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一夜遅れで19の十五夜 だんごをぱくり いい気分
照れ屋な月は もじもじしながら 雲の隙間に逃げ込んだけど
大丈夫、今日は風が強いんだから。
ぴょこる ぴょこる ぴょこる
月の真ん中に ....
私が幼稚園生だった頃、パパは鼻の下に口ひげを生やしていた。
ある日、幼稚園の先生が「パパがひげを生やしている人!」と歌の途中に訊いた。
私にとってひげとはもっともじゃもじゃしたものだったので無反応 ....
意外なところから
闇が降りてきた
その中で書いていると
母が向こうを向いて
おばあちゃんと
しゃべろうとしている
しかしお母さんの許せない気持ちが
歯の形になり
お母さんの言葉は
....
虹を渡すのは、雨の純真であるように
雨を放すのは、空の配慮であるように
空を廻すのは、星の熱情であるように
やさしき担いごとは満ちています
あなたを求めるわたし ....
祈りの数だけ神がいて
祈りの数だけ願いがある
何故人は祈るのか
恐れおののく、その先の
抗いきれぬ力に前を遮られ
溜め息さえも躊躇して
祈りの数だけ花が咲き
手向けた花の ....
駅
プラットホームの端っこで
小さく手を振る人がいる
今
動き出す列車の背中には
きっと誰かの
そう
見送る視線のその先には
きっとそんな
夏の終わりが ....
湿気ばかり多くて
気温が上がらない夜は虫なんかの
季節を送る歌など気にせずに
眠ってしまえばいい
閉じた瞼の裏が
奇妙な色に透けるのは
まだ生きている証だと思えるのなら
眠ってしまえ ....
天神で評判のラーメン屋でとんこつラーメンを2杯食い
満たされた腹をふくらませて夜の{ルビ那珂川=なかがわ}沿いを歩いていたら
遠くに並ぶ屋台のぼんやりとした明かりが見えてきた
橋の傍らにひっ ....
信じられるか
信じられないか
からだで
はかってみる
そうやって
信じられないものを
よりわけて
あつめて
袋につめこんで
燃やす
そしたら
また
もういっかい
....
あなたに雨がふればいい
ブラウスが
やわらかく貼りついて
疎ましく思えばいい
あなたに雨がふればいい
ことばが
あなたを脱げばいい
小さな偶然を
言 ....
いつまでも
置き忘れられたような
宿題のような生活だ
いつまでも焦っている
逃げるように眠る
鳩が鳴いている
静かにメスを入れられる時間
過去はえぐりだされた
歌います
感情 ....
二日も経って僕はただひっそりと
国道のどまんなかをひとりで歩いている
周りにはなにもない
たださっき
文明に押しつぶされた
元・猫が右側斜線でぐったりしてただけ
僕 ....
最終バスは一番後ろの席に座るのです
何となくそれが習性になっているのは
そこからは町の様子がよく見渡せるからです
蒼い街灯の下でたたずんでいる
停車場の表示を運転手は調子よく
鼻歌まじり ....
もう一度
その無数の紅く小さい花々を闇に咲かせたシャツの下に
酔って赤らんだ白い背中で
僕に{ルビ凭=もた}れてくれないか
なぜ
君の背中のぬくもりを
もっと素直に感じなかっ ....
他人を批判して
自己を正当化することは
とても容易い
ところが
詩を描き始め
自分を少し管理できるようになると
正当化どころか憂鬱になる
他人を批判することは
とても難解だ
....
ねぇ見て 不思議よね
こんなにちっちゃいのに
ちゃんと爪もあるのよ と
満ち足りた母親の顔で彼女は
小さなこぶしをを開いて見せる
アキアカネが飛び交う夕暮れに
生まれたから 茜
はい ....
泣きながら
見上げた雲は果てしなく
二人の影を映してる
空の青さが辛い日は
君のために歌を歌おう
さよならと
微笑む君の細い肩
翼が生えているようで
....
パーティーは散々だった
おやすみ、のあいさつの方角へと
だいだい色のシロップが
ゆっくりと流れて
しだいに
粘性を増してゆく、
夜の
水の底で ゆうべ、まき散らされて
わたし ....
幼い頃に覚えた童謡を口ずさんでみれば
なぜか悲しい気持ちがわいてきて
もしかしたら
うたの歌詞が悲しいのかもしれないと
確かめるように繰り返してしまう
夏と秋のさかいめは
きっ ....
どこからかまた盗賊が来て
盗んでいった
かまぼこ板だけなら良かった
かまぼこまで盗まれたら
僕ら家族はかまぼこを食べられない
子供たちは泥棒さんが来た、と大はしゃぎし
とりわけ下の子は ....
たぷたぷ揺れて
君は遊ぶ
シャンプーは手の届くところで
夢と現実を隔てる
掌で掬う仕草に夢はゆらゆら
バスタブの愛は緩やかに萌えて
外は季節外れの木枯らし
....
すれちがいじゃありません
すれちがうにはあまりにとおいのです
ぎらぎらしたつきがはなしかけてきます
またひとがいきました
のぞみどおりじゃないですか
むねがはりさけそうです
とくにいたみは ....
布団に転がり帰りを待つの
家猫みたいに残り香を嗅いで
誰もいないから
この部屋はわたしのものよ
この世界はわたしのものよと
思いっきりお布団でじたばたしてやる
帰ってきたあの人が
叱って ....
流れこむ
悲しみ
ほころび
流れこむ
幸せの素粒子レベルの胎動
風に乗った翼が
青く脈を{ルビ搏=う}ち
わたしの過去を
虚空に届ける
混沌の光子
すなわち意識の次元的産声 ....
浴槽に
すだちを浮かべ
涙を肩位置に溜めて
点火
点灯せず
湯冷め浴
果汁の混濁
吐息の白靄
曇りゆく記憶
湯上り
底へ伸ばす腕
栓を引いたなら
渦描いて消えゆく
悲 ....
モノを置かないでください
と張り紙のあるところに
モノを置いた
そんな些細なことがきっかけで
そんな些細なことの積み重ねだったのだろう
「いつもの」
そう修飾された朝は
あっ ....
愛の言葉は砂漠に棲む蛇の肌触り
ガラス片の透き通る
艶やかさを床に滑らせては
汀から細波へ
細波から白ウサギの飛び交う荒波に
感情の姿を次第に変えてゆく。
与えあう愛の軋み。
軋 ....
膨らんでゆく不安を感じていた
知らない人とすれ違うたびに
増してゆく孤独があった
遠のいてゆく誰かの背中に
思いつく限りの名前を呼んで
立ち止まらせたいと思ったのは
それが優しさだ ....
日常にくたびれた玄関先で
茶色のサンダルが
ころり
九月の夜気がひんやりするのは
夏の温度を知っている証拠
おまえには随分と
汗を染み込ませてしまったね
サンダルの茶色が
少し ....
電池が切れた。
電池は切れていた。
もうずっと前から、
電池は切れていたんだ。
嘘を付いていた、
まだ動くから。
切れてない、
演技していた。
怒る ....
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