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最後の人間が死んで
機械たちはこの地球を去った
残された都市を歩いているのは
ゾンビの群だけだ
あんなに瓦礫を積んで
何を探しているのだろう?
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望遠鏡を覗く ....
真っ赤な花が白い雪でくすんでいる
赤が赤になる前に白がそれを遮り
白が白になる前に赤がそれを遮った
花と雪とが小さな組合を作り
花が風景を焼き過ぎるのを雪が消火し
雪が風景と睦み ....
いくら死人に口なしと言ったって
死んで間もない死人はそっとしておけ
代弁なんて口寄せじゃあるまいし
死んで間もない死人をパペットにするな
祭り上げるな自分たちのために
理想の英雄に仕上げるな ....
手の中に
一枚のレコードがあって
そこには懐かしい音がある
久しぶりに
そっと耳を当ててみる
流れてきたのは
後悔のメロディーだ
ひとつも
うまく言えない気持のする
2月
ぼうと立ったまま
こころのなかで
頁を繰って
見つけます
いとしいかわいいやつら
あなたはもうあなたになりましたか
森の手前でと ....
空に向かって伸びてる道を
僕は一所懸命歩いていた。
歩いて歩いて歩いて歩いた
いつか空に着くもの
と信じて。
歩いて歩いて歩いて歩いたが
空は全然近よってこない。
そればかりか
空 ....
終わったと思っていたことが
何度でも返ってくる
時代がふいに変わっていって
時間切れのベルが鳴ったから
時の中に置き去りにして
綺麗な空に吸い込まれた
終わったと思っていたことが
何 ....
あなたが好きだったものを食べるとき
こけた頬の凹凸と
「水が飲みたい。水が飲みたい。」と
湯飲みを差し出した事を思い出します。
「いただきます。」と手を合わせ
皿の上のも ....
去っていく人よ
あなたの最後のまなざしは誰に向けられていたのか
私への教育の際いつも注がれていたそのまなざしは
それは私を突き抜け、あなたの家族も突き抜け
誰にも捕捉されない自由な原っ ....
真冬のリビングに
玉葱の皮がひらり
落ちている。
昨夜、
母親が手探りで
カレーかポトフーを
つくろうとしたときに
すり抜けたのだろう。
*
浴室で、
....
光の結び目に降る雪は
まだ永い夢を食べている
砂が敷きつめられた部屋を
風がひとり歩いてゆく
黒に黒を足して樹々になり
額の端のついばみを数える
銀から蒼へ至る ....
ひとは、これほど醜いのか
愛は、これほど弱いのか
ただ祈るしかないのか
※2005.7.7 ロンドン同時爆破事件の日によんだ詩
今、一度
冬の蛹が、
春になると、
蝶になって夏に舞う。
心のなかは、
なにもなくなって
風が吹き抜ける。
それでも白いワンピースは
新たなる期待を孕む
生まれては ....
お前は世界中の視線の届かない場所へと
巧妙に自分の命を隠した
俺とお前はたくさんのものを交換した
情報や言葉や表情だけでなく肉体や精神にいたるまで
だが交換が命にまで及ぼうとしたと ....
冬の小窓から
零れる ピアノの音
ファの音は寂しくて
シ♭の音はすれ違う
声を出すのはこんなに簡単なのに
気持ちを伝えるのは難しい
触れ合えば
なにか変われる
....
外葉をめくったら
白い小さな亀がい
て、脱皮直後の未
防備ゆえのその純
真な甲羅にしばし
じいっと魅入る、
命あるものはみな
平等にそんな生ま
れたてがあった。
....
雨の日に、僕は雨粒の音を数えている。僕が数えられるよりももっと速く雨粒は降ってくるし、遠くの雨粒の音はよく聞こえない。それでも僕は雨粒の音を数えている。自分の感性の平原、その静寂に一番響く ....
緑色の雨が降りしきる
世界が寝静まる夜更け
聞こえない雨音の
ひどく透明な反響
苔はひたひたと眠る
緑色の雨に抱かれて
眠れない誰かさんの代わりに
私はハーブティーを淹れ
....
はじまりのまりを蹴りました。誰も傷つかないよう、わたしがきみをよびよせるたび、わたしは嘘つきになって、きみがきみのいるところだけが透明になってゆく。テトラポッドは波しぶきをくい止めて。非常口のひか ....
真夜中
に何度も目が覚めた浅い眠
りと眠りの合間に呼び鈴が
かすかに聞こえたんだこん
な時間に宅配便ですのお届
けものは封を切ったら一斉
に飛び立った羽ばたいた部
屋中 ....
書き写したいことが
夜の中核を担っているときは
和紙に目をつぶり
水でうっすらとなぞってみる
見開いた視野の右隅に波紋
その理由を生きることに託した
一途に一途にと朝は求めるけ ....
まよなかに目覚めて
眠れなくなることがある
ピストルでも撃とうと二階へ
ぼんやり階段を昇っていくと
どうしたことかいつまでもたどり着かない
奇妙に思いながらも昇り続けると
いつのまにか階段 ....
千年先まで眠らせて
化石になったら好きになれるよ
プラスチックとインターネット
雪のむこうにある街の
電信柱とファミリーマート
化石だったら大事にできる
古めかしければ信じていられ ....
あなたが帰ってくることを
知っていた人がいる
昔の言葉で話しかけると
昔の言葉で応えてくれた
言葉が変わらないということは
思いが変わらないということだ
なぜなら言葉は ....
彼の仕事は予言者らしい
けれど寡黙な人だから
予言の中身は教えてくれない
窓際で涙ぐんでいるのは
悲しいことを察知したから?
血相変えて外に飛び出したのは
大きな事件を察知したから ....
セメント
トマトを纏う
タウン
マウント
ビルボード
満月の痙攣
満月が痙攣している。さまざまな会社のさまざまな文庫本が
君の名前を模した海岸線。
私がzipをダウンロードしたばか ....
二つの影は風となり、二人を囲んで舞い踊り、
肌の匂いや、軽やかなステップで
踏み拉かれた花々から立ち昇る香りと混ざり合って、僕は、
虹が崩れる音を、初めて聞きました。
生い茂る木々は一様に ....
移りゆく事象に
普遍性を見出そうと
あなたは時を凍らせた
記憶という名の冷却剤で
汗ばむ肌に下着を貼り付け
冷えた板張りの床の上
道に迷った子供となって
膝を抱えて座 ....
空から
炎の羽根が
撒き散らされ
地上は荒野に成り果て
雲は蒸発してしまった
大地の肺腑が開いた亀裂は
地核を刺し
噴き上げる熱気が
空と大地の狭間を押し広げていく
痩せこけたサ ....
立ち昇らせなければいけないんだよ 僕の世界を
主に届くためには
そらの果ての向こうの裏側までも
あなたの空想など とうに破らなければ
決して完成させてはいけないんだ
....
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