ノート(ひとり さめて)
木立 悟





野に影があり
樹と水と空と火の
長すぎる枠線を見つめている


奥にゆくほど太い負や
霧や霧でないつらなりや
まとわりついては月に削がれる羽たちや


道化の音が
背中に憑く
冬は冬をゆく
大陸をゆく


骨 羽 指 死
かがやくほうへそりかえる
かがやきを知らずに そりかえる


弦をたたき
力を曲げる
想い出に二度殺されるその前に


青空や偽言に
踏まれながら踏みながら
次に光になるものに
触れながら


背中にまわす手は消える
骨は緑の粉に埋もれる
胸のよごれをなぞる指から
羽は羽は羽はこぼれる


白と光は
近づきすぎて離れはじめた
昼にも 夜にも
沈む受信機


土の高さから
霧を見ていた
既にいない
門番を見ていた


庭の蔓草の
大きな袋
その夢のつづきを
見れぬままでいる


壁と窓が
骨のように沈んでいる
川は街へ
夜を運ぶ






























自由詩 ノート(ひとり さめて) Copyright 木立 悟 2011-10-06 00:22:10
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