花だったら
きちんと枯れたのに

人でいて
笑顔で腐れている

あなたを撫でると
わたしの花が枯れるようで
それだけが救いだった
それは
いつも夜でした

横たえたただしさに水をそそぎ
愛や嘘が流れる扉を背に

あきらめるように
また
生きることを決めるのは
まず目をとじる
つぎに手をひらく
そして想像してみる

捨てさることのできない
自分というもののなかに
ちいさく
しめってふるえている
自我を想像する
それを捨てる

目をとじる ....
きみが欲しがるなら
月と星のかがやくところを
ぜんぶとってきてあげるよ

夜が
このさき
永遠に真っ暗でも

かまわない
だれかが死んでも

終わりのある日々に
きれいな蝶 ....
いるのは
さよなら
だけだったね

人だらけのまちで
風が倒れるのを
ひたすらにまっていた

そして
ようやく出あった
ふたりに
のこっているのはもう
さよならだけだったね
 ....
蒼白い頬が好き。と言ったら気味悪がってそのあと一度も連絡が取れなくなった子もいたしなんでか食事を抜き始めてばかみたいに痩せてみたりしたひともいた。いろんなひとがいた。でもみんなどこかへ行ってしまった。 .... 台風という言葉はわたしをなつかしい気持ちにさせる。と思って、でも、よくよく考えたら、わたしは非常に多くの言葉になつかしい気持ちにさせられる。たとえば読書、と聞いても、小学生の休み時間のほとんどを過 .... 雨がふるので
膝を立てて
まがった指で
生理用品をつけかえる

角に立っている男たちが花売りを罵倒している

走り抜ける街の多さ
どれだけ降っても
給水塔はふやけない

雨が ....
人を
ただしい場面で
ただしい順序で
ただしい角度に
揺すると
泣く

そのただしさを
習得することを
愛とか技とか
呼ぶ人びとを
軽蔑し
憎んでいるわたしも

ただしい角 ....
出し入れするものがちがうだけで
会話になったり
セックスになったりする
不安

雨は降るし
音は流れる

あらがうものが
ないだけで
こんなに不自由なのに
愛されなんてしたら ....
可愛かった君が
台風になったと聞いて
かなしかった

あんなに可愛かった君が
なに食わぬ顔で
意味や 時間を
張り飛ばしていく

むかし
一緒にうたっていた歌を
はぐれた風に ....
空がすこんと抜けそこから夏と秋とが入れかわって鱗雲。日差しはどことなく丸っこくなって色もなんとなく赤っぽい、カーテンにハンガーのかげがうつっている、それとそれに吊るされている布たちと。
ここはほとん ....
毎晩
息をふきかえす恋情の手をにぎって
墓場へつれていく

そうして
同じようにして来たあなたと
抱き合ってから
墓を掘り返し
うめる
説明のつく気持ばかりをあつめて評価しようとしている。

きのうと今日はいろいろなことを台風のせいにした。
夕食の準備しなかったのも、本が読み進められなかったのも、洗濯も掃除もろくにしないで線 ....
ねむる人から
わずかに死がにおっている

うなじにくちびるをつけ
愛してやると
その背中に
にじむように命が動いている

ねむる人よ
安らかに
いまは死のふちをなぞっておいで
しかたなく押したボタンの副作用 瀕死のコイの心臓波うつ 往来へでて
てきとうな影をみつけては持ち帰るが
どれもやはりあなたではない

晴れた日には
いつもより多くの影が行き交うが
どれもやはりわたしではない

くもりの日
沸点をこえた ....
かすれたペンみたいな呼びかたで
わたしの名前をなぞるひと

ねころんで みえていた
溶けいりそうなまつ毛に
露のような気持を刺して
いっしょう
心がつぶれたまま
生きていけばいいの ....
後ろ手に曲を奏でて鳴りおわったらさよなら
咲いたまま首を落とす椿みたいな朝

