すべてのおすすめ
継母の喫煙
見つめている
あたしの喫煙越しに
扇風機の
あおい羽根越しに
りんごの木
ふしぎな果実
かしっ、かしっ、
あたしたちはさ迷う
....
走ってきたんだね
わたしに会いたくて
走ってきたんだね
夕ご飯いっしょに食べようって
あの日のように
ほほえみながら
あなたは
瞳を輝かせて
ぼくのこころに
語りかける
そ ....
目を閉じて願うものは
まぶたの裏側で
こぼれ去ってしまうから
君に触れて
言葉にして
後悔と一緒だとしても
確かに刻んでおきたいんだ
さざ波のように
押し寄せる気持ちの前で
....
いつか、必ず土に帰る
その事を、どれだけの人が分かっているのだろう
かんらん石を積む夢と
黒砂が舞い踊る夢を
秒針が殺したので
小指にてそれを折りました
ざあざあと鳴る
雨の音の降りしきる
信じ
終わり
嫌疑は流れず
淀み腐り異臭を奏で
雨の音 ....
終業式
植木蜂、教科書、道具箱
水着、上履き、ピアニカ 夏休みの宿題、
給食エプロン、ランドセル、
悪魔の通知表
あふれる荷物
ながれる汗
戦がはじまるチビ兵隊
....
光がきれいだといいますが
朝日が夕日がきれいだといいますが
太陽で人は死ぬんだと思うわ
....
二人が出会ってから
いくつもの電車が通り過ぎた
始発の準備をするあなたが
終電の窓の向こう側に見える
わたしはあなたに
ありがとう
と言った
次の瞬間にはもう
始発に乗っている ....
祭の金魚すくいで義理でもらった
間に合わせの小さな薄いビニール袋に
入れられた時から
すでに水がこぼれていた
それでもそこから漏れてくる水を
押さえながら
そろりそろりと家に持ち帰る
....
高い空から照りつける
強い陽射しがじりじりと
焦がれた土は風の手に
夏の匂いと蜃気楼
細い川から流れ出す
静かな音でさらさらと
潤う水は風の手に
夏の匂いと糸トンボ
小さな店に ....
病院の 向いに 図書館がある
受診日は そこによるのが楽しみなの
でも今日はちょっと 違ってた
サンテグジュペリ、サンテグジュペリ・・・
探しているうちに くらりくらり
ふ ....
弟が、
はじめて天体望遠鏡を買った夜のことは、
今も忘れない。
失われた母星を見ようと、
みんなでベランダに集まって、
家族で覗き合った。
結局、
あたし ....
夜明けとともに
目的もなくふらふらと
外を歩いてみる
そこの夏は冷たかった
葉の上の雫に触れ
その一瞬にしかない冷たさは
手のひらの中で
やがて消えてゆく
川のせせらぎの音も
....
夏の朝
白いテラスで
ラジオが唸ってる
はるか頭上の風は
あまり動いてない
雲も眠ってる
テーブルクロスも
キッチンから
また君がドーナツを揚げる音と匂い
揚げたては好きだけ ....
夜が放つ神聖さを模倣しただけの
薄っぺらな言葉に、
どうしてこんなにも
心を掻き乱されて、しまうのだろう
持て余している
誰かの足になりたい思い、と
震えてそっぽを向く頑な ....
俺の流した涙が
川になって
海に流れ
日に照らされ
空に昇って
大雨を降らしている
申し訳ない
多大な迷惑をかけている
この場を借りて
お詫び申し上げま ....
つきを
見上げるための、その装置を
湖底にそっと、
眠らせて
ノスタルジアが、いま、
宝石に
なる、
王冠は
燃え盛ろうとする、あの
いつわりの技巧
....
ほたるがりしたら
おりひめとひこぼしをつかまえちゃった
うちではかえません
とママの怖い顔
しかたがないから
どうぶつえんにあげた
来園者数はうなぎのぼりで
....
水溜まりに映る
青く、吹き抜けた空の
隅っこで泣いている
雲を見つけた
そこだけが
深い灰色に沈んで
しくしくと
雫を落としている
大丈夫ですか、と
声をかけると
....
反った背中に
命の雫が伝う
痛いのか
悲しいのか
顔を歪めて
全身全霊の
叫びを
それを見ている
私は
嬉しさと
切なさとが
混じった ....
底の少し剥がれた
スニーカーで、歩く
レンガに反射する光が
私をほんの少し
焼いている
とりあえず深呼吸
一回、二回
排気ガスは気にしない
それすらも
世界の一部だと
言って ....
ひとりで歌う歌は かなしみに似たララバイ
かなしみのくれたものが分かる?
とてもせつなくて うれしいもの
心の奥には 見えない河があるの
このさびしさ このかなしさ
このいとし ....
ぼくらが
どこから来て
どこへ行くのかというようなことは
とても重要なことだ
ひとは
ひとによって生まれ
ひとであることで死んでゆく
それは
あらゆ ....
たらいまわしにされているたらいが
私の家に届いた
底のひび割れから水漏れするので
仕事にありつけないのだと言う
私は気の毒に思いひび割れを修理してやった
翌日たらいの奥さんと息子も届いた ....
今日、久しぶりに夕焼けを見た。
赤からオレンジへ、オレンジから青へ、青からグレーへ…
言葉では言い尽くせない色の数々に
ただ圧倒された。
久しぶりに見た夕焼けは
なんだか切ない。
毎日 ....
ヘンリー 私の膝の上でお眠り
窓辺に当たる雨の音を聞きながら
時々は 可愛い耳をぴくんとさせて
解った振りをしてくれれば いい
ひとり言を 話すから
....
蟻が空を見上げてる
土の上から
体よりもずっと小さい目で
大きな空を見上げてる
いつもは下を向いて
せっせと動いているけれど
まぶしい光が呼んだのだろうか
蟻は立ち止まり
空を見つめて ....
気持ちをなだめてくれる
けやきの葉たちの向こう側
濃い青の空に 夏雲が湧き上がって
激しい季節の予感
夏雲たちは 次々に力を秘めた体を起こし
見渡す限り 雲の輪に囲まれる
....
からからからから空回り
足元には注意して
いたずらな子悪魔は
いつも隙をねらってる
この想い
言葉に直せるほど
まだ消化できないよ
鮮やかなフレーズよ
舞い散 ....
人生を、
そう、
人生を、
棒に振るような生き方を
しようと思っていた時期があった。
今よりもずっと若かった頃に、
今よりももっと愚かだった頃に。
すべてを、
そう ....
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