すべてのおすすめ
冬が冬を抱くかたちから
噴き出るように羽は生まれ
冷えるばかりのけだものの声
一本の線に遠のいてゆく
永く細い針の重なり
薄く紅い流れのひろがり
目を閉じ ひらく日 ....
銀と灰の
やわらかな壁に囲まれた狭い通路が
縦に立てかけられた
白い布団のようなものに満ちていて
そこを通り過ぎて少し戻ると
金にかがやく部屋があるのでした
....
{画像=170702213809.jpg}{画像=170702115037.jpg}
恋をしている
が
窓をしている
に見えて
そっちの方が素敵だと思った15歳
青春の炎がみちみちて
いなかった
家の壁が
へっこんでいるので
女ばかりのこの家で
誰がそんな乱暴ち ....
ミニカーをコマ撮り 空から滴る雨 家の屋根は紺、茶、赤
線路はとぐろを巻く ずるりと地球を這う
次々に人を丸呑みした
黒い煙が巻く ぐるりとわたしを囲う
心にもない言葉を吐く 生きると誰かを失 ....
立春の日
わたしは何も見ていなかった
空の青さも
道端のサムシングも
自分も
すべて が通過し
何も心に残らない
右足を前に出し
つぎに左足を前に出す
一瞬一瞬を生き延びていた日
....
浪と雷鳴
岩に散る火
曇を照らす
縦を照らす
海は白く
雨の柱
かき混ぜながら
自ら溶けて
夜明けを吸い
夜明けを吸う
何処へも行かず
止まぬ震動 ....
マダ ツカナイノカ ネー
かぼそい声の
母は 床ずれをした背中を
不自由によこにする
白いベッドのシーツから
石鹸のにおいがする
アア エキ ....
したためて君に
あの日の夕日の孤独について
しるした
水平線で区切られたような
関係性はまじわるのか
まじわらないのか
小石がいくども波にけずられて
きらきらした砂になるよう ....
いくつもの断片 ただ繋げてみただけ
意味があるなんて いつも後づけで
どんなに探しても先がわかるわけではない
でもほら よくできているだろう そんな気になって
もっとほら 見てもら ....
離別すること
それははじまりである
丸い空が
しわがれ声をあげて
許しを乞う
そのとなりで
友はしずかに
そして
激しく雨になる
空がにわかに
なまりを
たくわえてく ....
十代の恋は幼く
大人びた香りがした
あの夏の日暮れの
夜が落ちてくる手前の街を
指を絡めて歩いた
あなたの指は
ほそくしっとりとして
引かれるまま道を歩く
足取りはひどくゆっく ....
生ぬるい湯が入ったゴムの風船、
それがわたしだ。
熱々だったことなんかないし、
凍りついたこともない。
手の届くところに何もかもがある。
肩こりの塗り薬(インドメタシン入り)、
豆乳で ....
焼きたい焼き
期待
痛いたい焼き
嫌嫌
屋台たい焼き
行きたいや
聞いた?
いや?
タイ行き
待機
焼いた?
いや?
タイヤ焼いた?
いや?
タイ焼いた?
....
眠っている街のせほねをなぜていった
風をみていた
髪の毛の先
産まれたての星をやどした
ひとみにも
ひとしく均された夜が降りてきた
つま先立ちの白線に血がかよう
弾性を綴じたアス ....
夕日が地平に没しても
なお 街々の西の空が
かすかに明るみをおびている
足を止めて
やや赤みがかった
仄白いものを
見ていると
無性に泣きたくなっ ....
「くわいえっと ていくおふ」
手の届く角度の間に開いた対称線の。
空を見ながらゆっくりとおちていくはずのモーションで。
私は空間に静止したまま、円 ....
3本に見える親父のしわも
近づいて見ると
土星の環のように
たくさん見えてくるのだろう
でも近づき難い威厳がある
物忘れが多くなったけど
柔らかくなっていく眼差しで
威厳を保 ....
あー
頭のフタがとれちゃった
花に話しかけようとしなかったから
ぽろっと落ちちゃった
コップにも話しかけておけばよかった
水入ります
であるとか
靴下でも
ネジでも
スズメでも
....
かじり取られたたましいが
元のかたちを静かにたどり
川辺を覆う枯れ草に
うたうように立ち上がる
涙が涙を流し去り
夜のひとつの山道となり
何処に着くのかわからな ....
光を梳いた暗がりの川
朝と朝と朝の波音
刃の羽のはじまりと終わり
かけらを悼むかがやきの径
何処へも行けず 此処で眠る
水はさらに遠くなり
暗がりは暗がりのままか ....
「音のない声」
ただ近くにいたくて
姿を追いかけたのかもしれない
幻の意味ってしってる?
そう突然きかれて
ぼくにはこたえられなかった
こたえがないことに、心を求めて ....
凍るような闇に
おおわれている
もう先が見えなくなっている
わたしは手さぐりで
広い歩道にでるが
そこには夜はない
誰もいない路上
灰色の靴音を
ききながら歩 ....
おぼつかない
てのひらでうけとった
灰色の雲間からの
太陽球のささやかな光筋に
もうすでに摩耗しきった熱の残滓
会話と歩幅に
かたつむりの速度を馴染ませた
潤いの傘の季節
かつての興隆 ....
貝がらが君の右の手から放たれて、しなだれた花びら一輪を左の手から掬った。泣いてしまう前に話そう。潮の満ち引きのこと、涙の渇く早さのこと、月の光の明るさと甘さのこと、君との足あとのこと、私の ....
感じない掌の上に
鳴かない鳥が
人のように瞼を閉じる
冷たい雨の降る
コンクリートの上で
静かに眠りにつく
戯れるように
温度を残して
*
おか ....
乾いた滴の跡が幾つも
木板の上につづいている
溝の流れから逃れた子蜘蛛が
葉に残る滴を見つめている
遅れてばかりの日時計に
忘れた夢がよみがえる
水彩の音
水彩の ....
もがいて繋げた糸
11桁の数字の羅列と見えない電波に縋ってみたくなる
電話口の音声は合成音だと誰かが言っていたけれど
匿名の 顔も見えないその声が鼓膜を震わせて
すとんと胸のあたりに落ちたとき ....
ぬっとり湿った夜の膜を
そっとふたつの指で広げれば
胸を裂くような光のしたを
あたたかさ、なさけなさの影が歩いていた
カーブミラーの歪みのなかの
少しだけ正しい領域を
裸足で歩くわたし ....
冷たい夜に
むらさきとむらさきが向かい合う
岩の径を
音だけがすぎる
鉱と鉛の紙
指を回る火の震え
小さな鈴の音をたて
砕けるように消えてゆく
空の一部をち ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116