コンクリートのうえで
べらぼうに
赤く

どうしても開いたままの花弁が風に
痛い
手のひらを
ひらいたとき
いくつもの時間が
そこで死んでいた

顔をあげると
いくつもの季節が
道路のすみで
凍えていた

ふるえる指で
拾いあげた
だれかの言葉は
死に ....
ほかでもないあなたと
どうしようもなくなりたい
雨の日に雨だれを数えながら飢えていくのもいいし
乾いた日に蟻をつかまえて拷問するのもいい
湿った毛布のなかで賞味期限の切れたひき肉みたいに絡 ....
誰もいない
重ねる手も
合わせる膝も

誰もいない
目をとじても
ひらいても

波さえ
だんだん遠のいて

かわいたページを繰るように
日がしゅんと消えていった

誰も ....
午後の床 殺意にも似た日焼あと

濡れた戸をひらいて閉じて行き止まり

食べかけの歯型ごと熟れ黄ばみゆく
のびたりちぢんだりする時間のなかで
きれいにした足をそろえて泣いている

破綻した物語を
書き続ける
老人のようなきもちで
いろいろな世界とちがって
あれはゆれない

やわらかいものを
固いもので包んで
自分から傷ついているような
いたいたしさだ

そういうものを
いくらゆらそうとしても
赤々しく
 ....
明日はもう
ここにはいないし
雨も降りそうだし
こわいから
食べて

そして
明日になったら
明日のわたしを
食べてね
手がふれる、という覚悟と、手がふれた、という諦念の間には、ほんのわずかの隙間があって、わたしはだいたいそこいらへんに住んでいるのじゃないかと思う。わかっていながら、実在に達しない、その、なんとも。 .... 誰かが死んでいて
わたしたちは抱き合っている


誰かは必ず死んでいて

痛いまま
泥へ促される
わたしは抗わず
誰の手もつめたくない

忘れものを忘れたまま
延々とあかるい ....
生き過ぎて
置きどころのない身を丸め
世界じゅうの
音を聞いていた

気持ちばかりが散らかってゆき
世界が
どんどん狭くなる

それから、立ち上がって

なにもかも行き届いた ....
着かざってる
女の子たちに
にっこり笑いかけると
疎まれるけど

だからといって
犬猫にも
すかれない

男の子は
流動的すぎるし
男のひとは
大きすぎる

それだから ....
はるな(1880)
タイトル カテゴリ Point 日付
撫でる自由詩512/10/1 1:44
水びたしの夜自由詩612/10/1 1:36
チャイム自由詩612/9/28 20:32
蝶々自由詩212/9/28 20:10
たおれる自由詩212/9/27 14:57
詩なんてかきたくなかった散文(批評 ...612/9/26 1:43
台風のこと[group]散文(批評 ...112/9/25 3:24
給水塔はふやけない自由詩412/9/25 0:20
ゆらす自由詩2412/9/23 1:54
ペン2自由詩412/9/23 1:41
きれいな骨自由詩712/9/21 15:33
いろいろな感じについて散文(批評 ...212/9/21 15:24
うめる自由詩512/9/20 0:45
台風のせい散文(批評 ...212/9/20 0:24
ねむる人自由詩812/9/19 1:34
副作用短歌112/9/18 16:38
自由詩6*12/9/18 13:30
ペン自由詩012/9/17 22:31
赤く自由詩212/9/17 22:29
ことば自由詩812/9/17 0:03
自由詩1212/9/16 22:01
誰も自由詩812/9/16 21:33
午後の床川柳312/9/14 16:19
そろえて自由詩512/9/13 14:52
ゆれない自由詩212/9/13 14:50
たべて自由詩512/9/13 14:48
届くとか届かないとかのこと[group]散文(批評 ...812/9/11 18:58
無題(死んでいる誰かと)自由詩212/9/11 8:42
ばらのジャムを煮る自由詩2012/9/10 13:11
笑いかける自由詩412/9/10 1:07

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