ひかり ひとり
木立 悟




半月のかたち
窓辺の幽霊
言葉を残し
燃えてゆく紙


四月の彼方
こぼれる花房
けだものは聴く
曇の終わり


わたる風
まだらに碧く
岩ひとり
神ひとり


逃げるように夢から覚めて
雪の音が肩に残る
下くちびるにつもる花の香
散らしながら去る雨を視る


霧に降る霧
かすむ名前たち
こだま こがね
舞う者の指


急かすことはない
手紙は来ない
燃え残る言葉
はじまりの言葉


手のひらに唱い
紙に忘れる
けだものの声
また 雨が来る





















自由詩 ひかり ひとり Copyright 木立 悟 2017-10-27 09:23:18
notebook Home 戻る  過去 未来