いったいこの夜の誰が
朝をつれてこられるだろう
あんなに熱い背中をして
泳ぐみたいに生きたのに
6月のくまみたいに不機嫌になって
木の実や空洞をぱりぱりかじりながら
いくらでも理不 ....
ついた嘘にみあうだけの歯車が
回転数をあげてじるじるまわっている
夜はいつまでも濡れたままだ
世界がやさしいのに慣れてしまって
ベランダに石をならべる
それはわたしのものにならないし ....
3日目のケーキみたいに
寝ころがってわたしたちは
あまく干からびて
優しさが固まってく
いつかは
いつでも
おんなじ風にしかキスできなくなるんだね
それともぜんぶ
食べてなくな ....
あなたが
幸福を嘯くとき
わたしは微笑むのです
どれだけ濡れても汚れない純白に
欠けながら輝く下弦の月に
あなたは
ことばを尽くして幸福を縫い付ける
咲いて枯れる花々に見向きもせ ....
4さいのとき
14さいのとき
24さいのとき
ぜんぶそれぞれに淋しかったけど
朝おきて晴れててとなりにだれかが寝ててその誰かは自分ではなくて
となりの部屋の窓が開いてるからテレビのお ....
空腹のわたしに
パンを焼いてやるよ
というひと
でもあんまりやさしいので
ついていくことができない
さむいくらい空腹で
びんの蓋もあけられないというのに
波がひくみたいな当然 ....
石楠花を右に折れ
道なりに進むと
大きな手で盛ったように花の咲く庭がある
かつて愛した日々が
遠くなるごとに輝きを増して
いまではもうかたちを捉えることもできない
それから ....
むすめのひざや足の裏はしっかり厚くなった。ひとり掛けのソファにすわってテレビをみているところなど、すっかり人間ふうだ。わたしは鏡をみるのがきらいになって(太ったまましばらく戻らないから)、自分の顔 ....
愛している
眠りのふちに
ぶらぶら腰かけて
バタをべったりつけたパンに
蝶々をはさんだ夕食
さむい土地であなたは育った
そこではさくらも連翹も木瓜も
いっぺんに咲き
いっぺんに ....
さて今日も花が咲き
往来はあざやかな灰色
卵を割る指に思いが絡まって
( )
シャツを洗い シーツを洗い くつ下を洗い
はがれ落ちる自意識をかき集めてくり返し洗い
....
わたしは
あなたに入力しながら
力強いアデルを聞いている
むかし
わたしが女の子だったころ
失われた世界は
すこしずれたところで笑いつづけており
それはあらゆる角度から夢を刺すので
....
あなたはちっともうたわなくなった
かわりにわたしはピアノをひくよ
それにあなたは笑わなくなった
かわりにわたしはテレビをつけた
あなたはぜんぜん眠らなくなって
かわりにわたしがみる夢 ....
いぬの紐は赤と白でねじられている
悲しみのつぎに
夕日のようなゼリーをたべて
こぼれながら静かに夜がひかっている
まよったあげく遠回りをやめて
いつもどおりの道でかえる
さかりをす ....
夜
からだじゅうのあなたを摘みとりながら
指はあおく湿っている
記憶はうすくひきのばされて
ところどころやぶけながら
いつまでも種を蒔きつづける
朝
おもたい夢を湯舟に投げこんで ....
しーちゃんちの壁は砂壁で
さわるとちょっと手についた
しーちゃんのなかにチェーンのきれた自転車があって
ときどき走りたそうにタイヤをならしてた
しーちゃんのとなりにいればいつでも傷つくこと ....
うす汚れた0が堆積した部屋で熊たちが羽化する
ケーキのきれはしがぴかぴかひかる夜に
わたしはわたしの正しさを待っているのだ
それは来る、かどをまがって
ころんで あちこちへこみなが ....
さくらの花びらのみしりとひらくときの
衣擦れみたいなわずかな音をたべる春待ちたちはやさしい
わきあがるように生まれては こすれるみたいに消えていく
意味のないやさしさはごちそうだ
生温 ....
ひなげし 石ころ 傷んだ人参
これがちかごろのわたしだ
とにかくこのゆがんだ町から出るには
靴をはかなければならない
戻ろうとふりむけば世界じゅうの鈴がなるし、
出したはずの手紙で抽斗が ....
皆んながでていって
私はバスタブの湯を全部ぬいた
[規約に同意しますか?]のしたに
[します]
のボタンがひとつ
なめらかな雨のなか
バスタブはからで
ボタンはひかっていて
わ ....
