すべてのおすすめ
太陽は酒屋と薬屋の間に落ちてゆく
毎日毎日、同じ場所。
向かいの絨毯屋の主人が
店先に出て夕日を見ている
交差点でとおりゃんせが
弱弱しく流れる
売れ残りの飴を ....
アンダルシアが死んで 20日経った
とても短い生涯だった
アンダルシア
今度は何処へ行くつもり
一つだけ買ったパンを 二人で分けて
アンダルシアの贖罪だって 笑った
アンダルシ ....
終わりだ
と思っても
まだまんなかだったりする
ずるいよ、世界は
球形なんだ
トップもない
ビリもない
ただ人々は
人々のまんなかに
いるだけ
嗚呼、
世界のつぎ ....
これから、お出かけ
終りに出来ないの
生きることは
終りに出来ないの
私が言った
命を授かった時からとは言わない
失ってから知った
いかること
かなしむこと
よろこび
わら ....
宣告を受けた日
私たちは意外なほど冷静だった
それはおそらく
屈強な父の姿には癌という病名が
あまりにも似つかわしくなかったからで
父はいつもの如く寡黙だったし
私 ....
空の際を白くフリンジしている
入道雲はあぐらをかいて居直っていた
緑はいつの間にか黄色のまだら模様で
青の侵入を緩やかに許している
落ち葉の中カマキリはちゃっかり枯れ葉色
こ ....
玄関の隅に
白い蝶が 逝っている
ちりとりに さらい
外へ
いつもと 変わらぬ
朝が はじまる
仏前へ 供えるご飯
今日一日の無事を祈り
自分も 食して
....
細い道を一人で
ひっそりゆっくりあるいていると
背中をつめたい汗がするりとながれ
自分がほどけていくのがわかるのだ
おだやかにあれ
かぜとともにあれ
朝を生き 夜を生き
かぜのなかに ....
ふかみどり
ふかみどり
言葉を手わたし
笑むみどり
腕の輪まるく
伝うしずく
胸をすぎる
こがねの尾
風のなかをふり向けば
たくさんの声が消えてゆく
....
あの日も汗を見ていたのは
水色のユニフォームと白い靴
時の詰まったタイムカードに
行儀よく刻まれた青紫色の印字
晴れた夏にタオルを投げ捨て
雪の日も半袖は変わらず
(腰に装備し ....
取り締まることのできない光の減少が
駅のホームに加算されていき
歩みと停止を繰り返す人影を貶める
遠近法を失い胸まで迫ってくる欠落に喘ぐのだ
やがて満たされる黒の描写の内 ....
29歳の僕と53歳の N さんが
向き合うテーブルの上に離れて置かれた
2つのコップ
減り具合もそれぞれに
薄い道の途中で{ルビ佇=たたず}むように
遠い未来の方から
おぼろにやって来 ....
ほっぺの紅い小さな女の子が
飴玉を僕のてのひらにのせた
いや 僕はいらないよ
煙草があるからね
ほら お母さんも笑ってるよ
僕は君より少しばかり大人だから
....
あれからずっと、暗い森の中
目を閉じて
なにからも遠いところで
あてもなく
さまよっている背中
地獄の淵におっこちて、
もうここから出られはしないのだと思った
長い長いこの道の果 ....
砂時計が流すことのない一粒の砂
悲しみを知るか
桜を手折る時、残された枝の揺らぎ
寂しさを知るか
発電と称して進むことのないプロペラの空回り
孤独を知るか
鍛えられていく鉄塊の ....
すきなひとを あきらめることは とても 辛いことです。動物で 在る以上 いきものである以上 請いの季節は かならず 在るもので それは たぶん かならず だれにも あります。人間はどうしても頭で考えて ....
仕合わせのはちみつを購入にいった。にんげんにはげんそくがあるらしい。とおりいっぺんのぎしきをスマサナイコトニハひとは仕合わせになれない。なり得ない。人はそれでなんどでもくるしむけれどさいごにはかならず ....
水曜日の唄
色とりどりのビーダマが
ぱらぱらと
空からガラスの水曜日
みんみんぜみのたましいが
ころころと
みんな飴玉水曜日
とんぼが落としたサングラス
きらきらと ....
シロナガスクジラの一家が
泳ぎ回れる程
頭の中は巨大だった
目の前は
人いきれで
ぎゅうぎゅうの
すし詰め状態
心が
あっぷあっぷで
溺れる前に
お風呂を
すみれ色で ....
あなたの
しあわせ
のぞまぬ
かくどで
ゆびの
ささくれ
みつめた
そのとき
だいじょうぶ
だよって
わたしの 胸を
ひゅう
って
かける
....
湖に子供
静かに波打っている
湖に子供
もう
息をしていないのだろうか
塩水ではない水に
もうすぐ浸される
からだは大きくて
頬はまだ
赤い
もう息をしていないのだろうか
だれが ....
むねのなかに
がらすだま
があるんだっておもうと
うまくいった
らむねのびんみたいに
がらすだまを
くぼみにひっかければ
ことばだって
ちゃんとでてくるんだって
すきなこと
や ....
その大きな手は
いつもどこかにあって
5才の目には映らない
小さな手で
探し当てたのはシャツの端っこ
まよい子が迷子にならないように
届くはずがないと
街の底から見上げれば
と ....
音の無い雨に くるまれて
溶けていきます
揺るぎようの無い
あなた と わたし
揺るぎようのある世界に
流れるように 溶けてゆきます
もう ....
あなたの方で風が吹いている
わたしはわたしで知らないことばかり捜している
秋がそこらじゅうで溶けはじめるとき
空き瓶には夕くれが満たされるとき
幾つもの詩を繋げるようにして
わたしはあな ....
こころの機微をおひとつ、どうぞ
かわりに今後もよろしく、どうぞ
わたしの背後のあれこれの
言い尽くせないあれこれの
混じり気のない よろず味
恥ずかしながら
....
天神様の 秋祭り
出掛ける空は 青高く
吹く風 先っぽ 心地良い
今日はおめかし リボンのついた
私の好きな 赤いワンピース
隣町の 天神様まで
お姉ちゃんに 手を引かれ
お ....
そのひとの名は やさしげでありました 。ほっそりとやさしくあさの匂いがありました。うつくしいところに およめに いかれるでしょう。ききょうの ようなひとです。
大和なでしこというけれど わたしは ....
お母さん
もしもあなたがいなければ
私はいまココにいない
お父さん
もしもあなたが違う人を選んでいたら
私はいまココにいない
いてくれてありがとう
結ばれてくれてありがとう
....
去りゆく季節は せつない
迎える季節は 夢みがち
それぞれに抱えている 命の灯火
たとえ それが消えてゆくうつらなものでも
たとえ それが意味のない土に帰るものでも
それは ....
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