小さな瞳は東に流れる
ススメ





夜も凍る時刻に枕木を鳴らす
粗末にされたペットボトルのお茶が
くるくるとうたたねを誘う
大きな月のせいで紫に染まった雲に
まつげがうっすらと被さっていく
あの日の夢が瞼を叩く
坂道を漕いでいた
二人で並びながら
私は電池式のライトで
もう一人はダイナモの発電ライト
ハンデはあってもやはり
もう一人のほうが早かった
街の上地平線に浮かぶ月は
私の瞳のように小さく
横たわった東のオリオンを背に
堂々とある宣言をした

夢はそこまでしか覚えないようにしている
いつしか日付は変わり
今日の夢に瞼を開く
大きな月は西に流されていた
お茶は飲み干され
進行方向の紫雲を追うと
小さな瞳は東に流れる


自由詩 小さな瞳は東に流れる Copyright ススメ 2008-12-26 23:31:46
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