ベロアの
ワンピースきないまま終わっちゃった
冬の、
のりしろを引っ張ってだきあう
夜になるとひかる体は
百円ショップで買った
キーホルダーみたいに
だんだんにぶく光をやめる
....
きみがいつまでもいないあなたをみているので
ぼくは一塊の埃になってしまった
埃になってもなお消えない思いで
ぼやっと燃えてしまった
きみが布巾をとりにいく
それで些細な焦げを拭きとる ....
わかるのは、わからなくてもいいようなことばかりだ。
ききょう、ぴなぴなして頼りない花びら。ここにいる前に、どこにいたのかわかる。前にいた場所からここまでも、きっと歩いてきたはずだけど、どう歩いた ....
ゆめの在りようを忙しなく描いては
愛おしく汚れて色付く指指
あたしたちは性懲りもなくなんども見つめあっては
数秒ずつの恋を終える
この世の輪切りを飾って悦に入るなよ
どんな隙間にも羽 ....
そして言葉がのこる
かなしみ蹲り泣きわめいた疲労のあとに
抱きあい掴みあい崩れ別れた困憊のあとに
言葉がのこる、
文字からかろうじてことばのかたちをして立ち上がる
泥のようにみじめで ....
食べたいわけではないが
星を食べる
背後に暗い夜を抱いて
まぶたがしめってうまく目があかない
そうすると朝がくるのだ
何度めの朝か
もう何も来なくていいように私は笑う
鳴り
が
日に日にさわがしくなり
絵の具 は
混ぜあわされて
ひろがり あわだち にぶい 灰色
に
角がふえ
つづける 図形の
直角を 削り 飾り
とにかく広場はいっぱい
....
声をかけるとむすめが転がってくる。はしるみたいにして。
この神社の参道は長い、すべての鳥居をくぐろうとすると四十分はかかる。むすめの足だと九十分はかかるかもしれない(そのまえに疲れて動かなくなってし ....
世界が世界であるかぎり
わたしたちは夢を見るのだし
なんどでも夢からさめる
放りだされたさいころみたいに
つめたい体を転がしながら ときどきは、
咲いたりもする
咲いたふりをして逃げた ....
むすめが夢中になって影をなぞっている。先月から暮らしはじめたこの家はよく日が入るので、影もまた濃い。ななめに射す光のうえで腹ばいになって、カーテンの影にまぎれているむすめはあたらしい夢みたいだ。
....
いま
手のひらがたのボトルの手首あたりまで
黄昏がせまっている
背中に受ける波を愛しながら決める
もう捨てよう
ここも あそこも あの本も
本物の海を見たり聞いたりしたこともあった ....
はるな
(1880)
タイトル
カテゴリ
Point
日付
6月のくま
[group]
自由詩
8
17/6/15 3:44
うそと歯車
自由詩
3
17/6/15 3:40
3日目のケーキ
自由詩
1
17/6/9 23:32
くちなし
自由詩
1
17/6/9 23:29
余白
自由詩
1
17/5/27 0:17
パン
自由詩
2
17/5/24 20:51
庭
自由詩
7
17/5/22 1:22
あるいは鉄や果物かもしれないもののこと
[group]
散文(批評 ...
4
17/5/19 17:56
朝食
自由詩
4
17/5/6 22:32
洗いざらし
自由詩
9
17/4/30 8:43
つづける
自由詩
1
17/4/28 20:44
夢
自由詩
3
17/4/17 22:52
駐車場
自由詩
4
17/4/15 13:31
紐
自由詩
11
17/4/5 2:01
自転車
自由詩
2
17/4/5 1:20
うすいまく
自由詩
3
17/4/2 20:57
春待ち
自由詩
4
17/4/1 0:31
となりまち
自由詩
6
17/3/29 19:48
バスタブ
自由詩
1
17/3/18 1:30
蓄光
自由詩
5
17/3/14 2:06
布巾
自由詩
5
17/3/8 19:46
わかる
自由詩
4
17/3/6 20:25
ゆめゆめ
自由詩
8
17/3/1 2:03
樹
自由詩
3
17/2/23 20:54
星
自由詩
0
17/2/23 0:03
広場
自由詩
2
17/2/22 23:11
参道
散文(批評 ...
3
17/2/18 23:09
夢みる
自由詩
8
17/2/15 20:57
ガーベラ
散文(批評 ...
2
17/2/15 13:29
黄昏
自由詩
1
17/2/13 19:29
1
2
3
4
5
6
7
8
9
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