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朝は晴れ晴れと
色とりどりの花の中歩く
季節六月、紫陽花の花

朝は晴れ晴れと
君を見て花の中を歩く
季節六月、紫陽花の花

言葉を交わす余裕なく
六月晴れ渡る梅雨入り前
紫陽花の ....
1.
ふたりが出会うしばらく前から
世界は始まっていた

ナイトフライト
夜の音楽

夜明けのおそい
鉄色の街へ
翼に乗って君に会いに行く
雪解け水を湛えた深い森の
ビリジアン色 ....
庭でだいこんが生えそろっている
白くみずみずしいだいこんが土に刺さっている
知っているか だいこんの葉っぱには青虫が
ものすごくよくつく ほんとうにきりがないほど
だから割り箸でそいつの青首を ....
美しい骸骨を持つ人に会った
美しい詩を書きなさいという彼女は
まだ陸地を夢見ている

昨夜から降りはじめた雨は
静かに庭を濡らしている
窓ガラスに群がるおびただしい水滴
しずくの一粒一粒 ....
手を
引っ張り続けるか
離すかの
あの話の結末
何が正解か知らない

夫婦で
右と左の
正反対の意見の
間にいる
わたしでいることを
どうしても
自分の子ども達に
経験させた ....
母が買い物から帰ってくる
わたしは床で死んでいる
そんなところで死んだらだめと母が言う
なんだか気恥ずかしくなって起き上がり
葬式はいつになるの などと話している
そうこうしているうちに親戚 ....
たどり着かない道を
ゆく足並み
きこえないほど遠くから
きこえないほど遠くへ
確率が宙返りしながら
期待値を歩き
僕たちは
生まれることと
生むことと
死ぬことだけを
しようとして ....
甘すぎる飲みものに
あまり遠くまで泳いで行けそうにない日
という名まえをつける

低体温というひびきに憧れなかった?
いいえ、わたしは
身体のとおいところが
ゆっくりとまわるようなめまい ....
古くてチープな映画だった

老年の男が安楽椅子に座り
目の前の暖炉と向かい合っている
解きほぐされた火の中で
男の古めかしい回想が揺れている
男はじっと暖炉を見つめている

一匹の蛾が ....
 ほら、たべものがよかったのかなわたし、おいしくできてるからわたし、ほら、軟骨はつやつやとしてみずみずしく、膝はつやつやとして夜に半月映るし、ほら、かわいい服とかかわいい靴とか、化粧品たち、小物たち、 .... 雨戸を閉めきった家が並ぶ
かんかん照りの通りを行く
夏の盛りの日中
打ち水のあとも乾いた道には
猫の一匹もいない
影ですら焼き付くよう
こんな時にどこからか
トロイメライが流れてきたら
 ....
雨が降らないうちに
えのころ草を刈りにきた
町外れの原っぱには風が吹いて
無数のえのころが揺れている
どれも丸々と太って
互いに体をこすりつけながら
刈り取られるのを今か今かと待っている
 ....
夜中に目が覚めて
屋上の鉄がさやさやと鳴り
滴りの下で
首を引っ掛けては結び
あやとりが永遠に
終わらないとしたら
どうする?
人かとも見える群れは腕を
どこまでも伸ばそうとして
川 ....
夏の立駐で
宙づりのア・ウェア

温度といい
風といい

リネンの海で
かわいく葬って
また、次
こそげおちていく
応じている
わたしたち

かそ
かすか
かすがい ....
つまりそういうことにしておこうかな)あっちこっちで閉じ忘れた括弧をあつめて閉じて廻ってみたりして)立派なカメラを持ってるくせに何もしないから)こちらからタイミングよく飛び込んでいかなくちゃならない)背 .... {引用=

 まだ肌寒い春の
 朝が
 ひかりのプリズムに屈折して
 すきとおっている

 とおくに海をのぞむ
 住宅団地の縁をめぐる遊歩道を
 愛犬といっしょに回遊しているとき
 ....
ずっしりと垂れ下がる雲
光を覆い隠して、まるで
世界の終わり、みたいだ


窓ガラスに流れる水滴を数えてた
何度も間違えては
適当な数字からやり直してる
だから、でたらめ


そ ....
川が かろやかに ながれている
人々は みな
黒い衣装を着て
積み重ねてきた色とりどりの思い出が
しずかに ながれていくことに 心を寄せている

美しい心でありたいと焦る日々を埋葬し ....
{引用=現代狂言}
般若(シテ)、男


男   母上様、母上様。

般若  なに用。

男   それがしの願いをお聞き下さいますか。

般若  事と次第による。

男   薄 ....
町の人は言った
「女の子は宝石が好きなのよ」

今日も行商人の男が
小さな宝石を売りに来る

娘たちは彼を囲み
一つ一つ宝石を手に取って
ため息をつきながら
金持ちが買って行くのを見 ....
抽象的なモデルを造って
それに基づいて
世界を理解しようだなんて
僕は全部無効だと思う
思い上がりも甚だしいよ
現実はそんな簡単な・・・・

ゴチャゴチャ言わないで
痩せろや!
どっ ....
お部屋の外の漆黒に
銀のスプーン揃ってる
少女は絵本を抱きながら
ちっとも読まずに泣いている

今夜はきのうと違う宵
だけども少女の時計では
背丈の伸びに判をして
こころの伸びには封を ....
なべなべそこぬけ
そこがぬけたら 
つながれた両手のうちのどちらかを
くぐる
ふたり一組になって遊ぶこともあれば
大人数で輪になって歌いながら
そこがぬけたら そこぬけに笑う  ....
                   
厳寒のなかで花は枯れることができない
雪をかぶり凍てつきながら
己の色を発し続ける
夢見るように

生きることと
夢を見ることとは違う
 ....
聴きたいのに凪いでいる夜
風よ
うたってよ

聞きたいのにきみの声
どこへ行ってしまったの
いつかの空の白煙に乗って

しん、としたまま白んでゆくのか

灰紺色の星のまばらな
 ....
て何だ
ガソリンスタンドはこればっか
客に手を汚せというのかしら
石油の匂いは嫌いじゃないけど
まどっちかゆーと愛してるけど
可燃性危険物がボタボタ垂れるレバーハンドルを
何で金払ってまで ....
そこはいつも夏だった
降りしきる雪
枯れずに凍るひまわり


雪には構造がある
対称は
一瞬で
駄目に
なる
その分生まれる
土を覆いつくすほどに
それが耐えられない

 ....
からだを波のようになびかせて
白いあわだちをむかえる
いくつもの永遠が閉じこめられる

かつて少女だったすべての女性たち
かなしみを取り込んだなめらかな体に
くちづけをするとき
 ....
無いものが
楽譜の床を舞っている
壁のなかに踊るもの
羽に逃れ 曇を巡る


夜の山のむこうから
横顔が昇りくる
黄色に巨きく
振り向きながら 巨きく


泡の ....
     鳩子よ

     おまえが生まれたのは寒さの残る
     春と呼ぶにはまだ早い季節だった
     忙しさにかまけ、放置していたベランダで
     気づいたときに ....
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