午前四時
遊泳をやめない夜
銀色に溶けて
静かに生きた
連続する人の群れに
並んで
あなたを探している
あなたという名の人は
存在しないけれど
忘却の跡地に
染 ....
アルコホル
眠くなる後悔する
の
夜のすきまには
都電はすべて ばらけている
傘の先つたう水を
すとんと間抜けた放送を
泥に似て垂れる人を窓につぶつける雨を
ゆられてふらめく光 ....
始点
まだ、精製されない月が、なめされてゆく朝、
わたしの瞳は、真っ白なままの夏の果実だ。
ながめるままに、わたしのからだは、白く締まり、
背中には、灰のまじった、蓑毛が生える。
も ....
最後の頁は
白
いくつもの空を渡って
うたが
君の心へ届いたなら
いくつもの虹を越えて
ことばが
君の心へ入り込んだのなら
....
振り向くと沖に知らない人ばかりになってこわい
貝の表面についてる回虫みたいな模様がこわい
高波が何でも持っていこうとするからこわい
クラゲが知らないうちに沢山わいてこわい
あが ....
[1]
その森園にさえずるのは、鳥ではない。この降り続く雨が、パラホロロパラホロロとポリフォニックなリズムを刻んで増幅して、ぼくらはいつのまにか、見えない明日へ見栄を張るため消えている。水滴をのぞき ....
どこから。
ひやりとしている土の上で生きている梢の揺れる(揺れる)末端に刺さる光、が
わたしの温い肌に染む ....
二十数年前
大量の醤油を飲んで自らの命を絶った科学者がいる
それが私の父だ
いったいどれくらいの醤油を飲んだのか
警官が説明しようとすると
母はそれを遮り
私の手を引いて長い廊下を歩き ....
コップの縁にとまったガラス細工の鳥が
思い出したように身体を傾けて
水を飲む様を演じる
赤い液体が体内を巡る
海のようだ
わたしの中に溜まった水が
満ち引きをくり返しながら
すこ ....
みどり児は
あけの河に流されて
流れ着くのは石の岸
そこをみずからぬけ
葦の原へおちつく
すでに住まう
年よりの蛇とあそぶ
おどりあそばせ
つゆふる夜半には
犬三匹をおま ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43