おーい気分は
気分はどうだい
ぼくは泥を吐いて
新しい泥を飲み込んだ
むかいの山小屋で船を編んでいるあの子
おーい
気分は
気分は最悪だ
恋人は早朝出て行った
知らない匂いを ....
ひとの手でひらかれてなお閉じている 体から出る術を知らない
吊るされたカーテン わたしはここにいて光の落とす影を見ている
予想よりも早い、5984625465回目で
男はガラスをすり抜けることが出来た
彼は喜びにふるえ咆哮したが
すでに彼の妻も子も親も友も存在しなかった
彼自身の声も拳も涙も
すでに存在しは ....
あなたはもう
星をたべるのをあきらめて
だんだん肌がふやけるのも厭わずに
プラスチックばかりたべている
みずうみ一面にふやけたあなたの胸のあたりに乗っかって
見あげたらビスケットのた ....
甘いお菓子をあげよう と
つれてこられた壁のうち側には
びっしりと塩の結晶が生えている
塩をなめながら
つま先だちでのぞいたそと側では
こちらと同じように
塩辛い結晶がきらきらとか ....
猫が転ぶとき
そこには道路と猫とわたしがあって
あたかもおのおの一番遠いもの同士のよう
二月にふる雪はぴらぴらとして細かく
手のひらにのせるまもなくとけ消えてしまう
ひとひらひとひら ....
ためらいをすすいでもなおしがみつく なめらかな背にきょうも日暮れる
陽と月の長さをわけるいとなみを あしをそろえて外をみていた
群衆のみている色のはんたいのいちばん端に紐をゆわえる
日のくれるながさに臓のかたむきをあわせひそめる影のようになる
う ....
あんまりに海がひかっているから、わたしはあなたと恋がしたくなりました。
理由を聞くひとがいたら、猫でも転ばせておきましょうよ。
まっ白にかさねた白よ春浅し
沍返るなだれもさらさらゆくだろう
幼な手につまれて青くいぬふぐり
溶けるより割れるに相応し薄氷よ
部屋へはいって
コートを脱ぎ
耳飾りをはずし
髪留めをはずし
おどろくほどなめらかなしぐさで
結婚指輪をはずす
このひとはこれから先
なんどひとを壊すだろう
おどろくほどなめら ....
あなたは、わたしのかたちのかたまりを見おろして
「これがわたしか」と言った
明滅する、季節の、余波が、ひといきに押寄せた午後、
わたしたちは、手をとって、あたらしい試みをはじめた
....
腰のつけ根あたり
すこしくぼんだところへ
くちづけが残ってしまって
あなたのことばかり考えている
雨だれが石を穿つように
すこしずつ気持はこぼれて
いつかこの星を壊すだろう
ま白にぬられた
ぬかるみに
私、
私は私を横たえる
差込む光も影も無い
360度ちょうどに
脈拍をならべ
赤はいつまでも
赤だった
たとえ色褪せても
嘘でも本当でも ....
ニシヒガシの親子は木の根っこにつかまってぶるぶると震えていました。
寒い、寒いよるです。
ニシヒガシの親子の薄灰色の毛は、どおん、という大砲の音が、木の根をつたってくるたびにかすかに立ち上がります ....
しらないことを
データベースに問いかける
もうそんなふるくさいことは止して
問題は解決しない
それは人生だもの
はやく踊りに行きましょう
雨の日わたしは
ひざまずき
コンクリートをのけてうまれる
ほそい草の根を食べた
雨の日のコンクリート
は
濡れて
高い
高いビルの窓たちは
かたく
光をはじき
ちらして
....
わたしはひとを殺せます
ひとを殺すためだけに
ひとを殺すことが
できます
転んだひとに手を貸すことができます
ひとつずつ減ってゆく善意の
ひとつになることができます
あた ....
見た夢に
番号をふって
箱へ入れる
立てない猫
走れない鳥
指のない犬
それらを
あれは何番目
だったかしら
わたしを蹴り上げる
ひかるくるぶし
何番目
だった ....
0/0 あの日、なめらかな布をいくつもくぐって、白いもののなかで、わたしの体はぴったりと「幸福のかたち」のなかへおさめられていた。幸福、ではなくて、幸福のかたちのなかへ。微笑んだり、笑ったりするすべて ....
どちらが先かはわからない
あなたの手のひらにおさまるようなかたちだったか
あなたの手のひらのかたちにくぼんでいったのか
どちらが先かはわからない
どちらにせよあなたの手のひらのかた ....
あまいパンはやわらかい
やわらかい朝は白く
白い夜は夜
いつものように
ばかな嘘を見破って
空へ穴をあけてください
空へ穴をあけて
飛べなかった鳥が
最後の一羽まで
逃げ ....
心地好いもの。朝のコーヒー、牛乳の存在、波のあわ立ち。登校中の小学生のさえずり、猫のあくび、晴れた日の窓のそば。日曜日の心臓の音、プラスチックの静謐、枯れた木の肌。
心躍るもの。挑戦的なメイク、 ....
からだを波のようになびかせて
白いあわだちをむかえる
いくつもの永遠が閉じこめられる
かつて少女だったすべての女性たち
かなしみを取り込んだなめらかな体に
くちづけをするとき
....
昼には昼の顔をして
月など知らない振る舞いを
夜には夜の服を着て
海にさからう泳ぎかた
明日には明日の「今日」が来て
なかったことなど無いように
青々とした朝が降る
今年がはじまった瞬間には夫の寝顔をみていた。ちょうどその一年前とおなじだ。
消音にしているテレビのなかでは2012年がひっくりかえってあふれていた。
師走にはいつもよりいろいろのひとと ....
ちょうど落ちてゆくさかいめに
じゅうたんをひいて
まつげを燃やして夜にのる
愚鈍なやつだといわれ
組みふせられるのがすきだった
目はつむらなかった
屈服するふりがじょうずで
....
いいよ
わからないでいてあげる
まつ毛の角度や
飲み干されなかったコーヒー
長いまま燃えつきる煙草
いつもと違う靴
あたらしいゲーム
みたいに
わからないでいてあげるよ
....
疲れている。咳がつづいている。
疲れているし、混乱している。
混乱と混乱のすきまに、しずかな時間があるのだが、すきまの時間がどんどん短くなっている。わかっている。どんどん短くなったのちに、また ....
ふわふわとか
たっぷりとか
ふざけるな
切実さが足りない
相応しさとか
ぬくもりとか
真実とか
いい加減にしてくれ
せつないんだよ
コンビニエンスストアの
陳列棚に
....
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