すべてのおすすめ
あんしん したい
ボクは もっと あんしん したい
やさしい おんなのこと いっしょに
おふとんで まるくなるのも いいし
いつでも なんでも
おかわり じゆう ってのも いいし
....
黒い車がつぶになって 道の上から消えてゆく
山田くん、ねぇ、山田くん
君は 幸せだったのかい?
道は雨のように流れ出して
頬にも雨がつたい
山田くん、ねぇ、山田くん
....
大人だってたまには
思いっきりお菓子を買いまくりたい
大人のお菓子屋さんには
ちゃんとグリコのキャラメルだってある
大人のグリコのキャラメルには
おまけに
ひとつだけ詩がついてくる
....
いっぴきのむしけら
どこからまよいこんだのか
へやのなかをあるいている
へんおんどうぶつのおまえだから
まふゆのさむさにうごきもにぶい
かんたんにつかまえて
ちょっとち ....
こぼれずに
あふれずに
ひらいたならば
うみをそこにみて
そらがといになり
ぬぐえずに
すくえずに
つむったならば
ほしをそこにみて
そらがついになる
つい ....
月の滴り糧にして、
傾くが儘に流れ征く。
果ての浄夜は音も亡く、
地を這う我影、
唯ひとつ。
たとえば
カーテン越しの陽だまりに
できるだけぽつんと
たよりなく座ってみる
時計の針の
こちこちという音だけが
胸にひびくように
明るみの中で目をとじる
いつの日かお ....
午前五時
買ったばかりのブーツでも足がかじかむ
約束にはまだ早いけど待ちたいからあのコを待つんだ
ふたりで今日どこまでもいこうって約束した
午前七時
バスが通勤のサラリーマンを詰め込んで ....
絶望さえ透けていく
初夏の陽射しのもと
雲へ手をふり
永遠する未完の涙
生れ立ての傷が
{ルビ鎖状=さじょう}に結晶し
{ルビ手鞠唄=てまりうた}に弾む午後
幼き声の純粋にひそむ響き ....
仕事帰りにくたびれて
重い足どりで歩いていると
駅ビル内のケーキ屋に
女がひとり
微笑みを浮かべて立っていた
ガラスケース越しに
ふと{ルビ眺=なが}めるささやかな幸福
その{ ....
{ルビ穏=おだや}かな初春の陽射しを{ルビ額=ひたい}にあびて
目を細め のんびりと自転車をこいでいた
狭い歩道の向こうから
杖をついたお{ルビ爺=じい}さんがびっこをひいて
ゆっくり ゆ ....
歩道の残雪を
踏みしめる律動
声でもなく
音でもなく
歌でもなく
白い吐息に飽きて
見上げる
大気の天蓋
一弦の
その楽器
透明におびえ
....
降り続く雨が
肩を優しく包むから
あふれた涙が止らない
ひとしきり泣いたあと
涙のわけを考えたけれど
言葉にすることが出来なかった
それは
生まれたときから
始まっていたのかも ....
暗闇の中
まっしろな雪が
舞っている
遥か彼方の高みから
白い花が舞い落ちる
音も無く
無邪気に
降り積もる雪は
やがて
世界を
ひといろに塗り込める
憶 ....
発売まで指折り数えたCDを
ようやく手にして
するするセロファンを
むいているときのときめきは
リンゴを倍速でむいているみたいで
ポンと
再生ボタンを押すと
さらに加速度を増して
....
アライグマに石鹸をわたしたら
小さな手をちょこちょこ動かして
とても楽しそうにしていた
まるまるとした石鹸は
みるみるうちに小さくなり
無数の泡だけを残して
アライグマの視 ....
もこもこと頭がうずくので
シャープペンで突付いてみたら
きれいな角が、生えてきました
その角は
避雷針みたいに全部を受け止め
暖房みたいに暖かくなり
まるでパソコンのように忠実で
相 ....
ねこがいた
まあるくなって
ねむってた
それはそれは気持ちよさそうで
僕もまねして
まあるくなって
ねてみたら
思ったよりさむかった
ねこを少し押してみた
目蓋に浮かぶのは 淡い光
脳裏に浮かぶのは パソコンの残照
会社から帰ると
バスタブよりもベッドよりも
まずはソファに沈みこんでしまう
ストッキングを脱ぐと
両脚が渇きを満たすよう ....
真夜中眠れずかぞえた羊
眠ろうとするほどに増えてゆく
小さな柵をとびこえて
いつしかそれは羊ではなく
羊のようなものになって
やたらと足が長かったり
やたらと顔が大きかったり
すっかり見とれて ....
呑んだくれた父が
血まみれになって帰宅したことがある
前歯が三本折れていて
目の周りは真っ黒だった
何がおきたか怖くて聞けなかったが
父は喧嘩をするような人間ではなかった
呑んだくれた ....
そうです
世界から隠れて
潜って居られる場所が要るのです
まじりけない初期衝動とだけ
ひたすらに戯れて居られる
そんなパラダイスを
とめどなく夢見てしまいます
子どもじみているの ....
我が子の繊細な横顔の
そのとりわけゆるやかな{ルビ頤=おとがい}に触れたくて
私は
そっと静かに手を伸ばす
触れたい
触れたくない
その繊細な構造を知りたいのに
やさしい{ルビ頤=おとが ....
シュレーディンガーの仔猫たちは
母を捜して彷徨っていた、
小雪ふる池のほとり、
量子の石榴をもとめる彼女は、
仔猫たちをみつけるたび貪った、
死ね、
さもなくば生きろ。
夜になると
考え事が増えて
朝も考えているけど
いつでも
今から
考えることができる
たくさんの雪の
物憂げなテレビニュースに押されて
僕は
やらなくちゃいけないことを
考える
....
いつもの時間に
スーパーのプラスチックの袋を
振り回しながら
その女の子はやってくる
道路に落ちた吸い殻を
熱心に拾い集めていく
この寒空の下に
しかも素手で
そして左 ....
驚くほどのことはない
わたしは、空中に髪をほどき
視線を結着させている
あこがれは、あこがれ
先天的な太陽は、この時
肺の浮沈までも漂白して
果ての分裂を結晶化している
わたしは、今 ....
私は何も無いものを持っている
全て捨てさってしまった日から
いったいどれだけの月日が流れただろう
空っぽになることで満たされたのは
きっと悲しみだったはずなのに
いつの間にか
笑うことができるよ ....
先輩が威勢良く{ルビ梯子=はしご}を駆け上がり
天井近くの狭い{ルビ頂=いただき}に腹を乗せ
{ルビ扇子=せんす}を指に挟んだ両手・両足を広げて
「 {ルビ鷹=たか}・・・! 」
と ....
紫陽花の頃
手をつないで買った気早な花火に
火を点すことは結局なかった
意地をはる間に夏は去り
空は遠のき
てのひらはかじかむ
(恋は続 ....
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