すべてのおすすめ
ひらり おちる
消しゴムのかす
えんぴつを研いだ時の
木の破片
真っ白なノートに書きなぐった
たくさんの言葉たちが
笑う 泣く 笑う
書いては消した 小さな唄
ちっ ....
今日
わるぐちを投げた
うまくいかない 輪投げみたいに
二度ほど
書き直してから
送信
ほどなく
私の書いたわるぐちが
白い画面に現れる
匿名の
小さな怒りだ
ああ
私 ....
どんなにかわいいレオタードの女の子が空からおちてきたって
どんなに素敵なフィギュアスケートのあの子がおちてきたって
不細工を絵に描いたような柔道着姿のあの子がおちてきたって
わたしは
ほとんど ....
初夏
少年の頃
お話の木の絵を見た
広葉樹の木陰で
子供達が
眼を輝かせ
耳を傾けている
お婆さんのことば
森や草原を漂い
風に運ばれて
村や町や港や
海や諸国を巡り
....
町では桜も散り 山すその我が家までの
道沿いに見える畑には 林檎や梨の花が咲き
雪溶けの遅かったこの地にも 緑の季節が流れ始めた
除雪機で雪をとばし なんとか建てたビニールハウスでも
稲の ....
少し大げさに
五月の朝を吸い込んだら
つまらない不純物など
軽々と許せてしまうくらい
気管が心地好くせせらいだ
少し控え目に
五月の朝を吐き出したら
ためらいや秘め事を
うっか ....
橙色の絵の具しか
見つからなかったので
君を描いてみた
夕焼けなんかじゃ
痛すぎると思ったから
青色の絵の具しか
見つからなかったので
僕を描いてみた
海なんかじゃ
....
きみがいるだけで
どこからかちからがわいてくる
きみがいるだけで
そらをもとべそう
きみがいるだけで
ちきゅうのうらがわまではしっていける
きみがいるだけで
こんなにもなみだ ....
ななめの線は おめめ
口が にっこり
点は よだれ
いや 指って事で
心 って
にっこりマークみたい
コンロの上に鍋があって
コトコトと
音 って
お料理しているみたい
....
海への道を進む
枯れ枝の軌跡を追う
その感動的なフレーズが生まれたのは偶然
はるかと名づけられた子供が
遠くを見ている
一生その名に囚われ続ける
その名から出ることはできない
....
通う眼差しに灯せない夜はない
瞑り日 損なわれた約束は
名を変えて ほどけつづける
折り返しみつめた指の先も
ひとつひとよ のばして重ねる
掌のまま さしだしても
届かないものに でも ....
夕焼けが染み込んで
焼き魚が はためいている
こんがりと 空の匂いを漂わせ
塩のような星粒が いい塩梅に
そんな屋根より高い鯉のぼりや
ベランダにかわいくなびく鯉のぼり
....
野良猫が生垣から顔を出して
じっとこっちを見ている
/かけとび
あやとび/
/ステップとび
去年はできなくて癇癪を起していた
ふふふ、まあ頑張れよコワッパ と思った ....
傷を隠したような
雨の後の夜空
走り去ったバスと
針のように深く
胸を突き抜けた言葉
傘を閉じた人たちの
話声は弾んで
バス停に残された
僕はいつまでも ....
おんなはおとこをつれてわたしのいえにやってきます
あるときはひげのひと
あるときはとしのひと
あるときはすごくやさしいおとこでした
おんなはわたしをくらいへやにとじこめます
それがさいん ....
風がふく
風がながれる
風がなく
ぼくらの風は
いつも
風を
探している
ふく風は
たぶん
あなた だろう
ながれるのは
間違いなく
ぼくだろう
なく風は
....
悩みの倉庫は胸にある
袋の口をしめて
幾層にも積み重ねる
きみと話したあとで
倉庫に無くなっている
きっと起重機が
袋を持ち上げて
運び出したのだ
胸が軽くなって
ぼくの気分も起重機 ....
心臓の中で
春が笑っている
笑っている春の中で
一面のチューリップが笑っている
笑っているチューリップの中で
少年が笑っている
少年の無邪気さが
チューリップを{ルビ ....
割れて つまづいた障子紙の陽射しに
つけられる風 ことり ごとり
削りこまれた細工 ひろがる窓の内
ビンの底のガラス 集めた昼の鼓膜
ホコリ マ ミレ
柱の影絵に 散らかっていく
....
北の国で少女は
歌を集めて翼を織った
旅してゆきたかった
生ぬるいかげろうの季節に
歌はそこら一面で摘まれ
籠のなかでちいさく鳴いた
迷子になったひよこたち
草原を季節風が ....
ろうそくが燃えるのは
それは
ロウが燃えるのだ
と
では
ろうそくが消えるのは
それは
ロウが尽きるのではなく
燃えるべき
ことばの芯を失うからだ
心を持たない
....
会社をたたむと決心して以来
もののたたみ方に注意するようになった
これまで自分でたたまなかった布団を
たたんでみたりするようになった
いつもはそこら辺に放り投げている
パンツや靴下もたた ....
牽かれていく二すじの偏光
孤独な少年の手なぐさみ
自転車にまだ補助輪があったころ
ぼくは愛されていたかしら
いなかったかしら
初夏の予感が初めて来たとき
駅前通りに二匹の妖精 ....
葉は寄り 毛の尾に嗅がれる
伏せる喉 痩せた土 はぎ
噛みすする 親不知
木の根に うずくまり
こごと と舐める
石の蜜
駅近くの喫茶の壁に
抽象画が貼ってある
焦点の合わない
橙色の幾何学模様
隅に小さく署名がある
さいたりる
若い女主人に聞くと
以前よくきていたが
最近はまったくこないという
....
新聞紙の同じページに
震災への追悼が行われた事と
つい先日 襲撃された
日本大使館などの記事がのっている
犯人グループ 36人の死による鎮圧
犠牲者 11人 中に 民間人も含むらしい
....
世界の最果ての部屋で
無音のテレビが瞬いた
鬼が私を探しに来る
緋色に染まった夜の海から
シルクの魚雷に跨って
鳥は巣で寝返りを打ち
子供は母に抱かれて眠る
夜の付き添いに疲れて
人気のない待合室の
ソファでうつらうつら
窓際に置かれた
ヒヤシンスの根が
くねくねと
夢の中まで伸びてくる
先端の脈動に
病院のすべての機器が
....
スコップの目覚まし時計
雪が情熱で溶けるのは冬
つける薬を 欲しがるのは春
わびる氷 くびれ揺れる水のフレア
に 後ろ手で そくっと映し見る
白く なだけはなれなかった
夜 ....
異星人の女
ぼくより背が高い
コトバをしゃべる
ぼくを見て笑顔を作る
食事にさそう
女はよく食べる
ベッドに行く
ちゃんと乳房がある
触ると反応する
「チキュウジンニ
ニテイルワネ ....
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