着かざってる
女の子たちに
にっこり笑いかけると
疎まれるけど
だからといって
犬猫にも
すかれない
男の子は
流動的すぎるし
男のひとは
大きすぎる
それだから ....
いくつかの朝と夜が
一日を切り分け
昼間を結ぶたび
あるようで
ないものを
数えていた
いくつ数えても
増えないものを
数えていた
いくつかの朝と夜が
泥のような一 ....
しらない国から
風が吹き
しらない国へと
わたってゆく
鳥でもこうは
とべません
しらない国から
雲がきて
しらない国の
滝となる
鯉でもこうは
のぼれません
....
まつげが
長いから
ほかのひとよりも
うす暗い世界で
生きている
ときどき はっ として
息をとめている
チェリーを吸ってた
女の子
思い出すように
生きるから
死ん ....
真夏だが雪の降る日である。こんな日に足湯へゆこうと誰ともなく言い出すのはしごく真っ当、ふだんは気難しい祖母までもが電話を寄越して「足湯かねこんな日は」とめずらしく意見をそろえてきている。
「冬の靴下 ....
にっこり笑う
目じりと頬のしわ ふけた
働きものの手指はかわりなく ただいまといって
にっこり笑う 目が やっぱりビー玉みたいにすこしひかっていた
そのときわたしは
夕やみが背中にきれいにかかるさまやみどりのこっくりと茂る影の不気味、ぼうっと灯る生活の模様やちゃりんちゃりんと鳴っているやさしげな時報に見いって、聞きいっていたのでやわらかく磨 ....
短い旅を終えて
君が立っている
骨ばった大きな笑みと共に
ほどけた靴ひもを
結んであげるよ と言うと
いいんだ これから
空を飛ぶから
そう言って
短い旅に
でて行った
ブルームーン、青くないねって笑ったきみの犬歯にかかる流星
これきりとかわした肌に露が落ち二度目の月が白く微笑む
4:42AM
きみがてのひらで
目かくしをしてくれる
いいにおいのする
やわらかい暗闇が訪れ
どこかで
列車が動きはじめている
八月の終り
きみがてのひらで
目かくしをし ....
十八
すべりこむとうめいの音、(僕の)使えないなかみ
まちがい、溶け出した赤い右手と、黄色い耳と、走ってる車の、青白い音と十円玉でつけた引っかき傷がほんとうは気付いてるってこと、
ほんと ....
わたしがあなたの下着を干しているあいだ
あなたはわたしのために歌をうたっている
わたしがにんにくの皮を剥いているあいだ
あなたは二人分のコーヒーを落としている
わたしが玄関のタイル ....
見あげた鉄塔は
汗もかけずに
さむざむと鉄色をしている
足もとの濃い影が
すこしだけ揺れて
ふりむいたすべてはあかるすぎて見えない
あかるすぎて
見えないなかで
あなたがあ ....
愛していると
水に沈めるようにしか
言えなかった
おもたいものほど
きちんと遠くへ沈むので
うみがめが
なみだを分泌するように
水のなかで
愛しているを
沈めている
....
つかまえることなどできはしないのに つかまることはひどくたやすい
はずかしいことばかり言う あさもよも なげだすつもりの つめたいきもちも
見えるはずのないものをみて みなければならな ....
むかし熊だったころの話をすると
わたしの手あしの毒虫に噛まれたところがどくどくと痛むので
これはむかし熊だったころにも同じところを噛まれたのだろうなと
予想できる
それくらいの頭で
....
陽のしたで
わらっている子ども
泣くとき大声あげるん
だろうな
ひざをかかえて
血をなめている
わたしのもとへ来る蛾は
どいつも羽が
不揃いで
うまく飛べるように
たか ....
押しだされる
水はつめたい
書物は
ため息のようにぶ厚い
きみのまぶたは
蝶の羽のようなかすかな運動をつづけている
空気は遠くなりすぎた
青はためらい
黄色は純情
うす紫 ....
夏休みでした。水族館へ連れて行ってもらい、夕食付きのホテルへ泊まった。
水族館では、いるかの跳ねるところと、くらげの展示と、あしかのショーの最中に、濡れたあしかの肌が、おどろくほどすべらかなさま ....
みて
水曜日が
からからに
干上がっている
じょうずに染まってみても
ここには誰もこない
いいから、早く
あぶらまみれの手を
さしだしてみろよ
たじろぐ君のうら側で
折りたたまれた意味が
つぎつぎと辞書へかえってゆく
ノックを待たずに
こちらからドアーを開ける
いつも
だれか にとっての だれか のかわり
ドアーが開いて閉じ
もういちど開いて閉じるまで
種火がはげしくなり
さかい目をも ....
*
やあ天気が良いからなにか灰皿の代わりになるものを持ってきてくれないかと言うと掌をむける。あまりに白くて使いものにならないな、どこにいたって日かげをつくってくれるのならまだしも。
これはほんとう ....
鳴るように
色付いて
はばたくように
ふれあう
それは
ひどく
不器用な鳥たちが
抱きあい
落下する 夕暮れ
今日がなかなか終わらないで
あしぶみする明日がくさっている
あたたかいのは
泥だった
あたらしいものを食べたくて
舫いをはずしたのに
気がつけば
泥をさがしている
これは
....
ささくれを剥いたところで息をつく (これがいつかの咎だったなら)
おちてみて気づく深さの泥沼の いつか自分でそそいだ泥だと
あわれみを十本のゆびにたぐらせて いい子 いい子 と その羽 ....
きょう一日をやりおおせた
とおもうのは
はげしい気もちをした日とか
ふかく考えをした日とかでなく
よっぽどの働きをした日でもなく
さるすべりの花の咲いてあるのを数えたり
五つからな ....
さか立ちして
空でおよいだ
ふようの花が
あしたしなびるのに
ぱあ とひらいてみせたりするさまが
頬紅とにている
あるいはいつものぼる太陽と
にているかもしれない
あしたし ....
あかぐろい肌をして
山盛りの雲をあおぐ
雨を待つわずかの間に
なんども恋におちる
季節はぎしぎし言う
発情のおわらない猫が
前足で引き留めている
濃緑が
少女を溶かしてしまった ....
外へでればぐんと伸びるような青空、目だまの焼けそうなアスファルト。段ボールみたいに日焼けして香ばしいにおいのする子どもたちとか、中学生くらいの男のこ。少年の汗ってどうしてあんなふうにぎらぎら反射す ....
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