わかるのは、わからなくてもいいようなことばかりだ。
ききょう、ぴなぴなして頼りない花びら。ここにいる前に、どこにいたのかわかる。前にいた場所からここまでも、きっと歩いてきたはずだけど、どう歩いた ....
ゆめの在りようを忙しなく描いては
愛おしく汚れて色付く指指
あたしたちは性懲りもなくなんども見つめあっては
数秒ずつの恋を終える

この世の輪切りを飾って悦に入るなよ
どんな隙間にも羽 ....
そして言葉がのこる
かなしみ蹲り泣きわめいた疲労のあとに
抱きあい掴みあい崩れ別れた困憊のあとに
言葉がのこる、
文字からかろうじてことばのかたちをして立ち上がる
泥のようにみじめで ....
食べたいわけではないが
星を食べる
背後に暗い夜を抱いて

まぶたがしめってうまく目があかない
そうすると朝がくるのだ
何度めの朝か
もう何も来なくていいように私は笑う
鳴り

日に日にさわがしくなり
絵の具 は
混ぜあわされて
ひろがり あわだち にぶい 灰色

角がふえ
つづける 図形の
直角を 削り 飾り
とにかく広場はいっぱい
 ....
声をかけるとむすめが転がってくる。はしるみたいにして。
この神社の参道は長い、すべての鳥居をくぐろうとすると四十分はかかる。むすめの足だと九十分はかかるかもしれない(そのまえに疲れて動かなくなってし ....
世界が世界であるかぎり
わたしたちは夢を見るのだし
なんどでも夢からさめる
放りだされたさいころみたいに
つめたい体を転がしながら ときどきは、
咲いたりもする
咲いたふりをして逃げた ....
むすめが夢中になって影をなぞっている。先月から暮らしはじめたこの家はよく日が入るので、影もまた濃い。ななめに射す光のうえで腹ばいになって、カーテンの影にまぎれているむすめはあたらしい夢みたいだ。
 ....
いま
手のひらがたのボトルの手首あたりまで
黄昏がせまっている

背中に受ける波を愛しながら決める
もう捨てよう
ここも あそこも あの本も
本物の海を見たり聞いたりしたこともあった ....
 孔雀が羽根をふるように着飾る女あるいは男。よなよな磨いたことばが立ち上がった拍子に手からこぼれて、そのまま坂道を転がりおちていくのを見ていた。ちょっとおもしろいふうな気持で。それはまるくとがって .... 雪がふる
ようなしずけさで
きみが横に立つ
知っていた
ことと
知って欲しかった
ことのさかいめに
散るように
立って言う

夜は
いまでも
白い手を
たよりにして
く ....
まばらに降ってくる秒針に刺さりながら
死んでいくということをわかりそうになる
溶けた絵具の優しさよ、
錆びたレールの優しさよ、
朝、ななめに射す光のなかで
じくじくと枯れていく草たち ....
ゆめで会いにくるくまたちがほんとに好き
ないものをもっていて
あるものは置いてくるから

蝶蝶りるりる鳴いて、
ここはまだゆめなのだとおもったとき
わたしの足はまだらでした
嘘とほん ....
食べそびれたナッツケーキ、午後は乾いて吹き飛んで
月や夕陽に紐をつけて散歩させる毎日わたしたちは
もちろんその暇があればすぐ殴りあう
どうしていまごろあなたはそんなに

犬たちの、猫とは ....
わたしたちは 同志じゃなかったか
つやつやとひかる夜空の月をつまんで椀に入れる
愛のような何かを信じて生き続けた
蔓延る雑草のようにありふれて強く
そしてたやすく引き抜かれるものを
 ....
うすらさむい肌に
あなたがのったとき
わたしはまだ女ではなかった

寝返りの襞に言葉が沈み
朝陽に産毛が焼かれると

夥しい嘘が
たった一枚の真実に包まれて寝転がっていた
あかる ....
3時になったら起こしてねと言って寝室へきみは行った、それからだいたい三年が経ったように思う。
元旦、朝は曇っていたが東の方から掃くように雲は流れ、正午には空は真っ青な顔をして、気の早い蝋梅が ....
捨てられた猫のために
いったいいくつの嘘が必要だろう
きみが飛んでいくほど風の強い午後

