すべてのおすすめ
あおい月がしずかに沈むのを防ぐために、どれだけの灯
りが必要だろうか。どんな空の下でも、繰り返される息
があり、その色は見えないが、あかでもなく、みどりで
もなく、あお。それに限りなく近い色だろ ....
放出された 夏の、
取り扱いをあやまった空から
束ねられた雨が落下する
世界はまだ、はっきりとした輪郭を持っていて
ぼくも きみも それを知らない
ウィリー、ウィリー、
なぎ倒さ ....
よのなかは
ブラックに
ライトアップされて
結構姦しい
煌煌とライトアップされた日本の形が地球上から消えるには
未曾有のブラックアウトでも起こらないと考えられない
....
一度しか逢えないなら
失くしてしまったって一緒だ
視線を外すと
こんなにもぼやけてしまう世界で
二人で夜を歩くとき
星屑の欠片を拾い集めては
ブリキの缶詰にしまっておいた
....
つきを
見上げるための、その装置を
湖底にそっと、
眠らせて
ノスタルジアが、いま、
宝石に
なる、
王冠は
燃え盛ろうとする、あの
いつわりの技巧
....
「カワイイ」って言っても えぇやん!
「カワイイ」ぐらい!
「愛してる」は おまえにしかって言ってないんだぞ!
妬くな!
うちわをあおぐ
私は
縁側で
入道雲を{ルビ見遣=みや}る
庭では生垣が
真っ青な息をしている
深い静けさに みちて
遠くで ひもす鳥が ないている
山の ふもとを流れ ....
あたしは河だった。
両岸の、
親族と参列者を満たす河だった。
あたしは、
泣いて、
泣いて泣いて泣いた。
やがて涙は両岸に溢れ、
氾濫し、
洗い流した。 ....
そして火は燃えさかり
すべてを焼きつくすだろう
それぞれの
人の生を
それらがあつまったこの
人の世でさえも
焼きつくして
火は遠い天上でわらうだろう
限られた空
その見えない境界で ....
いつつゆびさきがきみをみる
やわらかい皮膜の中は
どうしたってみずだから
つたってしまって
一本の
跳ねた
よわい針の先までが
とおくゆびさきの
たてるかぜにも
ふる ....
こんな世界に眠れる夜なんかあらへん
目ぇ覚めんのか、覚めてへんのか、それとも冷めたんか
そんなこともわからへん
お前がおらんとあかんのや
山しかないようなとこやった
山の向こうに何あ ....
ほたるがりしたら
おりひめとひこぼしをつかまえちゃった
うちではかえません
とママの怖い顔
しかたがないから
どうぶつえんにあげた
来園者数はうなぎのぼりで
....
あの夏はもう過ぎてしまった
まだ子どもの頃
特に待ち合わせをしなくても
いつもの公園に集まって
そこから林に探検へ
入ってはいけないような場所に
金網をよじ登る
そうすることが夏だった
....
通り雨を
息継ぎしながら
ぼくたちは急いでいた
離れることを
急いでいた
手のなかの熱は
次から次へ
一秒後
つよくなろう、と
{ルビ翳=かげ}りをひそ ....
好きなところを数えるのは
大天井岳のてっぺんで星を
数えるようなものだから
その暗闇まで含めて
全部が好きなんだ
そしたらあなたは私を
うそつき、と言った
ほんとうには
遠かっ ....
夜が、二足歩行で
足早に通り過ぎていく音を
淡い錯覚にくるまりながら、聴いていた
抱きしめあう行為は どこか
呼吸と似ていて、ときどき
わたしたちは声を漏らす
ともすれば ....
桜花を散らせ
次の季節が吹かせる
湿った風に
なびく美しさを隠したまま
洗い髪みたいに
君は濡れている
よこぎる鳥を数えるように
ひとつひとつ忘れていく
透明な霧の向こう、輪郭
....
だからたとえば犬のように
白黒でしかものが見えていなかったとしても
濃淡の薄れゆくところ
色彩の変わるところが
あたらしく欲求がなりかわるところで
ぼくが輪郭と呼んでいた ....
かがやいてしまう星の名を、
つなぎ留めたかった
防波堤
かなえたものは
夜を、
彩ることの、
つづけざまの果て、
失うはずなど無いというのに
のが ....
祝福のことばには
飾りたがりの
性分があり
僕はまだ
あこがれの盛り
あなたの階段が
あたらしくなった日も
僕は
初夏の匂いだっただろう
あいも ....
揺れる、
ということを
幾度も揺れながら
風景は、
まったくとおい
わたしで
あった
と
えがかれてゆく、海
まっ白なのに
それはもう
古いかげ
波 ....
細いだけのものを紡ぎ
不器用に飾られた
花のネックレス
朽ちてしまうことも知らずに
綺麗さだけが
二人を青空にする
失ったものを見上げる
高層の谷間は
つくられた
あの娘の{ルビ ....
剣、と
よぶのを避けたくて
声はひとつの
武装と知った
ちいさな胸を
軋ませてゆく重みが
町だとするならば
すべての指が
ともされる
祈りのなかを風は、
振り返 ....
JAROって何じゃろ?
これは切実な問題だ
すこぶる切実な問題だ
私はこのしょーもないシャレと30年間格闘してきた
JAROって何じゃろ?
答えはわかっている わかりきっている
問 ....
仕事の後に
友のライブを見ようと駆けつけた
ライブハウスがある
渋谷・ホテル街
時折ぬるい夜風が吹いて
{ルビ娼婦=しょうふ}の亡霊が通り過ぎ
地を這う{ルビ鼠=ねずみ}が路地 ....
続いた雨の音階は消え
訪れた静かな夜
問うこともせず
答えることもなく
過ぎてゆくだけの影に
狭くなる胸の内
満たしていたもの
耳に慣れた雨音と
肌に馴染んだ湿度と
それらの行方 ....
まばらなようで
まったく同じ
涙は
ひとから流れゆく
雨のぬくもりを
手探りつづける日々と
かぜの横顔について
語りあぐねてみる日々と
だれか
上 ....
霧雨の降る朝、老人ホームの先輩Aと後輩Zは、お年寄
りを迎えにゆく車内で肩を並べていた。(先輩、一日
何時間あれば足ります・・・?ぼくは、二十五・六時
間ほしいですね)(う〜ん・・・俺は一日十時 ....
何を植えるかなんて
考えもなしに
掘りおこした
庭のすみ
やわらかい土の頂きに
雀が降りて
ころころと、まろび遊ぶから
つい、嬉しく振り返って
あの人の面影を探してしまう
幸 ....
一人ぼっちだ
花々の中で
麦畑を風が渡って
そこに点在するポピーは
そのひとつひとつが
恋で
黄色と赤の美しい翼を持った小鳥が
巡礼道の真ん中で風に吹 ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91