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メールでは返信を促しているようで
そんなことを期待しない今日の私は
便箋に走らせてみようと思うのです
書き出しは、季節のことや天気のこと
やわらかに二人がつながっている
なんてことを ....
あるところに王様がいて
誰もが幸せになるよう祈ってた
高いところで右手を振って
誰もが幸せになるよう祈ってた
この世はスープ皿の中
そこに浮かんだニンジンに
全てがあると思ってた
こ ....
むすめは なきました 。 おおじさまの ことを 想って なきました 。おおじさまは 独りでは 活きられない ヒトです 。おおじさまも なきました 。二人は ヒヤシンスに なりました 。
幼い妹の髪を結いながら
長い髪を結いながら
きっとこの髪は
風に{ルビ凪=な}がれて
哀しみを絡みつけているんだろうなぁ
なんて思う
それでもあんまり
真っ直ぐしているから
私には ....
黒いドレスの少女の目差は
夢を射貫いて遠く羽撃く
永遠に透けた墓場へと
涙のあとが堕ちてゆく
約束のための雨垂れが
含んだ土へと帰る
私は時を経て
最果てに芽吹く
お早 ....
空が灰色クレヨンの日
風邪をひいた詩人はゆめゆめ思った
詩人たるもの
移ろう季節を誰より早く
探して言葉にしなくちゃいけない
詩人たるもの
少しはむつかしい漢字くらい
す ....
灰をまさぐって 泣きながら
名前のない場所に みどりを
まみどりを植える
花が咲いたら その下で
きみと むすばれる
幼い頃のひとり遊びの記憶は
影となって私に纏わり
誰かを愛そうとするたびに
耳元で呪文を投げかける
楓の色づく様を
薄の頭をゆらす様を
人と分かち合うやすらぎを ....
掌からうたが溢れ
あおいそらに吸い込まれていく
天上人の哀しみの衣を揺すり
流れ星がひとつ零れて散った
足下からうたが生まれ
あおい海原に 滲んで消えた
深海魚の喜びのざわめき ....
3階建ての小さなおうちの
屋上にはたくさんの巨木
桜、こぶし、メタセコイア
もうすでに巨木
ねえいつか潰れてしまうよ
そのいつかは今かもしれないよ
中に入れば階段は細く長く
途中にはたく ....
なんだかとっても寒いので
財布の中をのぞいたら
やっぱり寒い
ころりと100円玉
音をたてることもなく居て
街角の自動販売機
120円という表示が淋しい
一昔前なら缶コーヒー ....
(行ってらっしゃい)
宇宙の森で生まれた あなたと
あなたは今頃どの辺
七丁目の角かしら
目的は果せた?
わたしは洗濯をすますところ
留守のはざまで
不透明な静けさを淹れて飲むと ....
適当なゴミを40日間蒸留しながら
誰かの帰りを待つのだ
逆光で見えなくなったワルツ
言葉など
肺から消えていく
さざなみよ そのまま静かに回ってくれるなよ
かき消されていく
限りなくすれ ....
あまり過保護になっては
ひとり立ちできないなどと
父母が 孫の話をする
だんだん 友人との付き合いが
目の届かないところまでいき
不安そうだが
あまり しばりつけても
本人のためにな ....
ヒゲが生えている。地面に。
まぼろしだとしても、ふいに
奪われるとこまってしまう。
剃刀を持っているのだ。
近頃の僕は―
さぁ のろしを上げろ
俺達の真夜中の祭りの始まりだ
踊れ 踊れ さぁ踊れ
食え 食え もっと食え
ここでは常識なんかいらない
誰にもとやかく言わせない
自由にやり ....
明け方シナモンちゃんが
僕のアタマをひっかくので
まだ起きる時間
ではなかったけれど
白いバスローブを着たまま
フレンチブルドッグと
白金あたりのマダムたちと
阪神タイガー ....
低いオクターブで
朝を告げながら
高いところを
水が流れている
知らないあいだに またひとつ
季節をまたいでしまった
雲と空に距離が生じてゆく
そのすきまを
縫いながら、通過す ....
あの子はまだ 元気で暮らしているだろうか
野に咲く花のように 根をしっかり延ばし
白く 小さきつぼみを
開かせているだろうか
あの時に渡した 黄色い熊の飾りは
今もまだ ....
fortune for me .
fortune for my friend .
fortune my lover ,
please . ....
季節はすっかり秋めいて
あちらこちらに金木犀の香りが広がっています
けれどもわたくし、
銀木犀に、未だ出会ったことがございません
銀木犀、銀木犀
あなたはどこ ....
改札口にて
お待ち申し上げております
行き先を
詮索したりはいたしません
どうぞ
ご安心を
あなたがここを
通過してゆく事実のみ
確かめさせて頂きたいのです ....
アースジェットが
秋のはじめになってもまだ半分くらい残っている
しゅーと夏を吐き出してみる
秋はそんなところから始まる
ぼくは割り算を高い空に置く
割り切れないことは繰り上げるのか
繰 ....
眠りは当局から支給される
月にいちど注文をすることになっている
私は主に スタンダードな「白の眠り」を注文する
けれどいつもおなじ眠りというのも
あじけない気がするので
やはりスタンダードな ....
つるべ落としの夕暮れが
立ち尽くす人の上を
群青に染め上げていく
笑ったような月が
ヴィーナスを従えて
ゆっくりと
空にかかる
そして
青白い光が
窓辺で
謳っ ....
のんちゃんの
さんりんしゃは まっかかで
はんどるのとこに
いろんないろの
フサフサが ついていた
あか あお きいろ みどり しろ
いつつも ついてて きれいだった
あしでけって さか ....
音に
色がついて
届く
届く
ぼくの耳に
君の耳に
ほら
きこえるでしょう
極彩色の音楽が
君のために鳴っている
色鮮やかな音楽が
さあ
涙をふいて踊ろうよ
極彩色の音楽が
....
おまえは じまんの おとうとだった 。 いつも うえをみあげては いっしょにさんぽをしたね お前が しんだとき 不思議なことが あった おんがくが 自然になったのだ 。 おまえは すこし クスクス わ ....
ここには 友だち が たくさん いる 。 だから わたしは ここに 来ることが すきだ 。
{引用=音も無く 少し時雨れた 夕間暮れ
秋桜 ゆらり
かしいで ゆらり
涙の雫を 集めます
波間の 初音に 合わせ逢い
天女の羽衣 筋雲と
見 ....
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