雪がふる
ようなしずけさで
きみが横に立つ
知っていた
ことと
知って欲しかった
ことのさかいめに
散るように
立って言う

夜は
いまでも
白い手を
たよりにして
く ....
まばらに降ってくる秒針に刺さりながら
死んでいくということをわかりそうになる
溶けた絵具の優しさよ、
錆びたレールの優しさよ、
朝、ななめに射す光のなかで
じくじくと枯れていく草たち ....
ゆめで会いにくるくまたちがほんとに好き
ないものをもっていて
あるものは置いてくるから

蝶蝶りるりる鳴いて、
ここはまだゆめなのだとおもったとき
わたしの足はまだらでした
嘘とほん ....
食べそびれたナッツケーキ、午後は乾いて吹き飛んで
月や夕陽に紐をつけて散歩させる毎日わたしたちは
もちろんその暇があればすぐ殴りあう
どうしていまごろあなたはそんなに

犬たちの、猫とは ....
わたしたちは 同志じゃなかったか
つやつやとひかる夜空の月をつまんで椀に入れる
愛のような何かを信じて生き続けた
蔓延る雑草のようにありふれて強く
そしてたやすく引き抜かれるものを
 ....
うすらさむい肌に
あなたがのったとき
わたしはまだ女ではなかった

寝返りの襞に言葉が沈み
朝陽に産毛が焼かれると

夥しい嘘が
たった一枚の真実に包まれて寝転がっていた
あかる ....
3時になったら起こしてねと言って寝室へきみは行った、それからだいたい三年が経ったように思う。
元旦、朝は曇っていたが東の方から掃くように雲は流れ、正午には空は真っ青な顔をして、気の早い蝋梅が ....
捨てられた猫のために
いったいいくつの嘘が必要だろう
きみが飛んでいくほど風の強い午後

覚えたてのからだに
バターのようにしみた嘘
ひと晩じゅうかけて
愛をはがしていく
 ....
亀はよなか
光っていた

声が
それを
すべるように引き去ると
亀たちは安心して眠った

毎夜順番に ひかる亀たちを
うつしながら水は
さびしさも 涙も
持っていなかった ....
押寄せる季節の色々に
見とれながら躓いては
間違い探しの答を望んでいる

きょうはやけに枯葉が多いとおもったら
これは枯れた夢たちだ
わあ光りますね、
そうですね
影の手で触る
 ....
くまたちの濡れた鼻、 初霜
シーツの巣むせかえるような熱
冬眠まえ

会いたくてめくれちゃったからだが愛しくて
そのまま走ってた
走ってたらたのしくて
飛びかたを忘れてしまった

起 ....
今年いちばんの冷え込みでした、とテレビが言っている、どおりで指さきまでかちかちに冷えるわけだ。凍るような朝焼けのあと、毛布のなかでからだをぎゅっとちぢこめていても伝わってくる娘と夫の体温にはさまれ .... だれかのためにしたいと思うとき
胸はすみれでいっぱいになった

雨のあとのコンクリートみたいにふしぎに澄んで
すみれでいっぱいになった

そもそものはじまりとして
世界は美しく
ひとは ....
あなたがわたしにひいた線は
しずかに沈んで いまはもう
ほとんど わたしになりました

種から花へ
あるいは花から種へ
その季節ごとにひいた線は
たがいに絡まりながらなお伸びてい ....
かなしい報せがよるをつたって
やって来ました
ぬるくなったビールを わけてやると
すこしあかくなっていた

よりかかろうかな とおもったけど
やめとこうかな

愛しているといえば ....
おわりかけ はその日
おわろうとして あさを迎えた

落ちるように陽がのぼり
空がみるみる青ざめて
いちょうが黄色い服を脱いでいる
生きているのは
不自然なことだ
卵もコンクリ ....
むすめの太腿にあるうす茶色な柔らかい痣と
ほとんど同じな色と形とおおきさの痣がわたしにもある
生まれたときからあって
したしく思ってる

むすめがいつか
科学者になっても 売春婦になっても ....
窓のうら側で夜が渋滞してる
過食症のねずみがカーペットに絡んで

おそろしいのは
そのすべて
海とか朝とかお皿とか
ありもしない思い出までが立ち上がって
わたしを抱こうとするそし ....
わたしは立っていて
ひどく空腹で
おまけにあなたはいなかった

