虚無の庭に
僕らは佇む
灰色の日時計のかたわらに
でもこの場所は
光源のさだかでない光が
ぼんやりと漂っているだけだから
日時計は時を示すことができない

忘れない というクリシェを
 ....
レンガが降ってくる

##### 線路

十字ボタンで突き刺したんだよ

 夕闇の水田のなかを、幽霊たちがとぼとぼと歩いていく。
ちょっといいですか。
あなたは神を信じますか。
牛の声で返事をした。
たしかに、神はいらっしゃいます。
立派に役割を果たしておられます。
ふざけてるんじゃない。
ぼくは大真面目だ。
友だ ....
黒い写真は我々に何を語ってくれるだろうか

           干からびた
       噴水の
         中を走る
             純粋さ

      岩の
  ....
照らせ 照らせ 光よ 照らせ
光は 孤独なのだから
ひとりでに かがやくのだから

回せ 回せ 宇宙よ 回せ
思うより なにもかも短いのだから
夜ひとつさえ 瞬きのうちなのだから

流 ....
いつか森のいちぶだったもの
小鳥をすまわせ
そのうたに耳をかたむけていたもの
みどりの葉をめぶかせ
ゆびさきは空へとむかう
よるになれば流れる星のゆくえを占ったもの
むささびの発射台になっ ....
 あの日、わたしは友人といっしょに一本の映画を観た。黒澤明の「まあだだよ」。
 友人と待ち合わせをしたのは、午後のことだったろうか。たしか、銀座にあるマクドナルドだったか、日比谷のウェンディーズの前 ....
燃えるものがなくなると炎は消えた
それから数万年
水も酸素もない高温状態が続いた
やがてシェルターから出てきたのは
天使と悪魔だった
彼らは魔法のような力で地上を再現し始めた

地下 ....
乗れなかった列車
届かない指先
人混みの中
涙が頬をつたい
わたしは遅刻

会いたい人がいた
伝えたいことがあった
できることなら書類に
その滑らかなサインまで
いただきた ....
底浅の透き通った水の流れが
昨日の雨で嵩を増して随分と濁っていた
川端に立ってバスを待ちながら
ぼくは水面に映った岸辺の草を見ていた
それはゆらゆらと揺れながら
黄土色の画布に黒く染みていた ....
いつもと同じ道を歩くと
強い向かい風が押し返してきた
風に負けて逆方向へ行くと
風が背中を押してくれた
いつもじゃない道を歩いて
知らなかった景色を見る
背中の風を失わぬよう
流れるよう ....

白い夏
思い出の夏
反射光
コンクリート
クラブ
ボックス
きみは バレーボール部だった
きみは輝いて
目にまぶしかった
並んで
腰かけた ぼく
ぼくは 柔道部だった
ぼ ....
                  
                   くやしいなあ

線を切らなかったあの日
              僕の点は離れて見つめていたんだ。 おかげで自分の ....
 指先に透き通って
 春の朱の血潮が浮かびあがる
 女は白雪の様な顔を両手で隠し
 泣いていた

 あれ荒んだ心のあなたは
 客の少ないバーで何故か気さくに語る
 笑顔の背後に宿る夜更け ....
黙祷があなたを訪ねて来た
笑う門に来る福もあるのに
豆腐の角に頭をぶつけて
わたしの父は
大人しく一生を終えた

あなたは黙祷と
何かしゃべりながら
優しい手つきで
機器の類 ....
ミント色の空を燃料にした機関車は一滴の踝を遮断する
 ぬいぐるみの雲の灯りを誘うミルクで
 柔らかな木々の卵を感じる振りをして
 ナイーブな東京タワーが羽を広げる
それはすなわち、木製の炎を
 ....
夜の舟
櫂はいらない
ゆられているのは
こころのありか

星くずは
あかるく燃えながら
一瞬で消えてしまった
とても遠い闇が
触れるほど近くに落ちてくる

ここは宇宙の湊
願い ....
詩によって花瓶は儀式となる。
(キム・スタンリー・ロビンスン『荒れた岸辺』下・第三部・18、大西 憲訳)

優れた比喩は比喩であることをやめ、
(シオドア・スタージョン『きみの血を』山本 ....
鉢植えの
 ポインセチアに
  夢を見る
 物憂い日々に
   色褪せつつも



年の暮れ
 街に溢れる
  煌めきは
 路地裏の陰の
   迷い子に届かず



不 ....
さっき心に浮かんだ言葉は
すぐに消滅してしまった
書き留められなかったその言葉は
次はいつ出現するだろう
そんなことは無数にあって
捕まえられなかった言葉が
ひらひらと不規則に飛んで
こ ....
波音を聞いて、
(ヘンリー・ミラー『暗い春』夜の世界へ・・・・・・、吉田健一訳)


