むらさきを
白に刺す
影絵 影絵
すべてが
生まれ来る暗がり


明るく 渇き
荒れ とめどなく
波間に漂う
水はじく生きもの


艦が着く
小さく ざ ....
銀河の高さの
白い霧
夜に架かり
動かない


左の肉の寒さが目覚め
右より細く震える時
月は余計に そして速く
見るものの方へと割れはじめる


光に光をこぼ ....
光の筆で 見えない絵を
見えないまま描きつづけている
明るい雨
明るい雨


行き止まりの家の灯り
斜めの風から聞こえる光
蒼の上の蒼の数
蒼に蒼に染み込む蒼
 ....
雪の下から現れた枯れ葉が
鉱に
戻れぬ場所への標にかがやき
夢の行方をささやいている


雪が止み
誰もいなくなり
灯は黙り 径は白く
径は 明るく


川 ....
もはや
どこまでも かけはなれている


わたしの言葉が言葉であるなら
あなたの言葉は言葉ではなく
あなたの言葉が言葉であるなら
わたしの言葉は言葉ではない

 ....
鳴かない鴉の群れのなかで
黒い氷が鳴いている
解けては凍り 重なる肌を
斑な闇にまたたかせている


沈みかけた三日月が
ほんの一瞬むらさきになる
帆船が入港し
乗り ....
夜の下には現れない
白い色からのびる光
床に土に空に刺さり
細く細く動かない


赤い涙
まだ触れていない箇所を目に当てる
朝に止まる時計
左側の景の震え

 ....
積み重なった埃が
本を燃すことなく
本のまわりに燃えてゆく
背表紙と虫殻を照らしながら


奥に詰められた本に影は無く
どこまでも立ち並ぶ棚だけが
爆ぜる炎に揺すられつ ....
緑の宙に貼り付いた羽
暗い曇をくぐる曇
二番目の指で涙をこすり
終わらぬ宴の後を追う


くちびるとねじれ
溶け合う朝と みずいろの水
ひるがえる ひるがえる
火と灰 ....
空飛ぶ家の 群れのなかに棲み
扉から一歩を踏み出せずに
眼下にひろがる風と原
飛び交う家々を見つめていた


街 クレーター 街
人と原は円く分けられ
薄い緑に吹かれて ....
光に針をかざし
動かぬものを 動かそうとする
器に満ちた水
浪に囲まれた凪
動かそうとする


熱を感じること
熱を奪うこと
逃げ去ること
偽ること


緑の ....
瞳が何処かを巡っている
まばたきの度に新たに生まれ
暗がりに浮かぶ光の紋様
見つめては見つめては泣いている


吹雪 涙
同心円の羽の渦
ひらき ふるえ
問う

 ....
死ななくてもよかったたましいに向けて
打ち鳴らされる打ち鳴らされる鉱と金属
棄てられては増す つばさ けだもの


重なる紙のはざまの光
紙の上に浮かぶ珠
ひとつ持ち ....
夜明けに渦まく陽の前に
同じ大きさの樹が被り
風 振動 目覚めるもの
散る葉を鳥に変えてゆく


白いまわり径を
囲むみどり
水の音 鈴の音
冷たい警笛


空 ....
唾を唾で
瞳を瞳で抑えながら
においの無い人ごみは
鉄路に影を残してゆく


ひと粒の胡椒が
紙の上を転がり
拾おうとするたびに終わり
つまんでは落とし またはじまる ....
碧い羽が曇を包み
少しずつ少しずつ破れ
水の光をこぼす
光の水をこぼす



海の上の空に
海が映りゆらめく
朝はしずか
昼はしずか



とり残された場所 ....
誤って創られた神の子と
大きくなれない神の子が
壊れた音の降るさまを見ている


夜の鳥は鳴いて
曲がり角は遠い
より暗い地へ
掲げられる腕


触れる前にうたは消え ....
息に揺らぐ火のなかから
手をつなぐ手は現れて
熱から蝶を持ち上げて
小さな火傷を増してゆく


ひかり 涙 ひかり 涙
好きなものを嫌いになる
内と外 ひとりのひと ....
砂地に消え入りそうな輪が
柱の間をすぎてゆく
誰もいない中庭の風
轍の跡を消してゆく


