循環する人
葉leaf




僕の言葉があなたの中を巡り
あなたの中で咀嚼されたその言葉が
今度はあなたの言葉として
僕の中を巡り僕はそれを咀嚼する
僕とあなたは厳密な距離を保ち
互いに向かい合いながら
堅固で不動の鉄の輪に貫かれている
僕の思想や感情はあなたの中を巡り
あなたの思想や感情も僕の中を巡る
僕とあなたを貫く鉄の輪は
とても清潔で愛憎の汚れのない
あかるい敬意で規律されている
僕とあなたを循環する
宇宙の全ての色彩に疲労して
いつか鉄の輪は崩れてしまうかもしれない
そのとき僕はあなたを失い
同時に再びあなたを獲得するだろう
今度は僕とあなたの間に
伸縮し脈動する
宇宙の筋肉のようなものが差し挟まるかもしれない
循環の経路が乱れても
僕とあなたを規律するのは
あかるい敬意とあかるい相互理解だ
僕とあなたはいつでもさよならしている
そして同時にいつでも再会している
互いの距離は互いを深く理解するための
冷徹な意識が必要とする不可欠のものだった
愛していないし憎んでもいない
ただ隣り合うことでいくらでも樹は生えていく
だからあなたよ今日もさようなら


自由詩 循環する人 Copyright 葉leaf 2014-12-30 05:44:46
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