漆黒垂れ流す深夜、息の絶えた獣の響かぬ声を聞きながら、寝床の中で目を開き、湿気た記憶の数を数えていた、思えば必ず身内の誰かが脳を病み、自我を曖昧にし、かろうじて自己紹介が可能な程度の人生を生きてい .... きみはぼくが
スラックスに隠した
キャンディがだいすき


いつでもどこでも
頬張りたがって
ねえ、ねえ、とおねだり


ぼくは、待ってね、と言い
人目を避けて
さっと取り ....
空気清浄機のノイズは俺の知らない言葉で果てしない詩を連ねていた、俺はそれをあまり信用していなかった、埃やカビやダニと一緒に、生きる理由まで吸い込んで排除しているようなそんな気がしたからだ、でもそん .... 夜は味気なく
だが
絶対的に


おれの残り時間を
砂時計の
ように
くっきりと表示する
嘘だろ
マジか
勘弁しろよ


詩を
書くときに
たとえばそれが
誰 ....
どこか金属的なノイズ、揺れる路上のリズムと、スニーカーのゴム底のスクラッチ、腕時計の文字盤をスルーして時は過ぎていく、流れ去るもののすべてのことを俺は知っている―とどまるものに比べても、ずっと―狂 .... ロザリーは十五才
廃業したスクラップ工場の敷地の外れで
ハーケンクロイツみたいなかたちになって転がってる
もう腐敗が始まっていて
あらゆるおぞましい虫に集られて喰われている
ささやかな雨 ....
暗くなる前に灯りの準備をして欲しい、悪い夢を見ないに越したことはないから、静かな音楽を流して、狂気じみた思いを鎮めて、安らかに目を閉じることが出来たらいいね、こうして話してしまうと願いというのは全 .... ひとつひとつの意思が
水滴となって胸の底へと落ち
束の間の王冠を描いて
湖の中で何とも知れぬものへ変わる
彼らの
描く波動
振動
わたしは植物人間のように
寝床で目を見開いて
 ....
首筋を流れた汗は冷たかった、ラジオはゴスペルばかりで、俺は祝福など欲しいとは思わなかった、衝動は体内でハリケーンのような渦を巻いていたが、噴出する先を見つけられず色味の悪いものに変わりつつあった、 .... 些事に塗れ、気もやらぬうちに、死んで消えていくやつら、生まれるそばから、溢れかえるそばから、滅多矢鱈に回転数を上げていく、運命の歯車は煙なぞ上げない、そいつの頑丈さはヒトの及ぶものではない、俺は眠 .... 靴の甲のあたりの高さにもなれない、小さく目立たない花が板塀の脚に沿って群生している、昨夜遅くの雨でそいつらはテレビコマーシャルのように粒の小さい光を跳ねている、板塀はところどころ破れていて、それは .... きみは遠い世界の春を抱いて、シャンソンに合わせて身体を揺らせている、昼間は夏のように暖かかったけれど、夜は北極のように凍りついている、電気ストーブよりもいくつもの薪をくべた暖炉が欲しくなる、そんな .... 裏路地にもう何十年も転がってる自転車の
茶褐色に錆びた車輪が真夜中に一度だけ軋んだ
生き過ぎた鳥のため息のような音
その時、俺の知り合いがそこに居れば
俺がひとりで何事か話していると思ったかも ....
煤け、捻れ、特に堪え切れぬことなどないのに、やり切れぬ思いで、真実同士が食い違い、どこにも落とす場所がない、こちらはあればかり見て、あちらはこればかり見る、交わらないことの為に牙を剥き出しにする、 .... 夜明け前、くすんだ窓ガラスは、まだ覚めやらぬ俺を映し、見覚えのない拳の傷、戯れに噛んで夢の名残を押しやる、退屈だけがいつも、上質に仕上がっていく、こんな朝にもう一度目を閉じたら、多分すべてがお終いに走 .... 食虫植物が翅を休める虫を絡め取ってゆっくりと飲み込んでいく映像が脳裏でずっと繰り返されていた、一度首を刎ねられてまた繋がれたかのように身体はどこかバランスを欠いていた、信号を伝達する回路がどこかで .... 雑居ビルの片隅の
空き部屋みたいな光景が
心情として焼き付けられていた


雪の夜


悪魔が暖炉を探して
往来を彷徨ってる
人々は戸を閉ざして
気の早い春を待ちわびてい ....
死の影を踏みながら咆哮する血液の垂れ流しざまを嘲笑して落陽を迎え、薄い刃物のように刺さる冷気を抱きながら二十世紀の昂ぶりに打たれて我を忘れていた、過去は嘘に近いリアル、現在はただの空気、未来は夢物 .... 性急で乱雑な、まるで最期の煌めきのようなビートに群がる羽虫のような俺の心音、歯をカチカチ鳴らして、食らいつく場所を探している、硬すぎるか、速すぎるか、それとも不味すぎるかーおや、顎が疲れてきたみたいだ .... 鼻歌は
ド♯がどうにも上手く出せなくて
メロディーは誤植した看板みたいになった
でもギャラリーなんかいなかったし
空は穏やかに晴れていたから
俺としてはそれでも悪くはなかった
良く出来た結 ....
本当のことはとても静かにやって来る
俺がそうだと声高に叫んだりなどしない
気づいたらいつの間にかそこにいる
迷うヒマなど与えてもくれない