笑えるほど大きな棚を開けると蝶の骨が入っていて
いくつもいくつも入っていて
ほとんど重さもないようなそれを
いくつ ....
10年ぶりにはいったコーヒースタンドの角からひとつずれたところに座ってるてんちゃんはもう瘦せぎすじゃなくて、なんかふつうの男のひとにみえた。
足音をさせて近くまで行ってもふりむかないのはまえと同 ....
ビル
群れ、
忘れながら白く残る影、
あなたの話は
死ぬとか生きるとか
ちっとも美しくないの
だから素敵
日々は洗浄
蝶のかたちに
群れ、
ひと
だれかの

背骨のよこに ....
満月をつまんで
ポケットにいれてしまう
冬を待たずに
眠ろうとするひと

わたしは紐を
片手で握りしめ
もう片方の手を伸ばしている
言いたいことがある
寄せたい頬がある
満 ....
刃ものみたいに
とがった穴を
言葉たちがすり抜けるたび
けずれる
文字とも音ともつかない粉が
一杯になって
それはもうやわらか

刃だってだんだん鈍って
いまはやさしい熊ぐらいに ....
開けた窓からの空気がつめたくなってきて
夜はすこんと訪れる
カーテンのふちを流れるのは金木犀
朝焼けにぽとぽと落ちた銀杏。
光を孕んでなおしずかな秋晴れに
かわいた体で転がったみたい ....
もうそれは溢れてて、熱くて
こわれるみたいに鳴っていた

わたしは切るところがなくなって
肌ざむい朝を待って 家をでる
やわらかいブーツとか、とくべつなジャム、
相槌がわりの歌詞やクレ ....
乾かないとびらの前を転げてく あかい林檎と蠅と蜜蜂

どの花を食べれば会える どの花もいない人には繋がらないよ

例えばの話で塞ぐ逃げみちを 今さくかもやすかふりむくか
ぬれて可愛い犬のあたまを撫でてやる
自分の手が よいもののようにみえてくる

ほんとうのことを言っていればいいと思っているひとのとなりだと
まるでほんとうでないように見えるわたしの手が
 ....
満月 あなたはひどく怒って
穴だらけの夜を叩いた
道路や橋は
眠ったふりをした
夜は
しゃがらんしゃがらん
叩かれるたびに
穴を埋めていく
みんな起きていた
あなたがかなしそうに怒っ ....
わたしはこれから
目を覚ますから
あなたはカップを出しておいて

コーヒー豆は冷蔵庫、
ナッツ・ケーキは戸棚のうえに
泣いてるうさぎにベッドを貸して

手をつないで坂を下ろう
 ....
言葉が砂みたいにつまって
詩はもうなくなった
わたしは砂袋

されたキスは
ぜんぶ覚えてる
黒ずんで腐ったところ

いまは眠たい
砂袋になってしまったのに
眠たくて眠たくて
 ....
はるな(1849)
タイトル カテゴリ Point 日付
泳ぐ自由詩417/2/4 20:37
優しさ自由詩217/1/28 7:31
りるりる自由詩717/1/23 22:03
どうしていまごろあなたはそんなに自由詩517/1/17 22:46
汁粉自由詩617/1/11 23:13
あかるい森自由詩817/1/7 0:24
凧、3時自由詩317/1/4 14:48
どれだけの嘘が必要だろう?自由詩316/12/28 3:13
亀たち自由詩516/12/19 23:30
影の手自由詩416/12/19 23:25
冬眠まえ自由詩116/12/16 19:20
_散文(批評 ...316/12/12 20:28
すみれでいっぱいになった自由詩416/12/10 20:45
せん自由詩1716/12/4 23:43
ばらばらのガラス自由詩116/11/27 1:43
おわりかけ自由詩216/11/26 14:30
痣とむすめと自由詩216/11/19 0:08
ほとんどすべての嘘自由詩216/11/12 17:11
蝶の骨自由詩216/11/7 0:56
てんちゃんのこと散文(批評 ...116/11/7 0:27
洗浄自由詩316/10/29 0:46
満月に紐をつける自由詩216/10/26 0:09
粉ごな自由詩216/10/20 0:28
秋晴れ自由詩416/10/6 23:34
あいたち自由詩116/10/3 23:41
[group]短歌116/10/2 0:47
ぬれた犬自由詩516/9/25 3:33
満月自由詩916/9/13 0:01
戸棚自由詩516/9/11 16:06
砂袋自由詩416/9/11 0:27

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