壁にあいた
服のかたちの入口が
白い衣を手招いている
窓に映らぬ 午後の影の群れ ....
水面の夜
水底の鍵
不死と仮定の王国
窓を次々と閉める人


まっすぐな虹の撓むうた
飛沫 飛沫
消えずに重なる
水紋の火輪


羽が降り 羽が降り
雨を覆い ....
おまえではない
おまえではない
絵の具を燃やす手
土に火の絵を描きつづける手


隠れていた猫も虫も去り
原はどこまでも静かになる
鳥も鳥を話さなくなり
常緑樹のなか ....
遺跡を過ぎる径
蜘蛛の巣と青空
夜へ向かう色
霧のなかの無数の手


冷えてゆく鉄の音
水滴の音に重なり
今は居ない民族の
祭のように響いている


ルシフ ....
少しだけ人になる人
背のびをして
外を見る
雨の花がひろがっている


光は近く 遅くなり
音は速く速く伝わる
何もかもが光ではいられない
水の水の水の底まで

 ....
床の瞳
傷の瞳
階段の球
水の震え



櫛の先が
標に刺さり
白く白く
咲いてゆく



流木のはざまを流れゆく
骨の行方をひとつ知るとき
咆 ....
ひとつには多く
ふたつにはさみしい
径の亀裂に貼られた紙が
雨水に圧され 破れかけたまま
むらさきにむらさきに空を喰む













 ....
夢の切断面を
あまりじろじろ視ないことです
暗い朝を浴びすぎるのと同じように
眠れなくなりますから
半月のかたち
窓辺の幽霊
言葉を残し
燃えてゆく紙


四月の彼方
こぼれる花房
けだものは聴く
曇の終わり


わたる風
まだらに碧く
岩ひとり
神ひとり
 ....
音の無い陽だまりの
小さな影をつまむ
紙と木と水の王国
やがて火へと向かう王国


失望の羽が一枚
ふたつにちぎれ 横たわり
夢遊病者の背の月
三時三十三分の月
 ....
背を向けた時計との会話
雨のむこうの夜は赤く
音の径を
少しだけ照らす


指の鋏で
切る仕草
切りたいものを
切れない仕草


溝が 淵が
永く暗い 一本の ....
触れれば雨の刃
稲妻の涙
ところせましと息ふきかけて
影の無い真昼に指を降ろす



暖かく 冷たく
慈悲もなく 是非もない
ひとさしゆび
ひとりの入れ物


 ....
木立 悟(2339)
タイトル カテゴリ Point 日付
響く はじまり自由詩118/3/19 16:56
径に 残る自由詩818/3/17 17:30
残り 残る自由詩118/3/14 8:56
ひとつ 残る自由詩218/3/8 22:13
ノート(54Y.2・24)[group]自由詩118/3/8 22:11
ひとつ 光輪自由詩318/3/3 8:41
ひとつ さむさ自由詩418/2/21 16:58
夜と言葉自由詩218/2/12 13:48
夜へ 喉へ自由詩818/2/4 19:06
白と白自由詩818/2/1 9:56
ひとつ 指して自由詩718/1/28 19:50
ひとつ 痛み自由詩718/1/22 9:02
ひとつ みちびき自由詩718/1/17 9:10
うたげ かんむり自由詩218/1/12 20:15
筆と響き Ⅱ自由詩718/1/3 13:36
終わり ひとり Ⅱ自由詩117/12/30 19:58
終わり ひとり自由詩217/12/24 20:19
宙とひとり Ⅱ自由詩517/12/18 23:56
ひとつ 聞こえ自由詩217/12/8 9:00
宙とひとり自由詩117/11/28 17:12
筆と響き自由詩617/11/23 18:52
かけら 冷たく自由詩217/11/18 19:10
ひとつ ひとり自由詩217/11/11 8:15
かたち くぼみ自由詩417/11/5 20:42
ノート(54Y.11・5)[group]自由詩317/11/5 20:41
ノート(54Y.10・27)[group]自由詩317/11/5 20:40
ひかり ひとり自由詩117/10/27 9:23
夜と爪自由詩217/10/21 8:31
ふたつ 離れて自由詩317/10/13 10:09
ひとつ のばす自由詩317/10/9 8:35

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