硝子窓のうちそとに
冬が満ちてゆくとき
光の言葉と影の言葉が
中空であえかにもつれあう
青空が言っている
死はここにあると
公園のベンチから立ち上がって
探しまわる
散歩のひと
ランニングのひと
子を連れたひと
また
ひとばかりさがしている
誰にも会いたくないの ....
雨時計とは雨のふる街をさす
誰もが知らないふりをしたことだが
秒針は環状線のアシンメトリーに似ていた

夜、神話としての男と女が踊り出すと
点と線をむすぶようなあいまいさで
ビニール傘 ....
二〇一七年十三月一日 「日付のないメモ」


 彼は作品のそこここに、過去の自分が遭遇した出来事や情景をはめ込んでいった。あたかもはじめからそれがそこにあって当然と思われるはめ絵のピースのように ....
この胸から一枚の
夏の風景をとりだしてひろげよう
青い湖 まわりは緑の森
そのむこうになだらかな丘々
湖には小さな桟橋 つながれている幾叟かの小舟
ほとりに小さく白い館

そこで僕らは
 ....
かえらぬ人々の
かつてかえっていった道を
あるく

うらぶれた街のシャッターには
等高線のかげがかかる
どこよりも遠い落日にてらされて

石室めいて閉ざされた家々の
木立のな ....
 水の夢を観た
 水を呑む夢でなく、
 水にまつわる夢でなく
 水、そのものの夢
 個体が液体になったのか
 自我が消失したものか
 ぼくにはわからない
 その夢のなかでは
 光 ....
水の声を聴くがいい
水面のゆらめきに影をとられ
なお掴みがたきひとよ
あなたもまた歴史の谷を
流れる水の影なのだ
水は石理を濡らし
戦禍をまたぎ
あなたの口を潤した
だがこの水 ....
壊れたピアノがひとりでに鳴って
夏は残酷にあざやかに夏のままだった
空は記憶のモザイクだった
鳴きしきる蝉の声と
ひとりでに鳴るピアノの不協和が
けれどなぜか心地よかった

記憶のモザイ ....
{引用=去る}

I'll never say farewell.
{引用=わたしはわかれを決して告げない。}

Because,
{引用=なぜなら、}

"farew ....
{引用=蜘蛛の巢}


{ルビ仔蜘蛛が空中でバレエを踊っている=A little spider is dancing ballet in the air}


{ルビ描く銀色の線が罠を形成 ....
キミがそこからいなくなっちゃったので

今はそこにキミのりんかくが幽かにあるだけだ


キミが笑っていたときの

泣いていたときの


壁紙には昔飾ってた額縁の

柱にはねじ巻 ....


いつか風のあきらめが訪れた
としても僕らが滅びたあとで

なにも伝わらないから頬をつたうのだ

アーガイル柄の床の軋み
 骨格があちらからこちら
  誰だってそうなんだろう
 ....
 
"I love such your deed."
{引用=「キミのそう云うところが好きだ」}

"Very I agree with you."
 ....
{引用=すべては夢の中



中}
越冬のことはなにもいえない
あれから僕の身体には青空が広がっていて
雲もない
なにもない

誰にもなにも
いいたくなくなってから
人の言葉が
まるで湖のようにきこえる
僕は両手を
 ....
やはりまず書くことが大切なのだ。例えばきみは、詩を書こうとしている、お話を書こうとしている、批評を書こうとしている、哲学を書こうとしている、文字を書こうとしている。言葉は、始まりがあって、終わりがある .... 「あれからどのくらいたつの?」
「もうすぐ3年」
「ちょうどこのくらいの時期だったね」
と言って彼はガラスの外に目を移した。
人びとが川のように行き交っている。
俺もそれを眺めた。
 ....
子供たち

遊ぶ
白い獣、
むき出しの


ビスケット

緩やかな陽射し、
庭の歓声、
他愛ない時の流れの
そのひとこまに、
静止した
笑みは
遠い空に消え

 ....
"who",
{引用=「誰」、}

"who" is "there".
{引用=「誰」とは「そこに」である。}

"w ....
{引用=雨。
時々、蛙。

波状に、しきり
たゆみなく
それでいて、まろく
忘れてしまう。

よいものはみな
うっとりの
忘却の底。

じつに
屋根も素敵に育ち。

巻貝 ....
{引用=焼夷弾の雨が降る ーーー 逃げなければ、  ! !