ハーフムーンに見下げられながら
凍えて帰った ....
俺の脳味噌を取り出して、バラバラに解して、床に真直ぐに並べていく、ベルトコンベアーの上で、次の処理を待っている食肉みたいに…どうしてそんなことを思いついたのか分からない、ただただ退屈で仕方がな .... 古いジャムの香り
おれたちの
もう二度と出せない声
無知ゆえの
喜びに
満ちた…

鎮魂歌は鳴りっぱなし
奏者には
もうどんな思いもない
ただ
指揮者がタクトを下すまで
手を止 ....
暗くじめついた廊下に遊び半分に並べられた死体、順番に四肢を欠損させて、水槽の魚の餌にする、悲鳴はひとつも聞こえない、もうその段階はすべて終了している、罪名は伏されたまま、誰もそのことを知らない、執 .... 凍てついた亡骸を引き摺りながら、悲鳴のこだまする方へと
不安定な足元を均しつけるように歩いた
空はシュールレアリスムのような曇りで
雨の代わりに百足でも降り注ぎそうな趣だった
亡骸はもうす ....
 ちょっと焦げたピーナッツバターが乗ったトーストとカフェオレの為ならなんだって出来る、とマリはいつもふんぞり返って話してた。「あたしにとって人生で大事なものはそれだけなのよ」って。実際、一日に二回(朝 .... 置手紙はいつだってびりびりに破かれていて何が書いてあるのかなんて到底読み取れそうにない、でもたぶん、置手紙に読むべき事柄が書かれていたことなんてないんだ、多分…紙屑は丸めて捨てる、それ以外にやるべ .... 豪雨の窓辺で蝋細工の悪魔が猛り嗤っている気がしたハリケーンの夜、あれはいくつの時の記憶だったのか、脳の片隅で日付を失くしていた、スマートフォンのお前のデータをダイヤルしていた、深い眠りも覚ますほどコー .... 蜥蜴が乾涸びて鮮やかな炭になってた、それは現実に路上で起きたことだった、だが俺は、どうしてもそれが真実だと信じられなかった、時に真実はあまりにも単調で、ウンザリするほど単調に過ぎる、踏みつぶせばそ .... 昨日の雨が水たまりのまま凍りついた海沿いの二車線は
曇り空の下で果てしなく寒々しく
わたしはブーツの滑り止めの具合を確かめてから
葬列の最後尾に着くみたいに歩いた
水平線は薄明りと虚無に飲 ....
ホロウ・シカエルボク(1242)
タイトル カテゴリ Point 日付
常にこめかみにあてられた銃口が囁いている自由詩2*21/4/4 23:42
キャンディ アイラブユー自由詩5*21/3/31 22:38
RESURRECTION自由詩2*21/3/28 13:46
理由などなく、欲望だけがある。自由詩5*21/3/22 23:27
いつだってわずかなものを求めて街を彷徨っている自由詩1*21/3/21 21:57
ロザリーはスクラップ工場の外れで自由詩7*21/3/14 18:00
アフター・ミッドナイト自由詩2*21/3/8 0:34
バッド・インフルエンス自由詩2*21/3/1 21:39
No Code自由詩2*21/2/22 21:38
願わくばそれが混ぜ物なしの原罪であらんことを自由詩1*21/2/17 0:42
あなたはただ佇んでいる、それがわたしには心地好い自由詩3*21/2/10 0:02
サン・トワ・マミー自由詩2*21/2/3 0:36
あらかじめ瓦礫の中の自由詩5*21/2/1 18:16
好きに羽ばたけばいい、こんな時間じゃ誰も見ていない自由詩2*21/1/25 23:46
月世界の旅行者自由詩2*21/1/15 22:29
リズム、グルーブ、その連続自由詩1*21/1/12 22:49
実感は理性的じゃない自由詩3*21/1/11 21:48
また瞬きがお前を惑わすだろう自由詩1*21/1/8 23:04
気まぐれな時計のリズムはメトロノームでとらえられるのか?自由詩2*21/1/5 23:36
ブルースを殺(バラ)せ自由詩6*21/1/3 7:59
無波動の寝床自由詩2*20/12/28 21:41
揺るぎ無いイズム自由詩1*20/12/25 22:22
仄かなノスタルジーの監獄自由詩2*20/12/20 21:51
Want it.自由詩020/12/18 22:34
まるでうまくいかない自由詩3*20/12/14 23:31
ピーナッツバタートースト散文(批評 ...4*20/12/11 22:19
置手紙はお終いだからそんな風に死んでしまう自由詩020/12/4 22:52
オカルトとゴシップとビジネス、我が物顔のコミック自由詩2*20/11/30 22:34
遺失の痣自由詩3*20/11/22 0:52
過去の歌、散らばる道自由詩5*20/11/19 22:59

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