すべてのおすすめ
いつまでも飛び去らぬ鳥の背に
近づくとそれは雪だった
冬は訪れた方角へ
来るものをただ押し返していた
天に飽き天かきむしる鱗雲
おまえには冬しか居らぬしるし刺す
鉄を裂き鉄かつぎあげ冬を打つ
とどめからとどめに至る永さかな
仮 ....
ひとつの指をひたし はじまる
どこまでか語らぬ夜の布
音の氷 青の氷
散らばる
片目の月 鉛の月
色のない筆に暴かれる
空は骨
空は骨
青のどこかに金があり ....
谷底にこがねの雨がわだかまり見るものは泣き見るものは去る
ゆうるりと暮れあおぎみてまわる虹うた連れてゆくひと連れてゆく
冬の木が冬の木を呼ぶあいだにも白 ....
悲しい顔をした岩が
森をのせてつづきゆく
触れると消える
左まわりの虹
指を握り返しそこねた朝に
ふたたび夜を見そめ 見そめる
崖の王国
響きはけして 返ることな ....
黒い森の自画像
照らせない色を重ね
声を描いた
ひとつ上から落ちる真昼に
金と緑の暗がり
雨のなか とりあう手
星のありか 点と点を
十四までつないで
....
海のなか
鉄の手は結びあい
夜を吹く森のそば
街に灯は無く
山は燃え
褪せた冬をゆく瞳
橋から橋へ雨は渡る
枝が照らす道を
海へ海へ下りる
嵐が野 ....
点滅する光を舐め
月を背負い 歩き出す
鉄の地図に描かれた目
錆の花にひらかれる
十一月と十一月
灰と白と黒
入り江の星や
声の星
鏡の前の窓
映すも ....
手のひらや帽子に降りそそぐ
願われることのない星の色
杯ひとつに痛む片腕
夜を渡し 夜をこぼす
蛾と蝶のはざまの飾り
またたいてまたたいて夜となり
さらにまたたき
....
野に影があり
樹と水と空と火の
長すぎる枠線を見つめている
奥にゆくほど太い負や
霧や霧でないつらなりや
まとわりついては月に削がれる羽たちや
道化の音が
....
塩の寺院を映す川
流れの外に冬は来て
人のものではない足跡を描く
常に 既に
先をゆくもの
黒と緑
終わる午後
坂の曲がり角をのぼる影
だが誰も のぼっ ....
ざわざわと息を噛むたび洞は鳴り洞のむこうの洞はこび来る
けだものをけだものと呼ぶ誕生日ただ生まれゆくただ落ちてゆく
ささやきが積もることなく降りつづくわ ....
小さな小さな
無数の鳥の声がする
右手 左手
別々に回る泡のなかに立ち
別々の夕陽を見つめている
どこにでもある川が
見えたり見えなくなったりしながら
....
輪と輪
夜のみどりの音がしている
鳴らない鈴のなかを
くぐってゆく
月の満ち欠け
柱の内周
どこまでも
砂の色
光は降りて
枝を揺らす
土につく間に ....
それを動かせば
すべてが動く
山の裏の光
みどりの
光
冷たい鉱
白は触れる
空とまばたき
つぶらな音
獣を追う声
壁に消える背
夜の径を
透る ....
描かなくなった人の家
しあわせな闇
そこで良い人は
良くなってゆく
記憶に刺され
死にながら歩く
美しいとは
死んでも言わない
近づくと冬
離れると冬 ....
草陰の首輪
青には小さい青の花
はみ出てはこぼれ
午後に集まる
六つの爪が
頭を光に傾ける
ひらき 突き立て
つかみ 揺さぶる
二本足の飛べない生き ....
手紙の花
咲いては咲き
見えなくなる
花の花のなか
山すその音
読めない文字の
背を伝う音
すぐに 冬が来る
蒼に臥したまま
朝が来ていた
盲目の昼 ....
過ぎ去る匂い
置く光
地と地の無音
指ひたす空
はじまりの水
灰と青の花
影の無い道
陽の無い朝
どの曲がり角にも
人は居ない
曇と足音
曇と足音 ....
すぎてゆく光の指に思い出す斎場の冬の風ひとかけら
死にたいか死人でいたいかどうなのか急かしつづける夜の水たまり
おまえにも俺にも指が十二本打ち寄せる泡す ....
空の地図夏の終わりに書き終える
炎から炎をちぎる秋であれ
鈴の塔そのままの目に鳴りわたる
鉛筆で自害する夜のおだやかさ
隠れ ....
夜の火を口に含んでうがいかな
非のかけらどこまでも否の非のかけら
凧いつつ揚げつづけているひとりかな
目も耳も氷の如く陰はなつ
ただ軽い死に ....
拡がるたびに
笑みは昇る
照らされる土
くちもと
数えます
沈みます
報告する
雨の道
ふちどりが
音になり
閉めても閉めても
吹いている
....
途切れることのない
偽の街
地図は割れた灯に
消えかけて
婚姻の爪
婚姻の爪
風より低く
背の星々をあおぎみて
午後と夜のあいだの緑
一日に一度の雨
....
冬は冬に臥せ
川を見る
灰のうしろ足に咲く
花を見る
滴を追いかける
滴の靴
一閃の
緑の爪
光は光を踏みしめる
氷の上に燃える青
海へ海へむかう道 ....
招ばれていないのに
招ばれているのなら
指を二本咬む
招ばれているほうの
指を二本咬む
原さする原
鳴く原に降る
雨の文字
手のひら
火ともし
まぶた うつほ
指ひとつ 空を隠し
ゆらゆらと潜むもの
巨きな 花のかたむき
片目をつ ....
水か影かわからぬものが
器の底を囲んでいる
円の一部を
喰んでいる
またいつか会おう
会うより速い別れを
くりかえし
くりかえし
見えると見えないのはざ ....
ひとつの錐と
ひとつの傷
その間にあるものすべてが
錐により傷に押し込まれてゆく
錐により 錐により 錐により
奏でる前に
降っていた
奏でられるはずのものが
....
五つとひとつの指で実をささえ
右は左の午後を見わたした
こぼれゆくものを
見わたした
鉄とガラスのはざまの蜘蛛
ずっと光を投げつづけている
陽でも灯でもない
雨の ....
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