この国では、芸術は意味を与えないことを目的としているらしい。目的という言葉が正しいかどうかは分からない。ただ、意味が生じかけると、誰かがそれに気づく前に、自然と処理されてしまう。処理という言い方が一番 ....
節分の豆まき用の
落花生
結局
「鬼は外 福は内」は
やらずに寝た
今夜
ウィスキーのアテに
落花生
パキッと割ると
左右に分かれて
一個ずつ
なんだか
悪 ....
心って、
本当はきっと海でできているんだ
凪のように穏やかで温かな日もあれば
荒波ですべてを飲み込んでしまう日もある
陽の光の声にきらめいてみたり
曇る空の色に染まってみたりする ....
にじが みえるんです
人には にじの輪郭があるんです
オーラでは ないんです
夕刻か朝方の影の長い時に
人影に にじがにじみます
だれもが にじを まとっています
オーラみたいに人それ ....
空がしろい
すいこんだ冷気が
肺の中で氷の花を咲かせる
灰色の細い梢
音もなく羽ばたいていく黒い鳥影
半分凍ったお池で
蟻がスケートする
泳ぐ金魚はめまいに似た残像
時はふりつもる ....
僕は街で
この街の一員であることを思う
見下ろした 喫茶店の窓で
車が走り抜けた通りで
木々は そこに 生えたままで
空間の動きを描き出すのだ
そこで何を 言い表すべきなの ....
風が金管の旋律になって
とうとうと胸を揺さぶり
東の空を見あげると
青白く輝くいちばん星
電線の陰が夕闇に消える
鈍色の舗道
星になれない
タワーマンションの窓 ....
朝、
スマホに
目玉焼きを
載せ、
すりおろした
人参みたいな気持ちを
他人事の
引き攣った笑いで
軽くはじく
寝癖のついた宇宙服を脱ぎ、
縞々の制服から
パジャマに着替える ....
{引用=
― 大人になったら、
雪になって
母さんのように空を
飛びたい・・・
}
粉雪が舞う
雪ん子
少女は、眩い銀の髪、
白い肌が愛らしい子に ....
ランチタイムを
だいぶ過ぎたお店
無性に
食べたくなった パスタ
語り合う
二人の女性のほか
誰もいない
海老と
ブロッコリー入りの
トマトクリームパスタ
だ ....
真綿から生まれたような
無垢な瞳が光る
見えないところに
刺青を入れたの
そう言われて
見てみたい思いしか湧かない
見れなくても
真綿の柔らかさを
そっと抱きしめて
....
村のはずれに、川があった。
山から下り、すすき野原を横切り、
村の前で肘を折るように曲がる川だ。
川は澄んではいたが、やさしくはなかった。
洗えるものは、すべてここで洗った。
泥 ....
GBTIQの詩人たちの英詩翻譯 しょの66
イレーン・セクストン
トーテム像
かつて、それは、松の木のあいだに突っ立ってたんだ、
ぼくは信じてなかったけど、貞節の象徴で ....
フェリーニが言った。
「映画はね、サーカスだよ。象がいて、道化師がいて、最後はみんな死んだふりをする」
アントニオーニが言った。
「いや、映画は空白だ。人間がいなくなった後に残る、風の通り道 ....
布団ごしに
差し出された 夫の手
腕ずもうするみたいに
握ってみたら
涙が 溢れてきた
体の中で
飽和していたものが
やっと
機を捉えて
流れだした
そんな ....
うなばらたゆたい
ゆるやかしなり
あびるたいよう
うつしだす
うちゅうの
まなざし
もうたえず
わたしのなかで
しこうするもの
おしどりふうふの
やちょうみたく
ともどもなかよく ....
春
ほかほか陽はやさしく
ひらりひらりと花は舞咲く
ふわりふわりと心は浮かぶ飛ぶ
夏
ざらざらと銀の光に
きんきんと緑は輝く
わいわいと空を舞飛ぶ
秋
さらさ ....
だれもいないディスプレイを眺めて
だれとでも会話できるわたしはいない
時間という記憶だけが過ぎている
だれもがいる夢の中で
人為的に造り替えてきた
もはや自然はどこにもないのだ。
....
からだなんて
ただの入れものだから
だなんて
想っていたときもある
わたしは
こころ
だからと
わたしを
わたしとして
わかっているのは
それは
こころ
だから ....
君の漆黒の黒髪
シルクのように眩しき光沢
そっと、やさしく撫でると
君の瞳はぴくんと瞑る
水晶のように澄んでる
君の目に心が奪われる
唇はマシュマロように
....
その年、川は何事もなかったかのように、穏やかでございました。
氾濫もしない。渇きもしない。
人の都合に、ちょうどよい顔をして流れていたのです。
村人たちは、胸をなで下ろしました。
....
名前のない
ゆらめく魂が
夜の端で
少しだけ、
寝返りを打つ
遠くで
赤い灯がまわる
火元はもう、
地図と一緒に燃えたのに
残酷な温もりだけが、
まだ配られている
....
幾日も 焦燥感に さいなまれて
ある日 ハヤの泳ぐ川の水が
ありありと 心の中に流れる
澄んだ 水の感触 腹黒さも胸の焼けたような虚しさも
済んだ
棲んでいると からだの内側 ....
朝になっても
夢になっても
変わらないのに
落ちる
落ちる
夢のように素晴らしい空を見た
風が切る音
惑う髪が舞って
目を穿つ
残留する
輪郭が溶けても
覚えててくれるかな
お ....
樹木の陰から顔覗かせる
君は誰 だっけ?
射し込む僅かな光に
眩しそうに顔顰め
ふっくら小さな白手を翳す
そっちの方が
余っ程眩しいやと
遥かな記憶の向こうから
蘇る挙措相貌の
何れ ....
青の日々。地面が揺れていたんじゃない。僕の影が揺れていたんだ。
灰色の目をしたウサギたち、あの錆びた、鉄のケージの温度
がらんどうの晴れた青空から雪が、雪が、また僕を置いて逝ってし ....
祈ることはいつだって丁寧さに連結され、そして場合によってはさらにそこにけっして焦ることのない時間が上乗せされる。
たとえば某初代特撮俳優のドリップコーヒーの淹れ方。細口ケトルからお湯を一滴一滴。まる ....
やや横向きの
その顔と 相対した時
いつだったか
どこかで見た気がした
気づいたのは
ついさっき
このまえ夢に見た
亡き祖父の顔
私に
助けて ....
影絵は遊戯ではない。それは夜が自分の来歴を語るために用意した、沈黙の劇場である。
私は障子の前に手をかざす。すると五本の指はたちまち骨ばった枝となり、枝先には名もない鳥が止まる。鳥は鳴かない。た ....
善も悪もなかった
昼も夜もなかった
生も死もなかった
有も無もなかった
今も昔もなかった
あの頃に還ろう
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