整えてはいけない
光の火があり
あらゆる場所に揺れながら
熱の無い波を寄せつづける
水のような鳥の声
鳥が去り 水が来て
鳥が居ないことに気づかずに
いつまで ....
話しかけてくるものを
拒む理由は特に無い
だが会話には風が無い
実ばかりあって花が無い
雨が空を噛みつづけ
小さな息をしつづけている
灰の線は明日まで到き
誰が引くのか 誰が繋ぐのか
避ける代償に傷を受け
午後にあいた穴からは
常に朝と夜が見えている
....
羽は失く角は折れ
歌は枯葉の底にあり
声は遠く 風は旋り
ちからとかたちを連れ去ってゆく
終わりは近く 忘れられ
まばゆいひとりがつづいている
息がつまるほどの ....
忘れられた日蝕の昼
川のなかにだけ映る布
川のなかだけを歩く影が
立ちどまり ふと振り返る
点いては消える午後の辺から
何かを引きずる音が降り
やさしいかたちの羽虫 ....
灰の地層
人工の骨
潰れ かがやく
玩具の群れ
波のはばたき
ひかり振る陽
来ることのない
待ち人の鼓動
動きが動きをくぐり抜け
片手は月に到いている
片足 ....
熱を嫌う午睡の肌に
蜘蛛は幾度も近づいてゆく
夏も冬も 獲物はいない
巣だけが 巣だけが増えてゆく
時の網目に掛かる埃
壁を覆う飾りの埃
彩りの無い彩りに
霞ん ....
牢であり城である街を浪が洗い
壁から瀧があふれている
奴隷の子と皇女は手を結び
錆びた真昼の水たまりを踏む
呼吸が
忙しく他者を連れ去る
水の底の 舌のようなもの
....
夜は窓を踏み
窓は夜に座す
がたがたと
風のふりをする亡者
記憶は波の上に居る
はばたきとくちづけをまちがえる
羽のような蜘蛛の巣があり
風を抄い 揺れつづけ ....
風を横切り
聞こえる唄
暑くも 寒くも
ひとつの唄
やがて雨になる眠り
薄く重く揺れる原
灯る花は揺れることなく
ただ上方を照らしている
空の力や理が
....
空が空を掻き毟り
空はちぎれ ちぎれちぎれる
爪 柱 軌跡 鐘
傷の音 鳴り止まぬ 傷の音
舌の渦
声の洞
青の青の檻
空の囚人
遠い遠い 雨の色から
....
二時間の風のあとの
三時間の湯
叫びは何時間でも
冷たい水は七時間ほど
マキナ 裂いて
マキナ生まれる
内から外へ
押し出してゆく
上から来るか
何処 ....
お前の肉のポケットに
数十年間腐らせつづけた
おまえ自身が臭っていて
皆なにか言いたげに遠去かり
皆なにも言わずに遠退いてゆく
碧く陽の無い朝に引かれる
細い音の線がある
見えない飛沫が
花を揺らす
羽の空が 暗い川を流れる
午後が午後に集まり
吼え声を上げる
窓の滴をすぎる影
....
降る花だと思ったものは
薄く小さな血の皿だった
数えつづけ 数えつづけ
眠っていた
歪んだ光の水たまり
かけらのかけら
あつまりのあつまり
波と光の 指あ ....
ずっと点いたままの灯りがひとつ
あふれる灯りのなかにあり
朝が来て夜が来て昼が来て気付かれ
そっとそっと消されてゆく
光が光に描く色を
光は持っていてはくれないら ....
花火になり
花火になり 消える花冠
打ち寄せる
打ち寄せる空の代わりに
どこまでも
どこまでも弦だけが
響きつづけることについて
ゆっくりと落ち 砕ける筒のな ....
羊の群れが見上げる先に
生きもののあつまりのかたちの曇
黒い太陽は白くなり
鉛のように口をつぐむ
平たい国に咲く花が
丸い虹や風へと傾き
水を覆い揺れている
夜を ....
雨のような風の音が
低い高さを走りまわる
電気と電気の話し声が
誰も居ない径を流れゆく
音が音を曇間へさらい
騒がしさは遠く 遠くなる
光から音 光から音
手をつ ....
縦の冷たさと
斜めの温さが
夜の晴れのなかひとつになり
虹とはばたき 地に倒れる
どこから話したらいいのだろう
地を打つ空の尾について
鏡の原が枯れたあとも
残り ....
言葉になりたくなかったものまで
言葉にしているのかもしれない
その責任を
言葉を記すものたちすべてが
負っていいのだ
負いたくないなら
自分ひとりが ....
掻き毟った 掻き毟った
もう 掻き毟れないほど
掻き毟った
それでも残るものがあるなら
泣いていい
何かのかたちが傍らを落ち
遅い影がそれにつづく
眠りのなかの冷たい放出
幾度も幾度も繰り返す非
直ぐの水と曲がり水
ひとつのかたちを拒みながら
蒸した原と土 ....
冬が冬を抱くかたちから
噴き出るように羽は生まれ
冷えるばかりのけだものの声
一本の線に遠のいてゆく
永く細い針の重なり
薄く紅い流れのひろがり
目を閉じ ひらく日 ....
水路を覆う雪を
流れに向かって蹴り落とす
他人の家の庭に入り込み
ただうろうろしているうちに
出られなくなる
あれは 何をしているのか
せっかく死ねたのに
....
言葉が言葉に 降るときは
何か悪いことが起こる兆し
いま そのよろこびを
よろこんではいけない
銀と灰の
やわらかな壁に囲まれた狭い通路が
縦に立てかけられた
白い布団のようなものに満ちていて
そこを通り過ぎて少し戻ると
金にかがやく部屋があるのでした
....
巨大な火のなかの
ローラーコースター
冬に 冬に
突き刺さる倒木
午後は昇る
手のひらは消える
望まないものばかりが現われつづけ
径はさらに狭くなる
む ....
浪と雷鳴
岩に散る火
曇を照らす
縦を照らす
海は白く
雨の柱
かき混ぜながら
自ら溶けて
夜明けを吸い
夜明けを吸う
何処へも行かず
止まぬ震動 ....
銀の銛が突き刺さり
青と金でできた腹から
ひまわり 硝子 晴れの日の雨
街の入口の門に散らばる
砕けひろがるものの先に
ちぎれた鉄や鉛があり
多眼の宝石の角度から
言 ....
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