飛べないから、

 夢を託すことにしたよ。

 ホップ、ステップ、ホープ。

 青い空、

 青い空、

 羽ばたけ、私。
おまえの幸福はここにあるのだろうか、
(リルケ『レース』Ⅰ、高安国世訳)

単純な答えなどない。
(アルフレッド・ベスター『虎よ、虎よ!』第二部・14、中田耕治訳)

人間はいったい何を確 ....
 足許濡らす時雨の冷たさ
 夕刻に立ち寄るスーパーで
 野菜売り場の陳列棚から
 外れた隅へ歩み寄る

 (やあ、おかえりなさい!)
 わたしに呼びかけて来る
 焼き芋機
 鼻先へ ....
手足も鋭い口の一部だった、
小さな鯵はたちまち餌食となった
隠されたふたつの針が捕食者の自由を奪う
烏賊は、見知らぬ力に捕らえられた

月のない夜だから、
磯は辺り一面墨を溢したような暗闇 ....
ベージュのカーテンで仕切られた三畳ほどの病室は
ゆったりと温かく眠りを{ルビ誘=いざな}う
母の胎内に浮かぶように

睡魔に襲われ入眠時間を間違えた
10時に薬を飲むはずが8時40分だったの ....
光の風に乗り
青みのみちゆく
この街角にて

すこしずつ時の過ぎゆき
みちみちた青みの吐息し

蒼白の波のうねり
重ねに重ねられ
この街角から

逃れゆく光の風の貝殻の
波打ち ....
 
 昨日届いた喪中葉書
 十二月が、いそぐ街道で
 歩むわたしの跡に光っている
 薄いオリエンタルブルーの粘液

 これは体のタンパク質と
 多糖分と大量の水分
 角が右も左も交互に ....
  

ずいぶん遠くの方で
誰かを思うのが好き


バーゲンプライスのある本屋で
ポエトリー&ハーツ
と書かれたペーパーブックに目をやりながら
これは これは
ずいぶん遠くの誰かが ....
あなたが転んだ
わたしは転ばなかった
並んで歩いていて
あなただけが転んだ
大きな怪我もなく
桜の花びらが落ちた

どうでもよいことばかり
ふと思い出す時がある
大切なことは ....
白いテーブルに散らばった、
古い痛みと哀しみが
碧色のガラスの欠片とともにある
陽の当たる部屋から外を覗く

破れた写真をページに挿んで
永く閉じている本の背表紙に触れる
想い出は、夢の ....
朝の迫る 小屋の中で
瞼のない鶏が 夢を見ている

句点の間に
翔び 落ちて
読点の染みになる

それは
憧れ 贖い
取るに足らない
それでいて
代えのきかない
祈り

 ....
 世界は、ただ一枚の絵だけ残して滅んだという。いったい、だれの描いた、どの絵として残ったのであろうか? あるいは、世界自身が、世界というもの、それ自体が、ただ一枚の絵になってしまったとでもいうので .... 毎年この日の夜には
上原君の星が話しかけてくるはずなのに
今年は何も聞こえてこなくて

見上げても
光が揺れることもなく

なあ、もう忘れちゃうよ


小さく嘘をついてみ ....
空の青がとても悲しくて
黄色い銀杏の葉が飛ぶ時を待っている
中庭に降り注ぐ陽射しは眩しくて
{ルビ眼=まなこ}を閉じて五体を開き暖をとる
ときおり吹く風は透明な北の便りを運んできた

午後 ....
 何も言わない
 読点のような皿を洗う
 燃え終えた数本のマッチに
 年々似てくる
 僕の記憶

 日をうけて
 影になっていく 木
 振動する沈黙 かなしすぎるほどに
 決して ....
そろそろと人間が影絵になる頃
通い路の柳がそのうでを
わたしのほうへ
やさしくのばす
はらっても
はらっても
しなやかなそのうでは
あきらめることがない
からめとられたら
わたしも
 ....
「家へ帰ろう」星空を見ながら、つぶやいた仕事場からの帰り道。深呼吸ひとつ。「久しぶりだな、こんなによく見えるのは」とまたつぶやいて、半分酔ったままで、大崎で見た星を見ていた。朝になれば、またいつも .... 昨日、みぞれ交じりの雨が終日降り続き、積った湿雪はさらに重く
あたりを一面の白さに塗しつけている

どこからともなく、なけなしの高揚した気持ちが芽吹いてしまい
はずかしいくらいの言葉を書きなぐ ....
去年よりはだいぶましな10月と11月を過ごしたと思う。
たくさん捨てたし、いろいろなものをたべた。ベランダに出していた観葉植物を部屋のなかにいれてやると、とたんに空気がしめっぽくなる。

