燈火のなかに小さな樹があり
燃えることなく
夜を緑に染めている


下からの光 螺旋の影が
まるいかたちを
ゆうるりとつかみ
ゆうるりと離し
くりかえす


耳 ....
二十階建てのアイスが
倒れる夢を見た
だからあなたは
二十分早く出かけなければならない


たくさんの小さな笑顔たちと一緒に
もうひとつのアイスを建てるために


 ....
途切れた道のその先
坂を上りきった場所の空
曲がり角をすぎてゆく陽
曇と 曇ではないものの午後


暗がりのなかの道標が
なかば暗がりになりながら
暗がりの歩み ....
{ルビ觱沸=ひつふつ}と二つの弦の震う海



とどめさす声はまなこに血は咽に



とどろきに手のひらかざし目をふせる



風は無 ....
干からびたたましい棺桶蹴り破る



背中{ルビ殴=ぶ}ち後頭部{ルビ殴=ぶ}ち小便す



月を釣る釣り餌は常に{ルビ陰茎=へのこ}なり



政治屋 ....
こがねに遠のくものを見ていた
忘れたままの息がひとつ
足元にかがやき 沈んでいった
冷たいまぼろしが 羽をひろげた


蝶は火のなかに火をそそいでいた
空腹への応 ....
左腕だけが鋏に火に触れる



指五本喰らうべくして音喰らう



月尽きて地に声低く骨の笛



水滴をはらうが如く己れ斬る



塩を越え空の辻 ....
踵立ちまばゆいものが降りそそぐ爪先立ちがうまくできずに




見ひらかれ縦にふるえる眼球にくちびるは沿い声を呑み込む




胸の山胸のけだもの胸の棘胸の氷に ....
太陽の熱の残る鉄
燃えつづける林を抜け
蜘蛛を殺すことなしに
顔を覆う巣をはらう
日々を
日々を生きるということ













 ....
昼起きて午後眠る間に子を造るけだものの{ルビ性=さが}知るか詩人よ




ぐだぐだと日記を書くなら{ルビ他所=よそ}に書け挨拶なのか御遍路なのか




 ....
地から海へ
多くの雨が歩いてゆく
手足は重なり
音を残す


影降る道に映る姿
沈む光の過去の行き先
まいあがるもの 追う手から
昼の星のように逃れて


 ....
夢の雨がまだ眼前に在り
音や光をふちどっている


雨のなかの陽 ひとつをひとつに
注ぎ込む陽


空の器械 地の器械
水の外から 降り来る声


緑にふくれ  ....
気まぐれに硝子の冬は燃えあがり舌先の火に顔ちかづける




老人が甘えたらすぐ見せしめにサウンド・オブ・サイレンスを燃やす




こんがりと表裏なき ....
降る棘や石の路咬む火花かな



午後の背を読み仮名のよにすぎる街



誰もみな狂わぬ日々に狂う雨



片足に片恋の針突き刺さる



 ....
人生も英検も我二級なり



二つしか選択肢無く二級なり



二級には二級の言葉きゅっきゅっきゅー



ひとつだけ持つ不安から二球持ち



「 ....
空を鼓のように張り
鳥は屋根を踏み鳴らす
糖蜜の文字
光の名前


爪と半球
蛇行と水源
凍った川をすぎる雨
降る無音 降る無音


午後の光がゆっくり話す ....
割られようとしていた
ひとつの陶器を盗み
よくわからない生きものを大量に殺し
自分で自分の頭皮を傷つけ
蜘蛛をひとり救った


今日も自分は
わがままだった


 ....
背後の鏡を
窓を割りたい
何かが映る
ただそのことが許せないから


頭のうしろのお偉方を
何度も何度も叩いている
右で左で
平手で拳で
目の前に浮かぶひと ....
降る花 来る花
激しく重なる陽のなかを
昇る道 去る花
むらさきのうた


