田舎道 そのまた裏は 蓮華草

雲雀飛ぶ フロントガラス 残る雲

菜の花に 凍えた朝の 土の音

嫁入りに 虹がそよいだ 春一番
逃げ水にレールが沈んでいく
暑い海中のなかにベンチも沈む
電光の文字はせわしなく流れ
けだるく泳ぐ人達もホームに沈んでいく

秋のベンチで
夏の夢を見る

空を見て
深海を飲む
季節はずれの黄砂が洗い流され
透き通る朝日に葉が染まる
山鳥の声はいつもより近く
塵の無い空はすくむほど高く
水溜りの空に足をとられる
風の色は赤に黄に
風の形は髪に葉に
とりたてて熱心なほうでもない
とりたてて冷心になれるわけでもない
かといって常心というにはほど遠い
この液晶の向こうの液晶テレビからの
そのまた向こうからの賑やかな世界の車窓から
綺麗な曲と ....
春一番 片目帽子に 花の雪

捲くる袖 駆ける足先 跳ねる春

うたた寝の 宴の桜間 浮世月
いつだってどこか抜けている
春がもう鼻先にでもきてくれないと
その存在をいついつまでも忘れたままだ
それだから僕の冬は長いんだ
嫌いではない
だけどいつだって飽きている
なのに思い出せない ....
一筆書きの波間に漂うとき
いつも考えることがあるのよ
ここから見える灯台に夜の帳が落ちる頃
張り詰めた体に砂利道が引っかかる
衣擦れや骨の音
騒がしい星の歌
あの窓辺のヴァイオリンは
あ ....
夏の縁を走る車窓のスライド
途切れ途切れの堤防の上
影を無くした雲たちが
空に溶け切れず沈殿する
銀色に眩しい床に脚を伸ばせば
車音の波にすくわれて
すぐに溺れてしまうだろう
もたれ掛か ....
熱い靴底がどしゃぶりに冷やされて
フェンスを乗り越えた風が髪を濡らす
前線が停滞していますと
携帯ラジオが伝えるけどれど
停滞の下の僕の街は
なんて騒がしい夕暮れだろう
横向きに傘を差す人 ....
明るい朝の空を
塊ごとに雨雲が飛んでいく
傾いた雨粒が頬を叩き
差すまでもない傘は
左手の中で踊っている
明るい朝だ
明るい雨だ
叩かれた頬は目を覚まし
スカートを風に押し付け走り ....
夜も凍る時刻に枕木を鳴らす
粗末にされたペットボトルのお茶が
くるくるとうたたねを誘う
大きな月のせいで紫に染まった雲に
まつげがうっすらと被さっていく
あの日の夢が瞼を叩く ....
凍り付いた足と地面が響き合う
波紋は池の鴨を羽ばたかせ
ガードレールを伝い
荒いコンクリの山道を駆け上がり
鉄塔の先で空に弾ける
それを受けて
山の木々はわさわさと
なけなしの葉を降らせ ....
目を瞑ったまま
海岸沿いを歩くと
波の音がうっすらと見えてきて
晴れ間の暁光が
空を掠めていくのが聞こえた
パラパラとレインブーツから
音を弾いて雨が聞こえる
閉じた傘と案山 ....
最上階をつなぐ
青空に囲まれた渡り廊下の牢獄で
海は光の園として佇んでいた
飛び降りた花壇は足の骨を突き刺し
逃げ出した屋上では太陽に押しつぶされた
校庭にはもう誰も見えなくて
校門をでて ....
雨上がりの鎖がゆらいでる
虹は公園に突き刺さり
今は残された赤が僕を染めている
踏切が何回鳴っても
影が3倍に伸びても
それでも鎖は揺れて、震えを続け
絡まる水滴は錆色に指を染める
囓る ....
鉄塔が濡れています
月の飴玉のせいでしょうか
秋の星の下
スニーカーで
シャリシャリと恋石を
磨りつぶしながら歩みを続けます
続けることしかできません
夕色に光る黒髪が
踵を返して夕凪 ....
擦り切れて朽ちた紐がぶらぶらと
ほこりまみれの靴について行く
私と違って
携帯の電池だけは常にみなぎっています
3.2.1.圏外.になりました
GPSはまだ捉えてくれています
今日は青い空 ....
早朝
台風の影響か
東の雲はとても分厚く暗く
灰色の上空に視線を回すと
西の空にすみやかな光源が
薄雲を満たしていた
それは
まだ記憶に新しい
昨日の光景を再現していた
坂の上のミラ ....
トクトクと流動性を失うことなく
橙色の結晶が僕の掌に注がれ溢れ
眼下の成層圏プラットフォームである飛行船が
久しく忘れていた雨になり
天を貫通します
雨はやはり結晶のままで
気ままに熱層ま ....
日が暮れた
台風は過ぎて
雲はまばらで
今日最後の青色が
西の空に透き通っていた
その時
始めて僕は
空を実感した
多分
僕の眼の濁りと
どこまでも続く青の深度が
一番星 ....
どきどきするほど魅力的だな
と思うと
それは大抵架空の人だ
劇中とも言う
原稿用紙や
ワードの上に
認(したた)められて
書籍に引っ越し
そこに訪れて読みだすと
私の調子で会話が始ま ....
今日も気づいてしまいました。自分が自覚する限りでも何十回目のことではありますが、
自分があまりにも未熟だということを。典型的な「俺はやればできるんだぜ」と
言葉に出すことは無くても、心のどこか、い ....
自動車の代わりに馬車が行き交い
アスファルトは荒い石畳で
街灯すらおぼろげな昔話の世界
その時代よりもずっと前から
取引は在り続けた
天秤にかけられるのは
いつも人の物だ
人の物とい ....
星になろうか
蛍になろうか

