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丸い部屋に緑色の女が立っている
四角い部屋には紫の女が座っている
どちらの口の中にもセメント状の闇が
うんざりするほどぎっしり詰まっている
まるで 言葉の代わりだと ....
対岸の河辺で
鈍色に翳った立体に{ルビ燈=あかり}が実る
ふるくからの草木が影をつかまえ
水面へうつくしい銀の光を{ルビ濯=そそ}いでいる
玉模様の白さら ....
朝靄の しんとした公園で
ゆりかごが一頻り揺さぶられ
あかるい 幾つものさびしさが
同じ数のむかでに変わるまでの間
わたしたちは決して変わらないだろう
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観念の{ルビ和毛=にこげ}に
赤茶けた歯がからまり
ベンジーの六弦が息をすう
焼け落ちた橋 夏の昼時
あなたの胸の中の海で
丸い椅子が倒れた
瞼の裏に映る沢山の図形
それがわたしたちの暮らす町
暗がりに潜む毛むくじゃらの歪み
へし折れ・砕けながら結びあう雑踏
港の船が夕暮れの光に燃えあがるとき
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