愛していると言えば
愛していることになるのか
なぜそんなに飢えているのか
欲しいものもわからないままで
自分の気持ちも言えないままで
愛していると言えば
愛された気持ちになるの ....
わらうしかなかった なんでも持っているあなたのひとつになれないままで
あまい季節を夢みて
窓のちかくに立っている
腕には
うすあおい痣をもって
むかしに覚えたうたを
口もとに飾って
すこしだけ
笑っている
明日になったら
明日
もしあまい ....
たくさんのひとの中にいて話していると
からだがだんだんうすっぺらくなる
笑ったり怒ったりしている人たちのなかで
からだがだんだんうすっぺらくなる
頭のなかに大きな丸をえがいて
からだがだ ....
電車が来るのに
飛び込まないのはなぜだろう
研いであるのに
刃を当てないのはなぜだろう
行き交う車に
跳ね飛ばされないのはなぜだろう
ビルがそびえるなか
落ちないのはなぜだろう
ド ....
向かいの屋根の瓦にはまだすこし雪が残っている。祖母の家から預かっている蘭の葉が黄ばみはじめた。髪の先だけを少し赤く染めて、わたしは座っている。
選ぶことがすごく苦手だった。どうやって選んでき ....
むかし
世界はぜんぶさわれるとこにあって
世界がぜんぶ自分のものだった
いつからそうじゃなくなったんだろう
手に負えなくて
おそろしくて
おおきくて
でも
確実にうつくしい
いつ ....
花が枯れたから
僕はここにいるね
花が枯れたから
僕はここにいるね
咲いたらよぶから
咲いたらいくから
花が枯れてるうちは
僕はここにいるね
季節はずれの立ち枯れの薔薇の木と 似た者どうしで冬の日に二人
日が落ちて からむ寒さにあわす両手のひびわれがいつもより深い
何もなければよかったね なにひとつ持たずにここにいられたら
....
花巻から一時間半。単線列車にゆられて、彼のふるさとへいった。
空気がつめたく、おりたった駅からはおおきな山と、大きな工場がみえた。
祝日。人はまばらで、商店街のシャッターは七割がた閉まっている ....
あく
音は
男の
懐を
つんざいた
鳥は
はばたいた
女は
終わってる
息を
閉じる
見える
邪魔な
ものが
見える
いく
音は
男の
懐を
つんざい ....
おまえらの心が傾くところに
どんな花が咲くか見てやろう
それがこわいって言うのか
種も蒔いてないくせに
ぜんぶたべきれない
なんでも
半分くらい
時間がわたしを撫でたので
わたしはおとなになった
なにかをきめるたびに
時間がわたしを撫でたので
でも
なぜだろう
男の手が撫でると
すこし
子どもに戻る
ひと言の代わりに振った手のひらを降ろせずに一人振り続けている
わがままを言えば最後になるような気がして噛んだ唇から血
「海をみに」 だからといってくちびるがこんなに冷えるわけないじゃない
将来の展望というものが、希薄だなと思う。それは他人と話していて、感じる。
思い出というものも、同じようにうすぼんやりしている。未来のことも、過去のことも、ぼんやりとしていて、遠い。
二年後とか ....
おそろしくつめたいてとあしとことば。
わたしのすべてに染みるようだと思った。
あまいものばかりをたべた。なぐさめるみたいに
すぐに元気になる。
唇の色で血の味がするような泣き顔 ....
おぼえていられないのは
なぜだろうねえ
花をつみながら
そう言ったひと
なぜだろうねえ
そう言いながらも
ずっと一緒にいる
かたちをかえて
ついてくる
いくつものあれは
真っ白な血をはいて
7ほんめのあしで
かきまぜている
くうかんにねじを
さしこむような
それでいて柱を
なぎたおすような
すうじにきざ ....
天秤にのせられたかなしみは
脂を抜かれた豚の頭のようだ
穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴穴 ....
あなたのために
選んだ服を
あなたじゃないひとに
剥かれている
女なら
愉しまなきゃ嘘ね
ため息のなかで
耳鳴りのなかで
朦朧とした意識のなかで
ぼんやりといつもあなたが浮かんでいる
冷蔵庫には空腹しか入っていないから
腹いせに近所の自転車をみんなかっぱらって頭の中身をみんな乗せて走っているのに
誰からも電話が掛かって来ない
道は歪んでいるしチェーンは外れかけ
雹が降っ ....
広大なシーツの海にひとつの身 あたらしい日に寝返りをうつ
体温のいきどころ無くそれでいて冷えるばかりの指とつま先
たとえば
犬とか猫でもよかったけれど
いまわたしたちは
人間どうしだね
ちょうどおなじ加減で
人間どうしだね
わたしたち
似たものどうしで
ほんとなら
一緒になれたのにね
触れすぎたから
きづかなかった
わたしたち
同じものでできてるみたいに
似通ってた
好きなものをならべるゲー ....
あなたのことすきだったよ
死んでもいいとおもってた
でももうむかしのことです
思い出せないくらいに
はく息がしろいので
いきているのがよくわかる
ベランダ
コーヒーに
満月を浸したら
夜のあじがした
うちのまわりに常習的にみかけるのら猫が2匹いたのだが、寒さがきびしくなってからは、そういえばとんと見かけない。どこかで冬を越しているのか、そもそものらではなく飼い猫だったのか、それとも寒さを越せ ....
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