我が{ルビ詩=うた}よ君に届くや二つ星
澪標きみに記す夜の灯台
きみ知るや藤袴咲く泪河
春雨に君と微睡むジムノペディ
我ときみ夢のきせきを{ルビ熾=し}る晩夏
....
しゃりりと固い梨ときみ甘く食む
釣れないメザシ猫の本能動く
初恋の味はチューインガムミント
枯葉が駆けてゐるだけの炎天
夏に取り残されてゐる擂り鉢の中
まめな母の日記帳残される
包丁で8ビートを刻む瓜
包丁でラップバトル飴切りに汗
錆びた包丁でトマトはヘヴィメタ
レゲエな午後にレタスを千切る
ユーロビートなトーストにアボガド
日々の一
絨毯に鍬形虫の脚ひとつ
待ち人や蝿打ひとつ納屋の底
冷房をかき分けて寝る三歳児
子午線をくぐれ蚊遣火黙々と
汗拭きてすわ首筋の揚羽蝶
水の二 ....
夕立雷鳴轟きて洗え!
醜さを怒るか天よ枯れた夏
叫べ!夕立。過剰な欲に
夕立やドラムビート打ち鳴らせ!
人生に似たる夕立畏れず貫く
人生を上書きすること歩くこと
足の歩幅に鍵の鈴鳴る
秋だ秋だと言い聞かせながら歩く
神戸までハイウェイ一路秋初め
陰暦の気配覚えぬ秋の季語
我が庭にひとつだになき草の花
{ルビ故郷=ふるさと}の山にも秋の来たるらし
読み人知らずに心宿る詩(うた)
猛暑日と云えども吹き抜ける風に微かな秋の冷
同じ木になる二つの実仲良く腐ってをり
この袋離れてどこかへ行きたし、こう暑いと
格好の良い松の木青空に映えている、空き家の
通帳の印 ....
猛る蝉このあと夏の虚ろ哉
違う星では無かろうか、この灼熱の星
一時のカードゲームにしてはあまりに長い
お掃除ロボにびくびくしながら買物す
送り火を灯す背中に旅ガラス
神戸までハイウェイ一路夏の旅
どこだろう夏の高速ドライブウェイ
三日目の神戸の家や冷房裡
玄関の外一歩なる熱射かな
線香の匂い路満ちて盆の夕
三粒ほど熟れてあじはふ青葡萄
初めての完熟いちじく急ぎ買ふ
フル装備して青柿を消毒す
どの友も傷み抱ふや盆の月
ラジオからの平和宣言蝉と聞き入る
炎昼や果樹に地下水噴射せり
足音でギャーと{ルビ喚=わめ}くや朝の蝉
屋根裏にスズメバチの巣作りけり(季語春)
大手術せし友持ち来ぬうなぎ飯
蟻の行進またゐで歩く炎天
木に成りながら腐る実の形相
空中でキャッチ出来たかバッタを雀
今日も今日とてアラートな一日始まる
蔓草の{ルビ畑=はた}の花木を絞めに絞め
夏受診診察までの四時間待ち
塀越しの貸家に白き{ルビ百日紅=さるすべり}
西瓜に塩かけるなといふ眼鏡女医
地球が剥き出しの本能を見せてくるから人間も剥き出しの本能になる
おかあさん生きているから暑いです
根っこの無い言葉信じて砂漠広がる
悲しみの薄れし朝にヒヤシンス
子と行きし回転寿司や夏祭り
夏祭り検査の予約入りにけり
夏祭り消息絶ゆる{ルビ女=ひと}想ふ
夏受診余談の混ざるゆとりかな
子の帰るまで採らず置くトマトかな
もぎ来たる真赤なトマト喜ぶ子
食卓の寸時の談笑戻り梅雨
夏{ルビ夕餉=ゆうげ}回転ずしの鮮魚かな
{ルビ外国=とつくに}へ戻りゆく子や蝉しぐれ ....
苦しみが露と消えぬる涅槃かな
愛ゆえに生きる我らに山は笑む
悲しみの霧雨はただ降りにけり
「旅」にはたった一つしかない。
自分自身の中へ行くこと。
── ライナー・マリア・リルケ
宇宙人地球で蟬になってます 👽
手のひらの生命線 ....
夏空を仰ぐやけふも降らるるか
樹々{ルビ並=な}べて{ルビ草臥=くたび}れてゐし夏の庭
ニアミスの姉と妹の夏帰省
光線の具合よき朝ジニア撮る
にわか雨竿に干したるままにして
{ルビ花=はな}の{ルビ輪郭=りんかく}は
{ルビ鋼鉄=こうてつ}のようでなければならぬ
....
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【俳句】季語を含む17音律「5.7.5」の俳句と、その形式を崩した自由律俳句、無季俳句などの俳句作品のみ受け付けます。俳句批評は散文のカテゴリへ。
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