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目が口ほどにモノを言う人たちに囲まれて
君の視線のフィラメントが闇のように漂う
人見知りがひとり 見知らぬ人たちと
待合室でチェスの駒みたいに包囲され
遠くから黙々と頭を打つ冷たい秒針は亡霊だ ....
何も持たなかったはずなのに 多分荷物は重くて
何を詰め込んだかわからないのに 大切で
手放せないまま 逃げるように出てきた都会
何をしたかったのか 私の頭の標識は
真っ白に作り上げ ....
逃れ去っていく逃れ去っていく記憶の
その核心を掴もうと
広がる鉛の海を泳ぐ、泳ぎ続ける
失われた煙の花と団欒
終わった関係と更地
虚脱の時を刻む秒針
静まっていく静まっ ....
もう二度と歌は歌わない
そう決めたのは
合唱コンクールの練習の時
隣の子がクスッと笑ったから
以来本当に僕は歌を歌わなかった
音楽の時間は口パクで通したし
歌のテストの日はズル休みをした
....
肉体だけが失われた
魂だけになった人々のすむ世界は
遠くて
案外近い、のではないか
たとえば
風の吹いてくる方角に向かい立ち
乾いてゆく眼球の映す景色が
そのまばたきのたびに
一枚 ....
“相手とコミュニケーションが取れない
この作戦は決行するしかない
我々には戻る場所が無くなった
補給する術も材料もない
我々は戦うという選択肢を取らなければならなくなった
この暮らしを守るた ....
生まれました
もうずいぶん前のことです
そして、それを思い出す日です
そんな日は
誰かの死ぬ日でもあります
また、だれかが殺されたりもします
そして、それを思い出す日です
命 ....
一等星か
人工衛星か
わからないから
嫌なんだ
この時代は
虚像が眩しすぎて
たどり着きたい未来を間違える
俺達は
まるで
月に向かって飛ぶ
命知らずの虫みたい
冬庭は音符を奏でる
花の終わった残骸は
案外気難しく
やっと植木鉢から引き抜けば
無数にめぐらせた白い根は
持てるかぎりの土をかかえこんでいる
ああ うたはここからも
うまれてきてい ....
針を指先に刺して、
血の花を咲かせるように、
ことばを呼ぼう。
浮かんでは消えていく気配が、
幻聴によく似た囁きに呼応する。
....
臨界に旅立った母は、すこし痩せたみたいだ
もう、帰りたい。という
ここには団欒がない。という
距てるものは何もないのに
働きすぎたのだろうか
午後十時二分の、電動歯ブラシは
....
滝壺の深淵から
天空に珠をさがす
うねる銀の龍の嘆き
龍は雷鳴とともに雨を降らした
飢えた民のために
龍は慈雨を与え
空の彼方へと去ってゆく
雲間にその痕跡だけが残っていた
....
あなた方の死骸を埋めると 私が芽を出して育っていく
アイ、の呪いはコトバと声を包んで あなた方を肥やしにどんどん伸びる
声が子守歌に変わる夜
初めて骸の種となったあなた方に 向き合う ....
渇いた落ち葉を踏んで歩いた
湿ったアスファルトに
暗い空から
時折雪がこぼれてきた
かじかんだ手で傘の柄を握り
歩いたことのない道を選んで
なるべく迷子になるように
帰る方角 ....
夜が皮を剥いで、
真っ赤な朝を迎えたような傷が、
手のひらに滲んでいる。
あなたは見えないナイフを手に私を傷つけた。
....
静かの海は
氷砂糖のようで
わたしの身体
ひいやりと
あの影の部分
ホルマリン漬けの子宮
眠ってる
おおぜいのひとが
わたしを可哀想と泣いてしまうので
わたしはなんだか可笑しく ....
表も裏もないのだ
という
角度的分散と
平衡感覚の歪みは
時折、
浮遊するような
非 現実感を
滑空する
麻痺することで
逃れられるならば
飛んでいきたい
誰も知らない ....
10秒で書く詩もあれば
10年かけて書く詩もある
10秒で届く詩もあれば
10年かけて届く詩もある
時間の長短は
内容と比例しない
10秒で書ける詩もあれば ....
(あれは、何だったか)
火竜になって飛んでいった私の分身が見たものは。
食いちぎられた街、
灰になった街路樹、
口の中が埃臭い。 ....
新聞の死亡欄に小さく載りたい
葬儀の予定など一切無しで
ほんの数えるほどの文字
ひとつの死 ひとつの終わり
シンプルで飾りのない
わたしの死 わたしの終わり
事実だけが落ちている
....
予想を遥かに上回り
伸び過ぎて
手に負えないほど
細い支柱に幾重にも絡まった蔓を
所々自分で縛った紐をほどきながら
根気よくはずしていった
はじめは
知恵の輪をはずすようで
楽しか ....
月は紅くて刃物みたいだったので
私、
亡くした血を思い出し
何度もあなた
求めたくなる。
衝動よりも永続的なのだと気づいたのは
髪が乱れ
電気が走るから
私、
メデューサみた ....
充たされれば
終わりだった
たとえば
クリームシチュー
何度も
おかわりしたあとの
認めあえば
終わりだった
そうだね
私の
たとえば
爪の先まで
あなたで充ち ....
2年間ずっと寝なかった
この環境の中
嫌な臭いまみれの中
交差点だけでは何一つ解決しなかった
ハロウィンの仮装は女装
悲観的仮想して助走
長生きしないように走りぬきたい
壁一つの向こうは ....
有効径0.1㎜+-3%以内
均等係数1.1以下
正確な砂時計をどうする
滅ぼしてしまいたい欲求不満が
電気のように
身体を貫ている
水道も
下水も
建築基準も
道路も
....
夜全体が不気味な光を投げてくる
もの言わぬピエタを前に
ぼくはすでに言葉を失っっていた
何を語ることもなく
鼓動だけはゆっくりと打ち続けていた
螺旋の彼方に消えて往ったおかあさん
ぼくは何かを伝えたかった
も ....
私は 地獄通りの道を歩いている
「詩人」という、重荷を下ろせば きっと
地獄通りを 通らなかったに違いない
こんなにも暗く、高潔で、淫靡な道を
コトバだけで築き上げた 女の迷路からま ....
誰かを磔にしたまま錨は静かに沈む
泥めく夢の奥深く月の眼裏火星の臓腑まで
黒々と千切られた花嫁が吹かぬ風に嬲られる
カモメたちは歓喜と嘆きをただ一節で歌った
私刑による死刑のための詩形おま ....
その亡骸は偉大にして強固だった
彼の奏でる旋律は時を経て
永遠に流れ続ける
幾何学を試し
その構造は果てもなく
静かに築かれている
溢れる鼓動とともに
バロックを組み立ててゆ ....
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