たどたどしい笑みの端から
午後越える午後 こがねに曲がり
冷たさよりも重く在りながら ....
道を焼き我を焼く笑み水たまり



つながりよ皮一枚の旋律よ



空ばかり人のかたちに閉じこめる



人が消え人のうただけ永らえる



未明に ....
虹の渦がひとつ
遠くと近く
ふたつの雨を横切った
誰もいない道の終わりに


とめどないものがとまるとき
夜の鴉が一羽増すとき
心は天地の境をひらき
冬のはじ ....
白と黒の路地を進むと
木造の小さな小屋があり
入るとなかでは何十人もの
作業衣を着た婦人たちが
机の前で一心に裁縫をしていた
ふと横を見ると別の入口に
一枚の大きな ....
箪笥と押入れと
鏡台のある部屋で
白髪の老人と決闘した
剣の腕ではかなわないので
ヘアスプレーとオーデコロンを吹きかけ
鏡台の椅子を投げつけた


長い廊下 ....
昇る午後の軌跡には
川のかけらが硬くかがやく
何かが水に降りては飛び去り
音や光を底に残す


冬を作り 夜を作り
誰もいない道を去る
朝の雨を見る
昼の ....
荒んだ目の子が
昼を見ている
風は高い
指は遠い


地にあおむけの空が
上目づかいで地を見つめる
腕ひろげ
見つめる


誰かが見たいと望んだ数だけ
月 ....
草の根元
ひとつかみの声
闇を分ける
指先の青


饐えた氷のにおいがする
ほころび 川岸
小さな小さな穴のむこうに
穴と同じ世界がまたたく


したた ....
言葉に割れる岩道の
ひとつひとつがまたたき並び
空の底へと落ちてゆく
出せずに裂いた手紙のように


曇のほとり
ひとり祈り
この手を焼く火が
この手のみであれ
 ....
光が花をまね
朝になる
一房一房が
波を追う



丘を昇る霧
向かい合う手
結晶


くちびるの色を
手鏡に塗り
歯は透る{ルビ雷=らい}
透る{ ....
共に在るもの無く
原に立ち
なびいている


夜は赤
骨に収まらない肉
あおむけに 沈む


曇を燃す曇
秘め事の径を解き
川はすぎる


木漏れ ....
草から分かれた空色に
虫は染まり 身じろぎもせず
夜明けの光の逆を見ている


曇りの上の曇りから
水の底の骸へと
緑はさらに緑に降りつむ


闇のなかに闇 ....
木立 悟(2335)
タイトル カテゴリ Point 日付
夜と手のひら自由詩509/11/6 23:36
ノート(笑顔)[group]自由詩109/11/4 13:27
夜へ 夜へ自由詩309/11/4 1:11
冬と震え俳句209/10/30 15:52
十月熱川柳109/10/30 15:48
ひとつ 冬へ自由詩409/10/29 20:46
冬に会え俳句409/10/26 19:16
冬と反射短歌109/10/24 21:28
ノート(日々)[group]自由詩409/10/24 21:24
詩人ども短歌109/10/24 21:20
水と子自由詩109/10/22 11:47
転寝から自由詩409/10/19 1:11
冬と水短歌509/10/13 23:44
ふる そそぐ俳句209/10/13 23:42
二級首川柳309/10/13 23:40
イカロスの虹自由詩409/10/12 23:17
ノート(わがまま)[group]自由詩309/10/10 20:51
ノート(症例 1〜4)[group]自由詩109/10/10 20:50
指といとなみ自由詩309/10/6 17:59
業夜焦塵俳句309/10/3 22:28
ひとつ さえずり自由詩309/10/1 13:36
ノート(46Y.9・28)[group]自由詩109/9/29 0:02
ノート(箪笥と押入れ)[group]自由詩309/9/29 0:00
ふるのぼる自由詩609/9/28 17:50
降り来る言葉 XLIII[group]自由詩209/9/22 16:54
輪の波自由詩509/9/20 9:50
手のひらから自由詩509/9/14 11:31
遠い鈴自由詩509/9/11 22:33
門影自由詩209/9/6 20:14
霧穂自由詩809/9/1 22:52

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