まとわりつく蛆のような概念を振り払って重湯のような朝食を啜ると世界は絨毯爆撃みたいに騒々しく煌めいていてウンザリした俺は洗面台を殴り殺す、拳に滲んだ血はホールトマトの缶詰を連想させたので昼飯はパス .... 凝固した毛細血管のような形状の幻が網膜の中で踊る午後、飛散した詩篇の一番重要な欠片で人差指の腹を切る、往生際の悪い具合で滲む血の赤は、どういうわけだか若い頃に会うことが無くなった誰かのことを思い出 .... 硝子細工の汚れが気になって仕方が無いが触れると壊してしまいそうな気がして手を出せないままでいる、世界は今日もそんな類の平穏で満ちていた、十五年は前の歌ばかりうたいながらシンクに転がっていた皿を片付 .... 空中にばら撒かれた葉脈のような物体が痙攣のように蠢いている、そんな幻を見つめているうちにいつの間にか数時間が経過していた…数時間が―右手の人差指の爪で目の脇を掻いたら細かい傷がついた、血すら滲んで .... 羽虫が渦を巻く
屋根裏の寝床で産まれた
産声はか細く
皆がこの子は駄目だと思った
けれど乗り越えた
四つになるまでは
臥せってばかりだったけど

学校には馴染めなかった
教師とも ....
湖に浸したあなたの肢が
いつかの母親と同じ色になるとき
水鳥は穏やかな声で鎮魂歌を歌う
水面のさざめきは最期の指先

朝日の差し込む、もう動かない台所
その食卓に
並べられた写真はも ....
心魂に付着した闇色の血液が何時のものなのか思い出せない、長針と短針と秒針の間で削がれていく記憶、瓦礫に埋もれた不完全な頭蓋骨は途方も無い親近感の中で賑やかに煌めいていた―夕刻、イメージは常に無意味 .... 世界は崩れ落ちたりなどしない、その中で右往左往する無数の個が、語ることもままならず腐り落ちていくだけだ、眠ることのない二四時、薄暗がりの部屋の中空にそんな言葉が捨て置かれていた、後頭部を包み込む枕 .... 何処に行こうが何をしようが
自分に出来る以外のことは出来はしない
落ち窪んだ目をかっ開いて
その瞬間の最善の選択を

日曜日、朝六時
路地裏でカサカサになった
雀の死骸を見下ろしてい ....
通り過ぎたのは生温い風だった、不規則で断続的な眠りの中で疲弊した網膜は、在りもしない滑稽な幻覚を見ていた、十六時…関節のあちこちで氷河期のような軋みが聞こえ、まるで鉄の鎖で拘束されているかのような .... シャンパンが染み込んだ
カーペットが君の面影で
ぼくは
枯葉色のバスタオルの中で
串刺しにされる夢を見る
世界はいつだって午前二時で
救急車は
死体を運ぶのに忙しい
風の噂が耳に届 ....
夜の在り方は本当に様々で術無き者たちは剥がれた鱗のように路上に散らばっている、誰かが有名な曲のメロディーを口ずさんでいたけれど音感はいまひとつでそれがなんというタイトルだったか思い出すまでには至ら .... 天井の亀裂につけられた名前は俺と同じだった、衝動的な絶望が蝗の群れのように襲い掛かって来る、大丈夫…少なくともそれには鋭い歯はついてはいないさ、午後、化粧板を張り合わせた室内ドアのような、午後…俺 .... 聞いた話によるとそこはもう数十年も前から打ち捨てられた廃屋ということだった、縁がすっかり落ちてしまった扉はしばらくぶりに開かれた重みに耐えきれず落ちてしまった、おかげで危うく怪我をしてしまうところ .... お前は詩を読んだことがあるか、あるいは書いたことがあるか?自分を自分たらしてめているものについて、衝動的に言葉をぶちまけたことがあるだろうか、身体の中心から、お前自身を引き摺り出そうと試みたことが…言 .... 身体はいつしかカサカサに乾き、指先から紐が解けるように崩れ落ちていった、それは一瞬のことだった、それが死というものだなんて思えないくらい簡単な、あっけない結末だった、そのせいかどうかは知らないが、 .... カタコンベの中でしりあいを探す夢を見てた夕方のうたた寝、目覚めの為に入れたインスタントコーヒーはどこか素気なくて、俺は、さらに首を伸ばすのかそれとも殻の中に戻るのかと悩んでいるカタツムリのような気 .... 凍った湖面が反射する太陽のような兆し、隙間だらけの部屋の中で俺は、雪崩のように落ちていく古い数々の感情を見ていた、時間の仕切りというものが皆無で、そこは過去でもあり、現在でも未来でもあった、真理と .... 何も始まったりしない
何も終わったりしない
俺たちがその時々で
都合のいいものを拾っているだけなのさ

凍てついた街路
野良猫の悲しみが
センターラインの上で真っ二つに裂ける深夜
 ....
泥にまみれた古い金貨を
拾い上げて水溜りで洗った
鈍い輝きは人々が
はるか昔から同じ夢を見ているのだと歌う

