冬の太陽は 孤独だ
冷え澄み渡る蒼天に
ただ一点、燃え盛る
雪 降り積もる北の国から
届いた手紙
毛筆で書かれた文字は黒々、
その実在感に
しばし目を見張り 私は
ゆっくり立ち上が ....
空がおわる
その日きみと鳥になり
おわった空をわたる
海がおわる
その日きみと貝になり
おわった海をすう
嘘がないことば
或いは
研ぎすまされた嘘か
....
流れる 大白雲
ゆっくりのっそり
奇異なこと
動きそのもの
意志を観る
消えてしまう
流れ白雲、忽然と
ひっそりひろがる
青空に 地球廻る
音すら 聴こえ
空、あかね
日 ....
冬に一度だけ訪れる夏
ぬいぐるみを窓の外に向ける
雨だったから誰も気付かない
坊主よりも優しく
木魚を食むネコ
水の出ない蛇口
庭の雪の珈琲
あなたは消える蝶々を私にくれた
....
三色ボールペンの
赤は忙しいから
青になりたい
黒は寂しいから
青になりたい
必要とされる日が
少しあれば良い
赤みたいに
強くはないし
黒みたいに
怖くはないし
涙 ....
五線がある
君はそこに音符を置く
それは仄昏いどこかからやってきて
君の感覚を通過するとき
音符のかたちをとったもの
君は識っている
その音符が
鍵盤と指とを通 ....
●捜さないでください●現実は失敗だらけで●芸術も失敗だらけ●ちゃんと生きていく自身がありません●ハー●コリャコリャ●突然●自由なんだよって言われたってねえ●恋人没収!●だども●おらには●現実がいっ ....
たましいの
まえをよこぎる
くろいかげ
こしょうした
にくたい
はやくも
とこにつき
こおり
ぎりぎり
かみくだく
ひとのたましい
いろんないろいろ
それぞれのときを
い ....
広いスーパーの店内を
カートに寄りかかりながら
物を探し探しゆっくり進む
「あのーポリデントはどこね?」
店員に尋ねながら回る
レジへ向かうと長ーい列ができている
今日はポイント5倍の日だ ....
あぁ勝手に
うごめく思考の内
痛む眼 硬直する脳髄
ひたすら氷噛み砕き
溢れ出す
言葉、表し
耐える
今宵この時、
熱 呼び戻せ
熱という実体
固体液体気体の
....
蟻の宇宙
時が入ったり出たり
木、倒され
葉、しげる
夜の夢
どれも欲しがる児
滲みぬものはない
あがないもない
ただすれ違う
近づかなければ見えない
そして近すぎる
....
叫びながら舞う女
光の庭に
ひとり居て
ことば
渦巻き喘ぎながら
喉を震わせ吐き出される声に
意味はたじろぎ光に呑まれ
舞い狂う女の
光の庭
時 失う
感覚の光
思い出の ....
過ぎ去りゆくもの
囚われず
力動するもの
捉え
悪魔の手のひらで踊る、
神の懷に入り澄み渡る、
貴女の醸し出す
吹き荒れる熱、
巻き込まれ力みなぎる心魂に
わたし ....
暗闇のなか
戸棚上の天井傍、
わずかに開いた扉から
のぞく闇の奥、
蠢いて蠢いて蠢いて
なんだろう?
暴力的な亀裂、入っていく
白壁は躍り呻き毒を吐き出し
どよめくような粘着質 ....
やっと海についた
こうやって見ると海は広いな
海へと続く階段を降りる
砂浜に脚がつく
さくさくという音がする
サンダルだから砂が足に入ってくる
海に太陽の光が反射して
つぶつぶの光が目に ....
熊たちは夜をかみ砕き
蜂蜜の朝を得た
意味の羅列を踏みこえて
あたらしい夢をみるんだ
配管 像 通勤ラッシュ
茜色 ポリタンク 出されない葉書
僕の隣は空き続ける
なされなか ....
ひーこら、ひーこら
引いていく
この痛む肉、硬直する肉
千の耳鳴り
あえぎながら嘆息の声漏らしながら
*
「この病気、眼瞼けいれんですか?神経障害性疼痛ですか?それとも薬の副作 ....
こころの奥底、
眠るふるさとは
誰もがやって来た処
記憶という不思議なもの、
どんどん遡ってふっと浮かぶ
ぼぅとひろがる子宮の向こう
言葉の以前、言葉の以降
緑の草原に赤い花、ぽっと ....
ふくらめる レンズ
喉で固まって
何度くちびる、噛んだろう
柔らかい毛片
ほこりかぶる列
奪われたあめ色
ぶつかれる 氷晶
固化する汀
鳥達の円錐
夏は溶けていたかった
タ ....
思考せよ、と
言えば
空は思考する
空は私の鏡だ
私は空の鏡だ
心は平穏、
肉は硬直、
今宵、空は濃く青く
木星、揺れかがやき
わたしの思考を紡ぐ なにものか
....
●桃●って呼んだら●仔犬のように走ってきて●手を開いて受けとめたら●皮がジュルンッて剥けて●カパッて口をあけたら●桃の実が口いっぱいに入ってきて●めっちゃ●おいしかったわ●テーブルのうえの桃が ....
新しい年になったというのに
今もまた鋭いカギ爪で
あなたの無粋な投げかけを
引き裂かずにはいられない
ずっと割れたガラスの上で
銃の弾倉を描いている
6Bで真っ黒に塗ったところが
....
響き、
光球となり
流れ込む、
わたしに
わたしの内部
なにかナニカ
に、
なつかしく
するどく
あこがれ
覚醒させ、
ソレは最初から鳴り響いていた
気付かなか ....
足を組み
背筋を伸ばし
息を意識すると
いるべきところにいるような気持ちになる
座っていると妄想が次々と浮かんでくる
無心とは
程遠い
線香の灰の落ちる音まで
聴こえてきそうな気がする ....
新年、
天空、一段と青く
街、まばらな人影
しずまりおちついた心に
じんじん苦痛の肉、滲む
わたしはやっぱり相変わらず、
絶望もなく希望もなく
ただ心の志し、貫き
この ....
とてもしずかな夜です
そう感じ取る、
波立たない平静な意識があります
疼痛もしすがに続き
布団のなか、氷を噛み砕き
疼く肉に少しばかり耐えながら
真っ直ぐ進む時間という存在、
今はそ ....
ほんとうに、
たいせつなものは、
かたちを、
とらない、
いつも、
うしなって、から、
はじめて、
たとえば、
じぶんの健康のかけがえのなさ、
のように、
まるで病室の白いカーテン ....
くちびる 傷つけた
悲劇 風リクエスト
胸の花袋 甘く
眠りに掻きよせ
フィルム焼く
針の短さ 反転し
綴じた無限
欲しさを 感じ
渡した筈 粗い筆
子午線
透明なかざぐる ....
大晦日の夜に
優しく柔らかく
時、過ぎゆく
時の響きに耳澄まし
包み込む心の平安に
遠い街の灯を想う
雪降る、雨降る、晴れ渡る
北の国、南の国、西の国、東の国
この夜、等しく深 ....
空を眺めてると
涙が出そう
って君は嘘をつく
ときどき
そういう意味のない嘘が
心地よくてしかたがない
今日も
寒い一日
北風に
首をすくめて
相変わらず僕は間が ....
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