降りていく
夜空の底へ
降りていく
瞼を閉じて
降りていく
やはらかなそこへ
そこなきそこへ
はらはらはらはら舞いながら
やさしいことのは散らしながら
降りていく
宇宙の底 ....
目をつむり
こころの
闇を見つめると
聞こえてくる
光もある
どこを見るともなく
宙を
ぼんやりと
見ている時がある
どこかのここで
宇宙が生まれてからずっ ....
何処にも行き着くことはなく
そっと明かりを灯すように
静かに確かに歩んでいる
過程にのみ意味が開き
繋ぐ意味に花が咲く
そんなひたむきな息継ぎを
ただただ静かに晒している
(目眩くよ ....
曲がった声の刺さった羽のなかで
切り分けられて爪をたてられたとき
本当に、本当に
どこか遠くに来たんだって思った
真っ直ぐなビルがあって
ひずんだ音を立てていた
夏の太陽がどこかに ....
剥き出されている
神経は逆立ち
熱風に鳥肌立つ
紅の樹木は激しく波打ち
瞳をくりくりと輝かせた
木登り少女は姿を消した
何にもない、何もない
意味は全て剥奪され
記号だけがひょ ....
人間は一人立つ余地があればいきてゆけるものだ
人間は愛するものをうしないつづけてつよくなれる
だれもふりむかない路地裏の暗闇のなかに人生があったり
戦場を迎える兵士は誰に誕生日を祝ってもらえ ....
二〇二〇年十三月一日 「学園紛争」
ぼくは同志社大学の1980年度生だ。1980年度に入学したって話だけど、ぼくの大学一回生の後期の授業は、学園封鎖で潰れた。後期テストはレポート試験だった ....
私たちは同じ
深く澄み孤独
私たちは同じ
繋がり求め
燃えて、激しく燃えて
どうか、どうか
この反転する闇と光のなか
共にたましいを燃やして
求め合う、繋がり合う
孤独に澄 ....
意識が躍動する朝に
子供たちが踊る
鮮やかに心臓が脈を打ち
光の街が浮き上がる
歓びに充ちた朝、
自分の存在の輪郭が
世界に溶け込み
深い深い息を繰り返す
わたしは生きるの ....
渦巻く銀河の奥に
静けさに包まれた孤独が
あるという
引き裂かれた傷を癒し
呻吟する日々を塗り替え
この世界を抱擁する
青く澄んだ孤独が
あるという
霊性が絶え間なく舞い
透 ....
掠れた日差しに 傘をすぼめて
貴女の唇にすわりたい
悲しく 梅の花が路を塗る
あさの雨の うその雨の
やがて間遠な 瞼
夜に
道行く人の顔、白く浮き上がり
満月
独り独りの魂が、彷徨する
街道に沿って
ぽつぽつと点灯する黄色い灯り
追いかけて、追いかけて
刹那開かれる永遠に
そっと息継ぐ精霊を ....
夏の
木陰に
光る
風
割れる
分かりあえなくて
当り前
あなたは私じゃないから
だからこそ
思いあいたい
{引用=※五行歌とは、「五行で書く」ことだけがル ....
押し寄せる
下校放送響く
夕焼けの校庭
僕ら相撲をとっていた
円い線を砂に描き
中原くんは強かった
尾崎くんは弱かった
斜光が僕らを照らしていた
僕らの命は躍っていた
....
隠されたふるさとは
ひかりの森、燃える炎
私たちが還っていく
深い深い大海原
永久なる循環に身を任せ
宇宙が巨きなくしゃみする
覚醒する意識に
一瞬が泡立ち
永遠が開ける
熱風吹く青の下、
日傘をさした人々がいく
歓びに充ちて
凝視する
世界は光
永遠の戯れ
赤く燃える残照の地平に
片眼の巨人が座る
表層を掠めていく孤独
深まる陶酔の眼差し
彼は聴き入る
遠い故郷の残響を
わたしは ひとり ここにいる
隠された故郷の残響を聴きながら
....
部屋にいる
それだけで逃げた気分になるのは
わたしが臆病者だから
誰の気分も害さずに
自分の気分だけ害して
天井を見つめる
自惚れに気づくのが
遅すぎたのはわかってる
世界 ....
宙空の先のビー玉の喧騒
夢はわちゃわちゃ過ぎていき
白雲もくもく青空に湧く
夏の街には太陽燦々
老婆と少女が手を繋ぎ
踊り廻るよ、廻り躍る
死の標的を撃ち抜いて
生の覚醒に眩め ....
ここではないどこかで夜が終了しました。
子どもは朝を舐めてひとくち辛いといえば、
昼にはボールを蹴ってロケットだロケットだ、と
こぞって夜の空をゆびさしている。
サンドロケット、ぼくらは命 ....
渦巻くような痛みのなか
見上げた空はただ
青かった
渦巻くような祈りのなか
見上げた空はただ
無関心だった
夏に
黄昏ゆく世界は
息を呑むほど美しく
わたしという存在が溶解し
....
二〇二〇年十二月一日 「年間SF傑作選7」
きょうから、寝るまえの読書は、『年間SF傑作選7』の再読である。これは4作ほど憶えていた。バラード、ラファティ、ボブ・ショウ、バロウズの作品だっ ....
最後の一歩を踏み出すとき
人は独りだ
脳髄には光が溢れ
宇宙が爆発する
生への情熱は未だ
止むことなく
眼下に広がる青い青い海原をみる
最後に眼を瞑るとき
人は独りだ
午 ....
何ごとも無かったように時を経て
地層の上でウニ覚醒し
人間に今日からなることができました
見た目はまだウニ顔です
脳みそはまだ柔らかくて
髪はまだ太く硬いままで
「ウニ人間」と言わ ....
感電間近だ もう少しなんだ 送電塔から あの娘の家まで
たゆたゆしていた ケーブルたちも 近くで見たなら 意外と無骨だ
この川の先を ぼくらは知らない あの娘も知らない 、ことすら知らない
....
逸脱した想像力でかろうじていきているのかもしれない
人生にはときどき小さな推敲が必要なのかもしれない
戦いを降りた人間はミニマムのエネルギーで生命を維持する
だから村上春樹の海辺のカ ....
二〇二〇年十一月一日 「{ルビ生贄=いけにえ}の王」
『年間SF傑作選3』の6作目は、ポール・アンダースンの「{ルビ生贄=いけにえ}の王」アメリカ人側の宇宙飛行士が生き残り、敵側に捕まった。 ....
混ざる草いきれ、煙。 誰かの吐息と、君の吐息。 嗅ぎ分けるには 夏は 向いてない。 空気、尖っていない。
数個目の打ち上げも、 不発。 誰かのため息と 君の、嘲笑い声。 それは 聞き分けた、 聞き分 ....
「もっと
気楽にしていよう」と
私に言う
宇宙は広く豊かに
ここにあるのだから
始まりも
終りも無い
ふしぎ
永遠の
涙の流れ
大切な
この悲しみを
共 ....
ふくよかな体つきのサウンドが
自らに重なり溶けて
一瞬青ざめ
ゆっくりと身をもたげる
擦れる不協和音とひび割れた赤子の声
夢の中に解き放たれ
途方に暮れた街を転げ廻りながら
記憶 ....
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