次に飛ぶそのひとひらをチューリップ真上向きつつ待ち侘びている

水槽の歪み見つけて心をば重ね合わせる深夜零時に

頬撫でて心地良きかな立ち尽くし誰も呼ばない夜風と二人

出来るなら消しゴム一個とえんぴつと消してまた書く心の模様

雨音の調べに乗せて今日の朝洗い流せし我も罪の子

走るなら君と同じスピードで少し景色も見えてゆっくり


短歌 無い心 Copyright しらいし いちみ  2005-03-09 11:26:45
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