雨があったかくなって
ほんとうだな、って
雨が あったかくなってるねって

ほころんだね梅が
そろそろ 空によく似あう
さぁさぁくり出そう

今日はとてもトライアングルな気分
また見 ....
 「梅もさ、もう終わりよね。…。」
 裏庭で物干し竿から洗濯物を取り込みながら
 隣の表長屋の庭を眺める おゆう
 
 居室の畳の拭き上げを済ませたおりんが
 雑巾を干す手を休め
 梅の木 ....
時には
傷つけてしまうが
大切にしたいと思う時の
こころは何かからの
贈りものでしょ



時々
悩む時もある
でもね
悩み考えるから
気付くこともある



それ ....
これはお墓まで持って行こう
人知れず
お墓は待っている
大切な悲しみを
最後に解くために

※解く=ほどく



風は
光る
風はそよそよと肌をなぜて
ここに私が在ることを ....
ラ、
ララ、ラララーン
高級食材が半額になる
奇跡の瞬間、魔法のシール

ら、
ら ら ら
シールが貼られるまでの
ワクワク タイム~♪ 

グルル、グァオウ! 
飢えた 猛獣 ....
かつて幼い女の子の髪を結んだリボン
うすももいろでつるりとしたサテンの手触り
持ち主をなくして
しょげかえっているかといえば
案外そうでもなくて
虹へ続く路を
しゅるっしゅるるる
先頭で ....
あちこちでびん笛がはじまる
うち幾人かは胴をうまく叩いている 薄暮

目は子ども時分からよくない
たくさん撲たれてきたからさ
と、隣のじいさんが笑った

にごった水晶の弛みや
かわるが ....
ただの一言も発することがない
二月の青空はとても孤独だ
ひとみを綴じた兎が
木の袂でうたた寝をしている

冬は自我をうしない
薄く目を開けて、この青い空を
くちびるをかすかに動かして
 ....
きみに死んだ弟をあげるよ。
もうじき死ぬんだ。

そしたら{ルビ暴=ほたえ}たりしないからね。
もう駄々をこねたりなんかしないからね。

手間のかかんない
とってもいい子になるんだ。
 ....
                     月に葉隠れとはいうけれど
      そぞろ虫の影におびえる酩酊者 

道端で眠る小地蔵が倒れて 
 まだ青い無花果の実が零れ落ちている 

 ....
もはや零戦、
向いにたなびく羽根

とおりの母屋
の棚
そっと舞い降り

  終着地

辿りついたのは
       平屋の
     墓地

 置き忘れたもの
    戸 ....
登場人物  夫──壮年のサラリーマン。
      妻──夫より三歳下。専業主婦。
      娘──短大出たてのOL。

舞台    東京都世田谷区の一戸建て住宅。


(平成二年、八 ....
黒曜の空に
梵鐘を{ルビ撞=つ}く音が満ちている
一年の煩悩を洗い流すように
来る年が平穏であるように
森羅万象に響いている

{ルビ諸行無常=しょぎょうむじょう} (全ては変化するのだ) ....
揺らさなきゃ、待ちながら 揺らすんだ
風に揺れる のを ただ待つのでは無く、

黄白い半月 貼りついたヌメり仄か青く輝く夜空
色付く響き ヒビキと鳴り うっすらこの手触り
限り無き海水のウネ ....
茫洋と黒い穴穿ち
虚ろ生真面目に半月抱き
ちょっとした集中持続し
日々生き進んで居る内に
時間、瞬間に永遠を獲得し
炎の紅々と燃え上がる

 この世界、
 この見えるものの内にこそ
 ....
 大根 里芋 金時人参 南瓜 蓮根
 厚揚げを 塩加減に悩みながら
 白く煮て
 干し椎茸 牛蒡 蒟蒻
 は しょうゆ味で黒く煮る

 重箱のおせち料理は作らないけれど
 昔 家族で過ご ....
重い扉を開いて
漆黒の闇の向こうへ
行こう、生こう

絶えず打ち寄せる光
銀白だったり黄金だったり
光それ自体は見えないから
光に照射された色彩熱響きに
魅せられ眼見開き行こう生こうと ....
対象を欠く
憧れは郷愁は
未来から沸々と
湧き立ち流れ来る
次々と実に絶え間無く

記憶映像の
過去から未来へと
ひたすらに直進する
無常時計時間とは逆に

未来から過去へと遡行 ....
木目に沿って歩いて行く
輪を描き運に従い
静かさの波打ち奥まり
暗闇の上層にぽっかり穴開き
水色の空、白雲の流れ うっすら
青い光帯び ひろがりいく

年輪を重ねリズミカルに木目刻まれ
 ....
ハイビスカスの花開き
水の面掠め飛ぶ原色の鳥、
燃える太陽の無限に向かい立ち
天空の濃密な青、人を貫き染め抜く。



私の内にすべては込められ
私は、
次々と浮き上がる
意識の光 ....
 カーテンも取っ払った六畳間
 テレビと わずかな生活用品に炬燵が一つ
 職場近くへ引っ越すための段ボールが
 キッチンと廊下に並ぶ

 「部屋が狭いから、ずいぶん処分したのよ。」
 友人 ....
 もやぐ朝 

夜が朽ちて
朝が生まれる
霧に覆われた街は
港へと変わる
赤い太陽は
無音の出港の合図

けれど想い出は
いつでも切ない
胸に
錨をおろしたまま


 さ ....
ともに歩いている砂浜、
こちらをむいて、
つよい波風にすこしウェーブがかかる、
花のように、首を、傾ぐ、
ながい黒髪の、まるでオニキスのようにまるい、
とてもおおきな瞳、
しろいレース柄の ....
ふたりで拾った
透明で硬く紅い卵

ぼくが生き物係になって
手のひらで暖め孵化を待っている

何が生まれるのかわからない
虫眼鏡で眼を凝らしてみると
真ん中がトクトクと脈動している
 ....
人類やってるね

えっ?
やってないのか。

 ・・・・
一番最初に火を付けた人がいるんだよね。
物理的発見であり発明の話だ
火を付けたというより、火を創ったともいえる
実用化したと ....
この夜の訪れ
闇の深まりゆき

確かに灯る明かり
橙の色に向い家から
外に温かにほんのり広がり

対し、

輝く内なる光の海
無限に拡がりゆく
銀から黄金に
未だ透明には至らず ....
うっすら淡い黄の光に包まれた木立、

朝なのだろうか夕なのだろうか

時間がふっと透明になり

地を敷き詰めた落ち葉たち、
透明な時間に舞い上がる
漆黒に渦巻く闇から解放され

う ....
ススキの穂が揺れている
首をかしげて揺れている
しなやかにゆるやかに
白銀、白銀、白銀の揺れ

ゆうらりゆうらりゆららゆら

言の葉散らし沈黙のうち
微妙なヒビキ木霊して
ひそやかに ....
卵を割ると中には
砂しかなかった
食べ物を粗末にはできないので
そのまま火にかけると
砂の焼ける匂いがする
今ごろ砂場では妻と娘が
いつまでも完成できない
卵の城を作っていること ....
君のこと 好きに決まってるだろ

もちろん君の旦那も 君以上に好きだ

ゴメン ボクたちには
君に話せない 秘密があるんだ

察してくれ あまり深く訊かないでほしい

ボクたち 誰か ....
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