覚えたてのからだに
バターのようにしみた嘘
ひと晩じゅうかけて
愛をはがしていく
 ....
亀はよなか
光っていた

声が
それを
すべるように引き去ると
亀たちは安心して眠った

毎夜順番に ひかる亀たちを
うつしながら水は
さびしさも 涙も
持っていなかった ....
押寄せる季節の色々に
見とれながら躓いては
間違い探しの答を望んでいる

きょうはやけに枯葉が多いとおもったら
これは枯れた夢たちだ
わあ光りますね、
そうですね
影の手で触る
 ....
くまたちの濡れた鼻、 初霜
シーツの巣むせかえるような熱
冬眠まえ

会いたくてめくれちゃったからだが愛しくて
そのまま走ってた
走ってたらたのしくて
飛びかたを忘れてしまった

起 ....
今年いちばんの冷え込みでした、とテレビが言っている、どおりで指さきまでかちかちに冷えるわけだ。凍るような朝焼けのあと、毛布のなかでからだをぎゅっとちぢこめていても伝わってくる娘と夫の体温にはさまれ .... だれかのためにしたいと思うとき
胸はすみれでいっぱいになった

雨のあとのコンクリートみたいにふしぎに澄んで
すみれでいっぱいになった

そもそものはじまりとして
世界は美しく
ひとは ....
あなたがわたしにひいた線は
しずかに沈んで いまはもう
ほとんど わたしになりました

種から花へ
あるいは花から種へ
その季節ごとにひいた線は
たがいに絡まりながらなお伸びてい ....
かなしい報せがよるをつたって
やって来ました
ぬるくなったビールを わけてやると
すこしあかくなっていた

よりかかろうかな とおもったけど
やめとこうかな

愛しているといえば ....
おわりかけ はその日
おわろうとして あさを迎えた

落ちるように陽がのぼり
空がみるみる青ざめて
いちょうが黄色い服を脱いでいる
生きているのは
不自然なことだ
卵もコンクリ ....
むすめの太腿にあるうす茶色な柔らかい痣と
ほとんど同じな色と形とおおきさの痣がわたしにもある
生まれたときからあって
したしく思ってる

むすめがいつか
科学者になっても 売春婦になっても ....
窓のうら側で夜が渋滞してる
過食症のねずみがカーペットに絡んで

おそろしいのは
そのすべて
海とか朝とかお皿とか
ありもしない思い出までが立ち上がって
わたしを抱こうとするそし ....
わたしは立っていて
ひどく空腹で
おまけにあなたはいなかった

笑えるほど大きな棚を開けると蝶の骨が入っていて
いくつもいくつも入っていて
ほとんど重さもないようなそれを
いくつ ....
10年ぶりにはいったコーヒースタンドの角からひとつずれたところに座ってるてんちゃんはもう瘦せぎすじゃなくて、なんかふつうの男のひとにみえた。
足音をさせて近くまで行ってもふりむかないのはまえと同 ....
はるな(1799)
タイトル カテゴリ Point 日付
わかる自由詩417/3/6 20:25
ゆめゆめ自由詩817/3/1 2:03
自由詩317/2/23 20:54
自由詩017/2/23 0:03
広場自由詩217/2/22 23:11
参道散文(批評 ...317/2/18 23:09
夢みる自由詩817/2/15 20:57
ガーベラ散文(批評 ...217/2/15 13:29
黄昏自由詩117/2/13 19:29
部屋、または砂の花 あるいは孔雀じゃなかった鶏自由詩217/2/10 10:51
泳ぐ自由詩417/2/4 20:37
優しさ自由詩217/1/28 7:31
りるりる自由詩717/1/23 22:03
どうしていまごろあなたはそんなに自由詩517/1/17 22:46
汁粉自由詩617/1/11 23:13
あかるい森自由詩817/1/7 0:24
凧、3時自由詩317/1/4 14:48
どれだけの嘘が必要だろう?自由詩316/12/28 3:13
亀たち自由詩516/12/19 23:30
影の手自由詩416/12/19 23:25
冬眠まえ自由詩116/12/16 19:20
_散文(批評 ...316/12/12 20:28
すみれでいっぱいになった自由詩416/12/10 20:45
せん自由詩1716/12/4 23:43
ばらばらのガラス自由詩116/11/27 1:43
おわりかけ自由詩216/11/26 14:30
痣とむすめと自由詩216/11/19 0:08
ほとんどすべての嘘自由詩316/11/12 17:11
蝶の骨自由詩216/11/7 0:56
てんちゃんのこと散文(批評 ...116/11/7 0:27

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