アスファルト割り
僅かな隙間から
タンポポの黄色い花、
群れなし道端に映える
この執拗な生命の生育に
意味はなく意味もなく眼、
惹き付けられる
僕という人間にも
意味はなく
只 ....
すべて逃れ去っていく
すべて過ぎ去っていく
なかで、
けっして忘れられないモノ
けっして忘れてはならないモノ
*
誰もが
それぞれの
限界と可能性、
抱え生きている
そ ....
水の色する春の空
静か独り、浜辺に立つ
群れる者達、エゴイズムの海
逃れ、打ち寄せるイメージの波
浮かぶ波間の混沌は
思考の光に照らされて
弾む言ノ葉、生動の渦
....
「今日の貨物も 重そうだな」
「ああ 空の雲も 重そうだな」
凍り付く森の枝先 すり抜けて
貨物列車がゆく
港の駅まで たんたたんと
コンテナの奥はガラスの水槽です
銀の平原を ....
薔薇の美少年
かれの手よりも おおきなオレの手で
エスコートするように そのかたく骨ばった
小さな手をとって
かよ ....
肉体という
形姿帯び、
それぞれがそれぞれに
進み歩み脱落したり先頭切ったり
あきらめて
あさましくいどんで
果てには悟り
絶望もなく希望もなく
諦めてただ挑み続ける
....
春 おそく
雲低い空の下
裾のほつれをまといつけておいた
小花柄のフレアースカートはいて街へ出る
図書館の帰り、線路わきの公園で
ひとり眺めみる
八重桜
ぼったり ....
手荷物を運んでいる途中
手荷物の無い手で触って欲しい、と人に言われ
代わりに国鉄時代の記念切符をあげた
質感が気に入ったようで
喜んで人は去っていった
遠くから連れてきた犬を飼い
笑っ ....
ぽつんと 取り残された
わたしは、何処にも属さずに
まっ逆さま空中でシャドウ
ずっとずっとかがやいて
白骨咥え肉を喰い千切る
貫通する対角線、
無数無数交錯し伸びる
直線たちに支 ....
天空、ぼうと青く
葉桜、ゆらゆらの揺れ
子供、両手委ねひろげて
緩やかな風に向かい
走り出す、走り出す
僕の心はイチゴ模様
街へ世界へ溢れる愛惜
天空に火を放ち、葉桜むしゃむ ....
1
水門の釣り人たちがいる
その長い長い棹を振りまわしながら
おのが鯉のぼりのように
まるで浮遊している
座布団の上に立っているかのようだ
2
ついぞ一度も
....
いろんな生き物 いる
美醜、嫌悪共感 催させ
いろんないきもの いる
緩やかに飛翔しながら
すべて私たち、進化を共にしながら
地球に帰属し 大地、踏み締め浮遊しながら
....
自分のことを
認めつつ
変化していく
自分のことも
認めつつ
{引用=※五行歌とは、「五行で書く」ことだけがルールの、新しい詩歌です。}
いくら きみをひきよせようとしても
きみは 水面に浮かぶ果実のように
ぼくのほうには ちっとも戻ってこなかった
むしろ かたをすかして 遠く
さらに遠くへと きみは はなれていった ....
目に 遠くから 何かが 跳ね返る
ボールは目の前を通り過ぎていく
立てた音を 忘れて 認識する 僕は
目に見たことのなかった鉄球を知る
そんな風に人間は自由であると思う
アパートのベ ....
沼の畔に立った時
私の真下に見知らぬ女が居た
山を 仰いでいる女が居た
水草の花は白く咲き
深いモスグリーンの森は夏なのか
ひんやりと うす暗い
私の真下にいる女は
口角 ....
待ち求め潜心し
ひたすらひたむきに
学問だけ許されて
いた時代は終わり
そんな輩は
草でも石でも喰らってろ!
呪うような声の響き
未だ問わず、
惑わされる肉体の ....
通り掛かる街角で
不思議な三角や五角形
浮かんでは消え浮かんでは
優しく柔らかに瞼くすぐり
遠い夢見の一時を
円かに綴り懐かしむ
清々しい外気、
澄み渡り包み込む
この青空の午後に ....
さくらが流れていると
ぼんやり彼を感じてしまうのは
何故だろう なんて
共にして
また横に
不意に春のふくらみを介して
濃いかすみが
音をあたためる傍らで
陶然と ....
煌々と満月、只 白く
向かいの家、明かり消え眠りにつき
隣家の玄関、僅か灯火 薄黄に開き
煌々と満月、すべて浮き照らす超然
突き抜け
上昇し沈み込む、
限りなく際限なく
熱に貫かれ 声、
発せるということの
奇跡
歌、うたえることの
有り難さ
意味 以前に 声の言葉の響き在り、
わたしはひたす ....
じぶんの重みに
押しつぶされた日の光が
大地に一度 身を落として
あたりを囲う 同じものたちの
小さくも楽しげな 溢れかえり
そこにある岩肌の
わずかな塩味に
あいさつのように
その明 ....
静かに沸き立つ
底知れぬ欲望在り、
身震いしながら
受容する僕は
未だ生半可な途上の者
内面の旅程は外界のそれと呼応し
水晶の面を滑りながら内部を見通す
日が沈み隣家の明かりが灯 ....
強い南風だった
私は風になど飛ばされたくないから
作文を書いた
父は私が何をしても
優しい様子で褒めてくれたけれど
作文だけは
夜、眠る前に読んでいたようだった
下水道の早期敷設 ....
湖のほとりで 歓送迎会が宴たけなわ
大広間のステージ台へ背もたれ向け座る
センターから外れる円卓、
あなたが 椅子に割り込んできた
別の課へ異動していくあなたとは
正式 ....
妖怪は作り話だ
幽霊も脳内処理で
心霊写真のほとんどは
フェイクだと揶揄される
だけど動画サイトの
モンスターは本当にいる
自戒を促すスリラーから
解放された人間は
スリルだけを求 ....
血走った眼に
いろんな色、
ぶつかり合い
弾け飛ぶ
走る閃光、
轟く雷鳴
私は知らなかった
この世界、怒りの様相
憑依する、諸霊のイカズチ
あらゆる色彩の遊離と切迫
わ ....
滲むように昇る
朝の陽、
なにものも犯せぬ
この世界、
此処に留まる
此処がすべて
此処に入る、深々と
魂、歌に放ちながら
言ノ葉、声に散らしながら
この奇跡を、 ....
夜の闇が怖いから電気は消さないでくれと君は言う
ソメイヨシノが咲いても散るのを知ってるから悲しいとも言う
飛行機に乗るなんてとんでもないとも言う
くたびれたぬいぐるみを永遠に捨てられ ....
くちびるからうなだれながら
なにかが、細かく砕かれ
くたびれた風にとばされて
不穏に小枝をゆらした
若い葉の裏側を通り
ささやきながら去っていった
あらゆる事が既にそこにあって
なま ....
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