夏の陰の濃さが地面に染み付いて
光だけ眩しくて行方を暗ます
目の瞬きの速度が
飛蚊を同定し
影を居ないものとする
私、生きている
こうやって生活して物を食べて
掃除してみたらし団子食べて ....
ある日、あなたの背中に
窓があるのを見つけた
開けてみると
普通に外の景色があった
眩しければ鳥になるといいよ
とあなたが言うので
わたしは鳥になって
空へと飛びたつしかなかった ....
かろやかに私の肌を包み込む羽毛よ
....
だれのものでもない両手で
だれかを傷つける
呼び鈴がおれの耳に
爆発している
やり過ごすことのできない咎に身をふるわせて
やはりだれも
おれを諒解しないというところで
....
無い差。1は、小さいな。
ないさ いちは ちいさいな
この1は、8位の子。
このいちは はちいのこ
記事。薄い数式。
きじ うすいすうしき
6の5倍。多い箱の黒。
....
昼に、近くのイオン・モールで
いつも使っているボールペンを買おうと思って
売り場に行ったら、1本もなかった。
MITSUBISHI UM-151 黒のゲルインク
ぼくの大好きなボールペ ....
詩らしきものを書こうとするとつい指先が躓いてしまう
あたまのなかで指先を動かせばそうじゃないよと笑ってしまうものもある
誰かの詩らしき言葉の綴りを読んでは逆立ちのふりをしている自分がいる
....
冨の神を崇める教義では、
あなたの身体と魂は誰よりも清く
その清い身体のために、
毎朝オレンジジュースを飲む
また、あなたの美貌のために
幼い夢を祭壇で屠り、鮮血を啜る
既に世界は ....
これは季節感のない冷蔵庫
一定の地位を占めるドライフルーツは罪なのであります
森の中で目覚めたまま立ちつくす僕のハムストリング
....
きみとふたり
丘のうえ
夕景色
山なみの果て
我は彼方を
さし示し
きみは頬笑み
頷いた
{ルビ蘇芳=すおう}の衣は
{ルビ飄々=ひょうひょう}と
明日を求めて
彷徨 ....
背中押してもらって
もっと もっと、スニーカーのつま先が
お空に近くなる
ブランコ
いつからだろう?
ブランコ漕いで
軽い眩暈の様な気分の悪さを
感じてしまうよう ....
コリコリの農家の子として生まれたカタコランは、
九才の時に神の声を耳にし、全知全能の神カタコリの
前ではみな平等であると説いた。布教は、カタコラン
の生誕地コリコリではじめられ、農家で働く ....
擬態
わずかに残された木々のふゆの葉を北風がこきざみにゆらすとき
それは小鳥のはばたきになる
家出
街角のメリーゴーランドは天使をのせてくるくるまわる
色とりどりに着飾った馬 ....
はかり知れない
暗黒の 宙に
君は浮かび
その彼方から
確かにとどく君の
燦めく 言霊
それは時に
のんびり夢みる浪の音
それは時に
欣び甘える涼 ....
ふと何の関連もなく
二度と関わらないはずの
あの人を思い出すことがある
忘れたい人を
思い出すことが嫌だったけど
その人がその時に自分を
思い出しているからだと
思うことにした
....
夜が来て
刺すような凍をそそぐ星
神秘めく 真冬のそらを征服する
ビルの柱の蔭で
一本の竜巻のように巻き上る
子供の愛が
大空を圧し馳ける
懐かしい愛の歌をハミン ....
鞄の中には
ひと握りの青空と
昨日捕まえた飛行機
微かなその羽音
生きていく毎日の走り書きは
遺言のように積み上がって
夏、という言葉だけが
いつまでも
うまく書けなかった
....
自分のこころを
見失う時もある
そういう時は
自然に任せます
私という宇宙の一部を
・
今日は
元気が
出ない
こういう日もあるさと
こころの日なたぼこをする
冬の明け方は
町のいたるところに魚の群れが現れる
もっともよく見かけるのはニンゲン魚で
その横をついてまわるイヌ魚
校舎をよこぎるネコ魚やセキレイ魚がいれば
そのまま森へと消えるカモシカ ....
闇に沈んだ森に
すみきって硬質な音がひびいている
呼び出しのベル
からすの巣にかかげられた黒電話
ひなはとうに巣だっていって
せつな、
忘れていった羽毛がおどる
とても軽いから
命 ....
散りおちて
生垣の茂みに燃ゆる 花びらは、
貴方への想いを馳せてピンク色
今日歩む 暗き小径の
竹灯篭
君は何色なのかぼくは知らない
けれど 君の言霊が心地よくて
逢えるのが楽しみだ
ぼくはその優しさを抱きしめて生きている
西の空を眺めては
日々の約束を頼りに
君の名を呼んでいる ....
どこか かげかたちは
ケダモノのハアトだけを食べ残し
{ルビThe Pools=ラス・ポサス}の庭園を千鳥は征くのだわ
夜が終わる前に 像を結んでいく
熱に浮なされて {ルビ宙=そら}と{ ....
冬靄に
鳴き交わす水鳥の群れ
細い車道のヘッドライトを
吸いこむ ささめ雨
大通りの交叉点
如月の靄 薄れ
東へ連なる街燈のむこう
仄かなサーモンピンクの低い雲
....
ぼくの言葉は少し狂っていて
何時も周りをひらひら飛んでいる
何を押し付けられてもなんのその
みんなそれぞれ自由な言葉で
明日を夢みているのだから
猫も杓子も
上から下に水が流れるのに問いも答えもない
食べて、排泄し、寝て、育ち、全うする
何処に産まれようが
何処で死のうが
自他画像
まず、目の前に別の顔が合って
....
雨の初日
都会にも雨が降った
たくさんのものが濡れて
雨音の音や
雨水の水が
ふとした街路の様子を
美しく満たしていく
人混みの中で感じる
植物の吐息
どうしても
辿り着け ....
銀杏並木
沈黙のたしかさ
煙草に火を着ける
マフラーをほどく
散らばる陽色の実
街に集散する鳥たち
風は午後を吹き抜け
永遠
く ....
グラスを傾けながら
あの頃を想う
何も持っていなくて
三本立てのリバイバル映画を観ては
涙ぐみ
午前零時閉店のクラッシック喫茶が終わるまで
バッハとチャイコフスキーをリクエスト ....
人生は言葉さがしの旅であるという人がいる
僕が救われた言葉は
仏教の「四苦」という言葉だ
「生老病死」の四つの苦しみは
誰でも避けられない苦しみであるということだ
僕はこの「誰でも」というと ....
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