―― 死んだ魚が光ることを、はじめて觀察したのは
                アリストテレスであった。〈左京〉

       
{ルビ頬=ほ}につたふ 涙 拭わず
 ....
ポチがどこの犬かは分からない

ポチは大型犬だ
シェパードとシベリアンハスキーと
あ、ゴールデンレトリバーも入っているかな
とにかく立派な大型犬だ

ポチは人懐っこい犬で
私を見ると
 ....
七億をすぎる人の 
文字への想い

親の願いを込めた
自分の名前すら書けずに
字を読むことすらできない、少女は
母からの手紙を読んでもらいました


詩はいつも文字や言葉を媒介す ....
月がゆれる
     星がゆれる

短夜の
   せつなくゆれる
          まにまに

あらゆる意味を
       ほどいてゆく
             溶かしてゆく
 ....
風吹かば 風が好きだと 君が言う

大きな楠の下で夏
夏、街は
もぬけの殻になった
開け放たれた窓
ラジオから流れる雑音
駅前からも公園からも坂道からも
人はいなくなった

がらんどうの街路を歩く
私もまた空っぽになっていく
視 ....
{引用=
青い青い水面に溶けこんでゆく、
眩暈、
ふたりの抱擁、
時計の長短針が、
零からいきなり三十になったように、
逆さまにはっきりと映りこむ、
ふたりの不定形、
まるで半透明のゼ ....
毎夏見る帰省のニュース
しっかりと時間を費やす 家族たち
それを眺めることが毎年の行事

思い出すのは病室の洗面台や
トラバーチン模様の天井
となりの家から夕ご飯の匂い
てん ....
公園通りを抜けたところで
突然、大粒の雨が落ちてきて
石畳を駆けぬけ
アーケードに避難した

濡れた前髪から
昨晩のヘアトリートメントのにおいが
密かにたちのぼる
フローラルウッディの ....
記憶の中に家があって
記憶の中に家族が居た
毎朝同じ時刻に
家族のような人たちの出て行く玄関は
毎朝違う場所にあった
ある日
家族のような人たちは
夏を連れてきた夕刻に
消えてしまった ....
雨がくる
雨が降る
気をつけて
あっという間に
やってくる

激しい雨
電車は止まる
車も浸水する
いたるところで
道路が海のよう
なすすべもない
こういうことで
大変なのに ....
月が光ったり包むように照らす記憶のない、まだはじまったばかりの夜だった。
顔の何処かで泣かないように空に瞳を任せていた。どこを見上げてみても
わたしが知らないだけで、星はやさしく奏でていたんだった ....

僕の部屋には郵便受けがない。でも架空の郵便受けに今日も神さまからの加速度が届けられるみたいなんだ。

本棚は花畑のよう。そこに今日も日が差している。

360、それはまるで弟の首のようだ ....
小さな町の女の子は
空を見たことがない
小さな町の住人に
割り当てられた空が足りない
朝陽が昇ると溶けてしまう
うす紫のバスに乗って
小さな町の女の子は
茨の蔓を採りにゆく
野茨つるば ....
今宵
閃光にうばわれた
満月は雲
火は華と化し、
秒速の命を生きる
あまたな人を幸せにするため

匂いを放つ 月光のうすあかり 
遠く遥か隣り街に 山の端を染め
火の華を 見下ろ ....
 或る季節風の朝
 街中でコートをひるがえし行く
 女の紅よ

 結ばれないと解っていて
 湧き出る胸の音楽に
 自分をすら見失う時
 陽光に己が肌をさらすことも出来ず
 根なし草の様 ....
  {ルビ蟷螂=たうらう}よ その身に棲まふ禍(まが)つもの おまへの腹はおまへを喰らふ


 小学生のころに、道端とかで、カマキリの姿を見つけたりすると、ぼくは、よく踏みつけて、ぐちゃぐちゃ ....
午後になった
扇風機をとめて
水を届けに出かけた
ひび割れた路面と短い影
歩く時も俯く癖があった
草刈の辺りで風鈴売りとすれ違う
音、聞いたのだからお代を、と
干からびた掌を差し ....
夏休みがくる

あの子がいますように

いや、いませんように


毎年 祖父母の家で暮らす夏休み

解放される天国の季節

いつからか

夏休みに必ず出会う少年

透き通 ....
 ただいま
 夜の甘い想い
 剥がれて尚も行進する金色の
 星の色と音

 高層マンション
 窓辺のランプシェイド
 ああ こんなに
 夜が暗いなんて
 指先の向こうには 
  ....
黙祷は
鐘の音

1945
8・6
8:15
刻印は時の数字

僕の死は、
人類の知恵の粋
現代科学の結晶
14万人の命の対価

目的は
先の見えない戦争の早期終結と
阿 ....
その{ルビ娘=こ}は

私たちが乗り込んだ都電の座席にいた

私たちが乗るのと入れ替えに

その{ルビ娘=こ}の

両隣が空いたので夫が左側に座った

私が右側に座ろうとした時
 ....
消えていった体の
魂たちが
今も
宇宙の魂と
いっしょに在る




 ※ 五行歌とは、五行で書く 詩歌のことです。
まだ早い りんごをもいで
ひとつ、ふたつ、歯型
皮を舐める 果肉に届かず

つるつるで てしてし
舌に引っかかる弾力

一呼吸 おいたら 波の音
いつの間に 手一杯に 貝殻

 ....
{ルビ小夜=さよ}、{ルビ小雨=こさめ}降りやまぬ{ルビ埋井=うもれゐ}の{ルビ傍=かた}へ、
{ルビ遠近=をちこち}に{ルビ窪=くぼ}溜まる泥水、泥の水流るる廃庭を

葉から葉へ、葉から葉 ....
{ルビ屑屑=せつせつ}と自慰に耽る{ルビ雌雄同体=アンドロギユヌス}。
{ルビ人葬所=ひとはふりど}にて快楽を刺青するわたくし、わたくしは
──溶けてどろどろになる蝸牛。*

さもありな ....
・・・無音の荒れ地から、

地球の景観は むごたらしいほどの壮麗な美しさ
海と雲のコントラスト
星の陰 マイナス170度の砂は、
手の届かない 蒼い海を懐かしむ

月は人を受け入れ
 ....
ボリビア行きの電車に
重たい体を預け
ひとりで飲むジンジャー・エールの味を
確かめに行く
鞄から一冊の本を取り出して
次の停車場まで読む
  それは僕があなたのように
  ひとの心を受け ....
ガス燈の灯る、
光の街は
地図にない
ヴィヨンの橋影が
夜の流れに
揺らめいている

街行く人も
名を伏せた仮面のまま、
濡れた石畳の道を
忙しく
通り過ぎた

裏通りの女も ....
受信機は今日も空っぽです
天気は晴れ 時々 鉄の破片
流れ落ちる 身を梳くような
鋭い 言葉に 気をつけましょう
空は その様相を変えたとしても
美しさを 損なうことはないのですよ

あ ....
ryinxさんのおすすめリスト(1471)
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