色 ....
 冴ゆる風にこぼれて舞う
 レモン色した木の葉のひと翳り
 そういうもので
 詩を書きたいとおもう

 心に満ちる平穏な日常は、
 わたしの気付きもしない情景のなかで
 なにものとも く ....
 赤い葉が 二、三枚
 枝に残っている

 ここに
 光が建っている
 秋 水辺にいるみたいに
 薄く 目を開けて
 飛沫を 頬に浴びて
  

陽だまりの停留所に
車椅子の老人


声かけようか
たとえば
今日もお陽さん輝いていますね
でもすぐそこには冬将軍で
そのブランケットは暖かそうですね
サングラスがずれて ....
 そこに行けば、また詩人に会えるだろう。そう思って、葵公園に向かった。魂にとって真実なものは、滅びることがない。葵公園は、賀茂川と高野川が合流して鴨川になるところに、その河原の河川敷から幅の狭い細長い .... 心のなかに
空っぽの部屋がある
空っぽにしてある
なにかなくしたわけではなくて

空っぽの部屋は空っぽだから
タンスもない本棚もない
ラグも敷いてないし椅子もない
ポスターもカレンダー ....
草々は刈られ
広々とした川辺に
一本足のたんぽぽだけが刈られずに
ぽつんと取り残されていた

小春日和はきまぐれに
命の鍵をもゆるませる
死ぬのだったらこんな日がいいなと
薄い皮膚のま ....
間違って、鳥の巣のなかで目を覚ますこともあった。間違って? あなたが間違うことはない。Ghost、あなたは間違わない。転位につぐ転位。さまざまな時間と場所と出来事のあいだを。結合につぐ結合。さまざ .... 赤トンボ、
ほとんど木枯らしにひとしい、
寒さでアスファルトに不時着した、
晩秋の、
ちいさなヒコーキ、
それでも在りつづける、
そのままの、かたち、
やがて、その透明な羽が、
きわめ ....
 閉じたビニール傘から飛び散る
 雨滴
 会社の広大な敷地内を車と自転車が往来する
 東の正門で守衛室に社員証を提示しても
 配属先の建屋へは延々と
 アーケードの歩道を歩き続ける
 
 ....
さくばんの眠りの残り滓
吐ききって 吐ききって 吐ききって
今朝はつとめて寒いなぁ
凝集した感性を冷やします


僕は真白い一頁
一体ここに何を書こうか


この朝は妻と和 ....
下に在るものは上にも在るように
上に在るものは下にも在るように

哀しみの雨は今日も降り続け
貴女との電話は繋がらず
今日もまた哀しみの静かさに

死んだ後に在るものは生まれる前にも在る ....
ryinxさんのおすすめリスト(1375)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ホップ、ステップ、ホープ。- おやすみ自由詩224-12-11
THE_GATES_OF_DELIRIUM。- 田中宏輔自由詩11*24-12-11
焼きいも- リリー自由詩10*24-12-11
烏賊- atsuchan69自由詩11*24-12-11
【病棟日誌】_蚕室- レタス自由詩5*24-12-9
顕零鏡- ひだかた ...自由詩524-12-9
街角のかたつむり- リリー自由詩10*24-12-7
草待ち- AB(な ...自由詩524-12-5
後日談- たもつ自由詩4*24-12-5
碧の欠片- atsuchan69自由詩18*24-12-4
鶏小屋- はるな自由詩524-12-4
THE_GATES_OF_DELIRIUM。- 田中宏輔自由詩14*24-12-4
声待ち- AB(な ...自由詩324-12-3
【病棟日誌】_冬のはじまり- レタス自由詩10*24-12-2
何も言わない(2024.11.03)- 草野春心自由詩424-12-2
かよいじ- そらの珊 ...自由詩13*24-12-1
星待ち- AB(な ...自由詩624-12-1
雨も止んで- 山人自由詩11*24-12-1
メモ- はるな散文(批評 ...324-11-29
プロフィール- リリー自由詩9*24-11-29
プールサイド(2024.11.24)- 草野春心自由詩4*24-11-28
バス待ち- AB(な ...自由詩724-11-28
THE_GATES_OF_DELIRIUM。- 田中宏輔自由詩14*24-11-27
空っぽの部屋【きょうのソネット】- 佐々宝砂自由詩1024-11-25
川辺の物語- そらの珊 ...自由詩12*24-11-22
THE_GATES_OF_DELIRIUM。- 田中宏輔自由詩16*24-11-20
立冬トンボ- 本田憲嵩自由詩724-11-16
赦されて__- リリー自由詩10*24-11-9
空白- 田中教平 ...自由詩724-11-9
反復の強度- ひだかた ...自由詩4*24-11-8

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