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貴方が奏でる言葉はいつも
嘘ばかりが煌びやかに揺らめくので
いつからか私は言葉の端に
緩く小指を絡めては
何処か遠くに行かないで、と願う様になった
矢絣模様に臙脂色
朱色に紛れた杏子色 ....
薄暗い
漠然と広がった
空間のなか
台形で
ノッペリとした
大人の背丈半分程の
鉛色の工作機械が
等間隔で何台も
一列に並べられている
大きな金属音があちこちから
互いに呼応す ....
時間が感覚している
巨大なてのひらが極めて薄くなり
眼を開く刻限を探っている
仏は舞い散っては脱皮して
柱を支える土壌に滲み込んでいく
空間が覚醒している
門の内と外は色濃く混じり合って
....
漂いの中に浮かぶ船はとても空虚だ。
空虚は僕の心を浸潤する。
広がり、閉じる。
この情緒こそ難破船にはふさわしい。
水面に移る悲しみを鳥たちが啄む。
僕は自分が何か勘違い ....
161119
目覚ましを買いにゆく
半球形の鉦が角みたいに
2つ頭に付いている
クロームメッキが美しく
音も煩そうだ
目覚ましの典型的なのが
目に付いた
....
朝靄の しんとした公園で
ゆりかごが一頻り揺さぶられ
あかるい 幾つものさびしさが
同じ数のむかでに変わるまでの間
わたしたちは決して変わらないだろう
....
わたし何も見えなくなればいいのに
聞こえなくなればいいのに
云えなくなればいいのに
感じなくなるのが一等いい(たとえば空腹)
そんなことばかりを考える鴉は
鴉のなかでも異端で
おんなじ黒い ....
ビリビリに引き裂いた
力任せに 泣きながら
それでも気が済まなくて
鋏でジョキジョキ切り刻んだ
その切れ端を 徹底的にシャッフルした
元の形などわからないように
二度と思い出さな ....
鏡のような湖のうえ
ふりそそぐ、ひかり
わたしの、いのちが拡散し
みなもを撫でていく
ここにいれば、
あたたかな霧のようなつきの
ひかりを浴びて
おだやかなしんとう圧が
からだを満 ....
シュルレアリストの洒落たエア・リアルのレアなリズムで
アリスのあられもない素足が水を蹴りあげる
哀れなミズスマシは見た!
静まる死の間際の未詩
冷たいリリシズム
....
私は、いかにも農家の家と言える灰色の瓦屋根の実家にいる。
庭に出てみると、白壁の土蔵の蔦に絡まった美しい男性がいた。
死んでいると思いきや、ビクッと動き私は驚いた。
その動きたるや、金粉を撒 ....
唐辛子を陽に干している
ワックスかけたてみたいに
艶やかだった彼女らは
日ごとしぼみ
くすんで
ぼやき
手をとりあって
しわしわになる
光の中で
そのしわは
小さな影を織りなし ....
血管に流れているのは感情です
言えない言葉が澱になって
いつかその人を支配してしまうのです
だけど言葉を
出し過ぎてしまったら
枯れてしまうのです
ひとは
その皮膚のしたに
自 ....
なぜこんな……
そう鳴いて(とても驚いて)
どこかの彼方に隠れに行った鴉が一羽
鏡過ぎるガラスの前でつい美味いもんみつけて
さてしあわせいっぱいで首を伸ばしたら
真っ黒で歪なこれが自分なのか ....
春が足元に
一夜限りの花びらの星座を描いた
夏の夜の夢は
浅く長い ひとつの戯曲のようだった
秋に降る火球の
行き着く先は誰も知らないまま
....
チャルメラが聴こえたので
最後の千円札を掴んで飛び出した
台の上にロー引きの小袋がたくさん並んでいる
一つ、と云うと
千円。
と小母さんは応じる
く、っと差し出したら
三つくれた
泣き ....
じいちゃんの亡くなったカミさんが
うえたザクロの木のもとに
実がパッカリあいてころがっていた
皮からあふれ散らばっている実
鬼子母神の澄んだ涙を
庭におりたツグミがうまそうに食んでいる
....
午後の羽の蝶が群がり
枝は一時 空に呑まれる
実は鉱に転がり 水に落ち
空へ還る空を見つめる
砂漠の火花に
鳥は降りる
そこに在ったかもしれない命の
無機と無 ....
> 161116
>
> 素敵な大人とは
> 嘘をつくのが巧くて
> 嘘だとは気が付かせない
> 詐欺師の笑顔に惚れた
> ....
花野の無垢なそよぎに打たれ
綴じることができなかった
ごめんね雪が降ってきた
埋もれてゆくよつめたさに
みえなくなってほんとは
それは隠したかったかなしみ
信じ続けたい透明な愚か わたしの ....
貴方はもう眠っているんだろう。
そのかんばせに疲労と充足感をたたえて
閉じた瞼に縁取られるのは
かさついた睫毛か湿った青紫の隈か その両方か。
声を聞きたい。と
一人、ぽつりと呟いて
....
無私の愛が
人の魂の病を癒し
魂浸透した肉の病すら和らげる
冷える秋夜の森の静謐に
天使たちは降りて来るのだろうか
自愛に充ち病んで倒れる己の魂の許に
あの遠い日の海の夜明け
靄 ....
36度の体温の中には均等なバランスが組み込まれている
それはまるで一段一段の歩みを形作る階段の傾斜のように
着実であり、無難である
命の装億は平然な顔をして日常を過ごしている
森羅万象とその中 ....
もう部屋じゅうに
季節が終わる報せが届きます
ネットポートは再び夕空でジャックされ
きっとポケット深く携帯電話にも
微かに振動は繰り返され
むかし聴いたあの唄が
そっと鳴るでしょう
波音 ....
舌先で像を結ばない
時代の陰りの不安漠然とした
――漏出か
灰に灰よりも濃く灰を溶き混ぜた
ような雲
も 時折
裂 け
息苦しい断絶の青さ遠くかもめのように過る
無垢のまま ....
色の無い花が咲きました
香りも無ければ
命を繋ぐ力も持たない
少しだけ
孤独に見える花です
花はただ
『生きられたらそれで十分だ』と
私につぶやきます ....
息をしている
すべてのものたちが
息という名の
うたをうたう
うたという名の
命を
深く
息を吸いこみ
ふくらんだ分だけの
息を吐く
そのあと
わたしのうたは
誰かの肺の中 ....
ピアノの音色が白く輝いている。
僕はその中を歩いている。
この先に何が待っているのか。
初冬の風が厳しく吹いている。
孤独とは。
僕はピアノの音色に包まれている。
ほ ....
「ひとはなぜ生きているのかなぁー?」
「うまれたからさ」
まつりごともかみさまも
しんじないあなたはそういった
戦争に反対するお父さんとお母さん
こどものわたしは
ベトナム帰還兵とおな ....
コップの外側に付いた水滴の
均衡が崩れた瞬間を
ただ首を傾けることしかできず眺めているとき
別になにかがうまれるわけでもなく
なにかをうしなうわけでもなく
そうしたすぎゆく時間に
ひやりと ....
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