そいつをポケットに入れて
自然公園のベンチに腰を下ろし
出鱈目な口笛を吹 ....
サーカスが過ぎ去った後で、俺の網膜に刻まれた鮮やかな灯りの記憶、操り人形の、唯一糸のいうことをきかない、閉じて固まった指先の―指し示す空虚、薄れてゆく黄昏の中に目まぐるしいばかりの、消化出来ない過 .... その日、ボロアパートの一室に帰って来ると、玄関のドアを開けてすぐに、花が一輪投げ捨ててあるのを見つけた。俺は一人暮らしで、花などには興味がない。従ってこれがなんという花なのかもわからない。花を持っ .... 秋の三連休が明けた月曜日、その日の仕事を片付けて帰りの電車に乗ろうとしたら駅は酷い人込み。ああ、またかと思った。人身事故のため遅れております、とやっぱりの表示。駄目もとでホームに降りてみると撤去作 .... わたしは古めかしい歩兵銃を抱えて焼け野原に立っていた。敵と味方の死骸がアザラシのようにそこらに転がって膨らんでおり、鼻腔の奥や喉に針金を突っ込まれて掻き回されているかのような猛烈な臭いが漂っていた .... 幼い中身に釣り合わぬプライド
ご都合主義のリアルでっち上げて
半径五十センチ以内の総統
自己満足で貫き通すライフ

ライツ・ナウ
おまえはチヨットヴィシャス
勝てない喧嘩は大人の対応 ....
ぼくにしてみればそれはとても上手く行っているように思えたし、彼女にしてもそう考えていると感じていた。でも、こうして突然ぼくの前から消えたということはきっと、ぼくの方になにか問題があったのだ。そこに .... 無音の川の側に立っている、辺りは夜のように暗い、だが、夜なのかというとそうではない…なにか異常な理由があって、夜のような闇が演出されているという感じだ、根拠になるようなものはなにもない、ただ、そこ .... ツクツクボウシが啼きそびれたみすぼらしい晩夏からそのままスライドした秋の曇天は、思考回路が壊れた若い母親が道端に投げ捨てる紙おむつの色合いで、ホームセンターのワゴンから掴み取ったスニーカーの靴底は .... その日わたしはどうしても部屋のライトをつける気にならず、小さなテーブルの上の灰皿に蠟燭を置いて火をともしていた、そうして、ソファーにもたれて南米のリズムのようにゆったりと揺れる火を眺めていた、脚を .... 本当の破壊衝動はいつだって自分自身のはらわたに届く衝撃を待ち続けているものだ、それが芸術の本質だと言ったらお前はどんな顔をするだろうか、そこにどんな答えがあろうと俺の認識が歪むことはないだろう、な ....
ホロウ・シカエルボク(1191)
タイトル カテゴリ Point 日付
しらふで死にな(毎日は降り注ぐ)自由詩4*23/5/8 21:25
だからもう一度、初演の舞台の中に自由詩5*23/5/2 21:21
狙いをつけるのは銃弾の役目じゃない自由詩3*23/4/24 21:37
ダウンフォース自由詩2*23/4/17 21:44
それだけが自由詩1*23/4/10 21:54
記憶は決して温まることは無い自由詩2*23/4/1 21:57
様々な窓に明かりが灯され、生活は展開されていく。自由詩2*23/3/27 13:59
mechanical ventilator(人工呼吸器)自由詩4*23/3/20 13:10
刺激のあるものが食いたいって誰もが思うけど自由詩1*23/3/11 16:33
Wake Up Dead Man自由詩2*23/3/5 22:10
挑むのなら本気で自由詩1*23/2/28 22:23
In the next life自由詩1*23/2/26 23:01
炎は繁殖期の蛇のようにのたうっている自由詩1*23/2/20 21:44
なにかを考えるとき、もう時計に目をやることはないだろう自由詩2*23/2/12 16:26
ブラッド・メイクス・ボイス自由詩3*23/2/4 23:25
ある日、なにもかも塵のように自由詩2*23/1/24 22:02
壊れてからがとても長い自由詩1*23/1/16 22:23
verification自由詩2*23/1/9 14:33
ニュー・イヤーズ・バット・オールド・イヤーズ自由詩2*23/1/2 21:53
幽霊は死なない自由詩4*22/12/26 22:23
自由形のパレード自由詩1*22/12/18 15:09
どうか咲いていて散文(批評 ...4*22/12/12 18:04
秋のホーム散文(批評 ...1*22/12/5 22:57
終戦記念日散文(批評 ...2*22/12/4 15:25
チョットヴィシャス自由詩022/11/28 13:20
はじめから手遅れ散文(批評 ...3*22/11/21 14:40
反動自由詩2*22/11/14 16:22
剥き出しの鉄を打ち鳴らす自由詩2*22/11/6 16:24
完全な闇が取り払われるとき自由詩2*22/10/31 0:02
欲望のもとにすべては引き裂かれる自由詩2*22/10/24 21:57

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