足下を振り返った。
(マーク・ヘルプリン『シュロイダーシュピッツェ』斎藤英治訳)


僕が見たもの ....
 中空にほうった
 ボールが手元に戻ってくるように
 一日が 終わった

 熟れた光が実をつけては
 落ちていくのを
 潰れるのを

 目で 追っていた
 銀の線を引いていく飛行 ....
さみしいところに行きたかった
人がいなくて猫も犬もいなくて
できれば虫も飛んでこない
ああ12月だから虫はもうあんまりいないね

山の中の木陰に人影はないけど
命の匂いがみっちりするし
 ....
雨上がりの水槽が
好きだった
誰も手を挙げなくても
ありがとう、と
目をつぶった皆に
微笑んだ先生
一番後ろで薄目の
わたしだけがほんの少し
共犯でいられた
水槽を出ていった ....
 飛べないから、

 夢を託すことにしたよ。

 ホップ、ステップ、ホープ。

 青い空、

 青い空、

 羽ばたけ、私。
おまえの幸福はここにあるのだろうか、
(リルケ『レース』Ⅰ、高安国世訳)

単純な答えなどない。
(アルフレッド・ベスター『虎よ、虎よ!』第二部・14、中田耕治訳)

人間はいったい何を確 ....
 足許濡らす時雨の冷たさ
 夕刻に立ち寄るスーパーで
 野菜売り場の陳列棚から
 外れた隅へ歩み寄る

 (やあ、おかえりなさい!)
 わたしに呼びかけて来る
 焼き芋機
 鼻先へ ....
手足も鋭い口の一部だった、
小さな鯵はたちまち餌食となった
隠されたふたつの針が捕食者の自由を奪う
烏賊は、見知らぬ力に捕らえられた

月のない夜だから、
磯は辺り一面墨を溢したような暗闇 ....
ベージュのカーテンで仕切られた三畳ほどの病室は
ゆったりと温かく眠りを{ルビ誘=いざな}う
母の胎内に浮かぶように

睡魔に襲われ入眠時間を間違えた
10時に薬を飲むはずが8時40分だったの ....
光の風に乗り
青みのみちゆく
この街角にて

すこしずつ時の過ぎゆき
みちみちた青みの吐息し

蒼白の波のうねり
重ねに重ねられ
この街角から

逃れゆく光の風の貝殻の
波打ち ....
ryinxさんのおすすめリスト(1270)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
虚無の庭で- 塔野夏子自由詩8*24-12-29
なつかしさ- 大町綾音自由詩11*24-12-28
みんな、きみのことが好きだった。- 田中宏輔自由詩14*24-12-27
Chocolate- 鳥星自由詩1024-12-27
孤独よ照らせ- みぎめ  ...自由詩524-12-27
すなはまで骨をひろう- そらの珊 ...自由詩16*24-12-27
「まあだだよ」- 大町綾音散文(批評 ...3*24-12-26
- mizunomadoka自由詩224-12-26
風の形- たもつ自由詩624-12-26
高野川- 田中宏輔自由詩21*24-12-24
風吹いて- 自由詩924-12-23
夏の思い出。- 田中宏輔自由詩18+*24-12-22
谷川氏に問うてみる- アラガイ ...自由詩10*24-12-21
雪女- リリー自由詩5*24-12-19
黙祷- たもつ自由詩224-12-19
♪とびきり甘い苺の魔法♪- 鳥星自由詩4*24-12-16
流星- そらの珊 ...自由詩14*24-12-15
THE_GATES_OF_DELIRIUM。- 田中宏輔自由詩14*24-12-15
12月- ヒロセマ ...短歌6*24-12-14
言葉- 自由詩12*24-12-14
Corpus_/_Grain_Side_Version。- 田中宏輔自由詩16*24-12-14
軌跡(2024.11.10)- 草野春心自由詩5*24-12-14
冬ざれ探し【きょうのソネット】- 佐々宝砂自由詩524-12-13
雨上がり- たもつ自由詩424-12-12
ホップ、ステップ、ホープ。- おやすみ自由詩424-12-11
THE_GATES_OF_DELIRIUM。- 田中宏輔自由詩12*24-12-11
焼きいも- リリー自由詩12*24-12-11
烏賊- atsuchan69自由詩11*24-12-11
【病棟日誌】_蚕室- レタス自由詩6*24-12-9
顕零鏡- ひだかた ...自由詩624-12-9

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