骨壺と帰郷してきた
あぜ道の先に鉄塔の里山
夏は盛りで
田は青くそよぐ
懐かしいともいえないぐらい
生家はそのままで
特に変わらない父が
特に変わらな ....
雨雲の隙間から
空がこぼれ落ちてくる
だくだくと海に注がれ
灰の海に青が生まれた
レインコートの黄
レインブーツの赤
くしゃくしゃの日傘に
さんさんと陽色のシャワー
石組みの赤茶の ....
灯台がそこにいる
セメントのヒビの隙間
そのはるか上空に
灯台は浮かんでいる
岬や小島にはいない
海原に浮かぶものでもない
港に取り残され
風に舞い上げられ
影絵の子供が
灯を目指し ....
あは
きょうもよってしまつた
かくも
はなはだしくも
わすれたいことがあるならば
そう
わすれてしまえばいいのに
このあるこーるといっしょに
いのなか
だいちょうをとおして
 ....
野ばらが咲いてる歌の中に
彼の命が咲いています
楽譜が詠まれ盤に刻まれ
蓄積された音の種は
心象の故郷に開花します
花の種子は光子になり
銀の花壇で輪を重ねる
幼子が周りを回 ....
紡いだ網を空に投げる
残月と夕雲の一部が
網と一緒に降ってくる
ほのかな緋色の輝きが
頬と月を染めている
もたつきながら網を払うと
のろのろと月と雲は帰っていく
そしてまた網を投 ....
ゴムボールにカラーバット
足りないベースを土に描く
守備も足りない相手も同じ
セカンド抜ければホームラン
無駄に走って疲れ果て
四球は損損フルスイング
ボール無くして日が暮れて
泥に ....
ススメ(75)
タイトル カテゴリ Point 日付
春先俳句011/3/30 20:31
深界自由詩110/11/27 22:34
雨上がりの秋自由詩110/11/26 21:51
しにまよう自由詩010/11/13 21:05
春間俳句110/4/8 22:57
春の冬自由詩110/3/4 13:14
ヴァイオリン自由詩009/10/12 18:37
夏の縁自由詩109/9/14 14:45
紅い入道雲の下で自由詩109/6/15 20:25
明るい朝の雨の上自由詩309/4/27 19:03
小さな瞳は東に流れる自由詩008/12/26 23:31
きっとあなたに届くでしょう自由詩108/12/24 22:25
小雨が頬を打つたびに自由詩008/11/27 21:08
青空に囲まれた渡り廊下の牢獄で自由詩008/10/30 23:10
雨後と彼女の物語自由詩008/10/28 21:45
新しいスニーカーを自由詩008/10/17 23:07
こんな最後はいやです自由詩008/10/11 14:22
夕の坂道の朝自由詩408/10/2 22:38
あなたの耳に還ります自由詩008/9/28 21:32
透き通る空の青自由詩408/9/19 22:33
架空の人自由詩008/9/11 19:19
今日も気づいてしまいました自由詩108/9/4 23:19
ピュア・トレード自由詩208/9/2 21:48
ロマネタリウム自由詩908/8/30 14:56
水張月の雨の日自由詩108/5/29 22:43
浮かぶ灯台自由詩108/1/26 19:59
めいてい自由詩208/1/8 21:03
現代における花の咲き方自由詩107/11/16 19:47
緋色の夜空自由詩307/11/9 23:06
甲子園は待っています自由詩307/7/6 0:37

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