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水銀の光の一粒が
横へ横へと動いている
ゆうるりと回転し
他の光をかき分けている
てのひらを巡る
遠いみちのり
つもるうつろ
熱の轍
まるめられた透明が ....
料理 塗料 におい
あとずさり あとずさり
ただ目に入るだけの曇
はじまりそうで終わる夕暮れ
水たまりも風もないまわり路
低いざわめきのあつまりが
ざわめき以外を持ち上げる ....
影なびくほうへ
路を曲がる
前も後ろも
午後になる
花の色と
名前を忘れる
すぐそばにただ
ひとつ揺れる
雨と雪が経ち
かたちは鳴る
すぎてゆく手に ....
すぎてはすぎる
曇のかたちを聴いている
水の名前に
拳をひらく
静かに紅く
夜へ降る曇
さらに暗く さらに静かに
さらに遠く さらに遠く
膝の光 銀の道 ....
芽を花を実を
踏む道をゆき
芽を花を実を
肌に宿す
瞳のなかの高い窓から
さらに高い瞳を見るひと
影の脚が
影の胴を透り
羽の浮かぶ水
何かが去った跡へと至る
....
黒と緑
ひともとの曇
月のきざはし
忘れられても うたいつづけて
笑顔に割れた夜の下で
いたたまれずに背を向けて
ふせ目がちに風を見る花
光のなかのまばらな道 ....
布の下にだけある光
曲げようともせず曲がる音
夜が夜であるうちに
光が 光であるうちに
花の前の
羽と獣
煙は晴れる
組みかえる脚
雨はただ道に沿い
街は ....
硬い水と硬い石が
大きな球を廻している
緑の陽の下
川へ降る雪
実り落ちる火
空へ空へつぶやく火
流れのなかに立ちどまり
流れの壁を見つめている
岩と声 波紋に ....
無数のまぼろしたち
紙を折り 飛ばし
しずく集め 飲み干す
無数のまぼろしたち
すれちがい かがやき
過ぎ去りつづける
追うものなく 請うものなく
海風は強く午後 ....
空たどる枝に
三つの時間が実る
土になれない枯葉が
芽を見つめる
まばたきのたびに 曇は増える
午後を横切るかけら におい
どこまでが空か 応えは返らず
ただ風が ....
冬の蜘蛛のかたちだけが
土の下にかがやいている
風や色とともに染み込み
夜を夜から浮かばせている
まぎれもないまちがいだけを
数少なに燃している
たなびくものが向か ....
幾つかのまことを受け入れて
小さく分かれてゆく夜の
蒼を生む声
語らない声
水の階段
つくりかけの舟
川のはざまの
つくりかけの街
砂の上の螺旋
描き ....
夜を脱ぎ 夜を着
近づいてくる光を聴く
触れるようで触れずにいる
熱のかたちの指先を見る
道に雨があり
曲がり角で消えてゆく
緑のひとつ向こうの緑を
雨はふたたび歩い ....
君のまますべてに到く君であれそう言わずにはいられない揺れ
望むとも望まないとも知らぬまに変わりつづける歩むものの背
午後になり来そうで来ない雨があり斜め ....
水の鏡の
光ではないところに
呑みこまれながら
呑みこまれずにいる
ふるえがひとつ
羽につながる
旧い言葉が
水をわたる
樹と樹のはざまを
はざまと同 ....
多くが壊れ
ひとつ残り
うつろいを生み
栄えさまよう
曇の数だけ夜があり
ひとつひとつの雨のたもと
光は布にひらかれて
足跡のない歩みを照らす
背の花ふ ....
過ぎては消え 遅れては鳴り
ふたたび現われ 昇りゆく
水たまりの径
ふいの翳り
まだ水は冷たく
指をまわす
見聞きした風
伝えられずに
陽のはざまに揚まり ....
森の上の夜の光に
曇は高く灼けている
目を閉じても
しんと熱い
ざくりとした光のはしばし
手を振るように変わりはじめ
やがて花になり鉄になり
光と光以外をくりかえす
....
光の裏に氷があり
曇の奥へ
曇の奥へ
小さく水を点してゆく
陽の下の雨
雨の下の夜
夜の下の背
水みちる背
応えないものに囲まれ
ゆうるりと夜に気づいてゆ ....
布の上の鉛の絵
波に途切れ 文字になる
唱いかけ
波間の火を見
唱いだす
歯車の音がしている
陽の芯からの風にまぎれ
さらに さらに遠去かる
刺さることのな ....
切り取っては
別の空に貼り
せわしく曇り
鴉は鳴る
こわがりな子らのための菓子
運び馳せるものの頭上に
爪と牙と花の午後
交わることなく生き急いでいる
水の ....
壊れた光を抱き
小さな別れが灯り
足もとに背にまとわりつき
押しのけても押しのけても
指が沈むほどやわらかな
淡くやさしいうたを唱う
ひとつはひとつだと言う
それでも ....
呼んでも来ない
呼んでは消える
声は鍵になり
あけるもの無く
何もせぬまま
そこに浮かぶ
塗り込められた
壁の扉
ふたたび現われ
何処へつながる
鳴るのはひとつ ....
巡るうた追う
海の手の甲
丸い穂先と
風の尾の火
打ち消しあう火
打ち消しあう火
うたの切れ端が花になり
火を免れて明日になった
午後のこがね
夜の蒼
祝福 ....
何もないものばかり響いて
ひとつ さくりと
離れゆく手
玩具とともに
しまわれる手
岩の鏡が音を集め
門のかたちに積み上げている
水音の色を見つめる目
かたちのむこうの ....
流れついたものが
砂になりながら
岩とこだまを見つめている
鉄の文字 糸の文字
海をつなぐ
むらさきの道
夜の上に呼ばれ
夜の上に呼ばれ
いつのまにかもどり 忘れる ....
光の布が
足跡を聴く
異なる色に
離れてゆく
雲は癒え
残りのうたが降る
視界には常に
羽根が映る
直ぐに落ちた火が
足もとを廻る
光の芯の光
触 ....
至るものがあるだろう
夜に空を飛ぶだろう
けだものの背を知るだろう
木の枝の卵を
星のそばに添え
とどろきは止む
くらやみが
くらやみにまたたき
つらな ....
顔の上の腕を
動かすことができずに
からだを傾けると
丸太のようにころがる
また通りで
言葉を失くした
植物園と 博物館のあいだの
かたつむり
とすとすから ....
声は途切れ まぎれる
指のように
熱を背に描きながら
髪の水を見あげる
まわる響き 枝のはざま
しなり したたり
森を燃す羽
ひとつまたひとつ 飛び去る
....
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