迫り来る炎 曲がり角の向こう側 電信柱の影

頭上をあかあかと 熱く赤く 空を染めていた    
 

  ーーーー ....
二〇一五年十三月一日 「芸術は自己表現はない」


 自己の表現と、自己表現は違う。2015年9月29日のメモ「いまだに芸術を自己表現だと思っている連中がいる。きょう、職場で哲学の先生たちがお話 ....
   *

 ブルームーンの流れる河は、あなたのポケットのなか 粉末ジュースを呑みすぎた子供時代のような夜がそっと手をふって花になる朝 韻頭を失った詩がどこまでも誘うからか、スカートが皮膚 ....
あの人は日記のような詩を書く
あなたは詩のような会話をする
その人と会話のように目配せる
かの人の目のような月が笑って
あの人たちは笑いながら消えて
私たちは消えるような息遣いで
そうして ....
二〇一五年十月一日 「℃℃℃。」


℃■■■■■■■■■
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■■■■■■ ....
そうだね、
戦争があったんだ。たしかに。

私の血の中に流れる色のない祖母の声は、
終戦の真っ青な夏空をしている。

春はどうだったろう。そういえば戦争の春のことを
聞いたことがない。春 ....
トルソの夕焼けに
切断された四肢の休息を
みるものはない

石理から拭きとられた水も
砂漠をこえ ひとをこえ
高低をのみほしてきた

砂時計はアシンメトリーである
あらゆる風と雲 ....
海よりもとおい海の
浜辺には声の真空があり
水と石だけがきざまれて在る

列島の等高線をきりおとして
おんなたちは口々に
あれが星の曲率なのだとささやく

だがひとえに言ってしまえ ....
希にではあるが

夜、この家に訪ねて来る者がいる

恐らく、灯りを見て

誰かがいると判断しての、訪問だろう

しかし

灯りが点いているからと云って

そこにいるのが人とは限 ....
ryinxさんのおすすめリスト(1529)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
静寂のエチュード- 塔野夏子自由詩8*21-11-25
青空- 自由詩20*21-10-24
雨時計- 新染因循自由詩12*21-10-21
詩の日めくり_二〇一七年十三月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩14*21-10-11
夏の風景- 塔野夏子自由詩13*21-8-29
楕円のエッチング- 新染因循自由詩9*21-8-13
- 中田満帆自由詩521-8-13
水の声(改)- 新染因循自由詩6*21-8-8
壊れたピアノ- 塔野夏子自由詩3*21-8-3
to_leave- 墨晶自由詩1*21-8-2
Web- 墨晶自由詩2*21-8-2
輪郭- 墨晶自由詩6*21-7-28
千年風化- 帆場蔵人自由詩421-6-28
View- 墨晶自由詩2*21-6-1
眠ってしまえば- 津煙保存自由詩3*21-6-1
越冬- コーリャ自由詩12+21-5-30
バスが来る文体- コーリャ自由詩421-5-30
広くて静かで誰もいない- コーリャ散文(批評 ...3*21-5-27
残光- atsuchan69自由詩10*21-5-15
Clear- 墨晶自由詩3*21-5-10
春雨は途切れることなく葉から葉へ- 道草次郎自由詩8*21-4-17
- 津煙保存自由詩6*21-4-13
詩の日めくり_二〇一五年十三月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩16*21-4-3
ブルームーンの流れる河- 中田満帆自由詩621-4-1
さくらはさくら、で- AB(な ...自由詩12*21-3-25
詩の日めくり_二〇一五年十月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩15*21-3-12
春の花- 田中修子自由詩16*21-2-27
断章- 新染因循自由詩521-2-26
海のパース- 新染因循自由詩16*21-2-25
玄関- 墨晶自由詩7*21-2-21

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