すべてのおすすめ
こんな日曜はめったにないから
いつだって
口を開けているのは月曜だから
目を閉じて口笛を吹いている
僕は思った
先日死んだ画家のこと
同僚に贈る水色のネクタイのこと
バスで旅する芸人のこ ....
わたしたちはそれを知っている
わたしたちはそれについて知らない
刈り入れたものを幸と不幸に仕分け
四角四面の境界で善悪のチェスをする
しかも恣意的に
晴れた日に傘と長靴で出歩く者への嘲笑 ....
ひと足の途絶えた
深夜の商店街
わずかな気配にも
センサーが反応して
ひとりでに機械が喋りだす
イラッシャイマセ
パネルノ番号ニ、シタガッテ
操作シテクダサイ
番号 ....
紙を折ると
斜めの方へ
出てゆこうとする
かすかな影
影は影のまま雨になり
花に触れ また影になる
暗がりを映す水
時計のような足跡
光の点が
沈まず ....
今日は平日
お別れした日
途方もなくて
言葉が上手く出なかった
星空が澄んでいて
呆然と眺めていた
しゃべれないけものみたいに
あまりにも
痛かった
いたかったの ....
みんな崖っぷちが
嫌いかと言うと
そんなことはなくて
大横綱双葉山は
まだ駆け出しの頃
土俵際に押し込まれてからの
うっちゃりを得意としていたし
かのモハメッド・アリは
自分からロープ ....
庭の片隅にある金柑の木
棘の生えた枝の先に
その日もイモムシがいる
太い緑色の胴に
胸には眼の黒丸
突っつくとオレンジの角が
にゅーっと
その日もイモムシがいる
イモムシはじっ ....
アパートの一室に
紳士が帰宅する
革靴を投げ捨てると
ガポッと悲しい音がして
玄関に落下する
男は風呂場の蛇口を捻る
じょぼじょぼと
悲しみがあふれ出し
すぐに浴槽はいっぱいに
そこ ....
チェルノブイリの廃屋を棲み家としているウサギコウモリは
汚染された虫を食べ続けたため
今日もキラキラと放射線をはなって飛んでいく
立ち入り禁止区域の放置された井戸から自然のサイクルは断ち ....
※
えぇ、ご指摘の通り、これはシベリアンステップの凍土に眠る名もなき独逸の冒険家が手首に巻いていたスカァフです。それはさておき私の話をまずお聞きなさい。
※
一小節、まだ ....
ふるさとに
おきゃんの香する
おもかげありて
おとさんが
「めんこい花だ」
といいました
きこえた声は
「いちばんを
心をこめて
うたいましたし
....
アミマは十三歳の少女
人口百人足らずの
山奥の村に住んでいる
学校には行かず
というか学校はなく
日中は家の仕事を手伝ったり
弟や妹の面倒を見て過ごす
楽しみといえば
時折ラマの背に乗 ....
あまりもう
友達と呼べる人はいなかった
私はひとり
同世代の家族連れと すれ違う
無印良品には
いつもと変わらない商品
来るべきではなかったと思わされる
いつものアーケードの人混 ....
会いたい
少数民族に
どんな衣装を着ているだろう
どんな髪飾りしているだろう
どんな夕食を食べるのだろう
どんな子守歌うたうのだろう
どんなけものの背中から
どんな朝日を眺めるだ ....
小爆発しながらでないと
わたしの日々は動いていかない
(しらないあいだにも)
母が消えてくれたらいいのにと思った
そんな自分を恥じなかった
だけど越えられたなんて自信は
も ....
誰も愛さないと決めた日
たくさんの人に配分される
予定だった気持ちは
不良債権となって
自己中の缶詰に詰め込まれ
開けられるのを待っている
虫の声しか聞こえない
真夜中の部屋で
僕 ....
五月の風の透明さ
雨上がりの石畳のにおい
雪の朝の静寂
足元をさらう波の清廉さ
出発前夜の胸のざわめき
日曜午後のあきらめにも似た安らかさ
わからなすぎる夜の身もだえ
泳いだ後の満たされ ....
最後の日は何をしよう
例えば地球最後の日が来たら
特に泣く事もなく命を惜しむ事もなく
普通にただ1日を過ごすんだろうなぁ
最後の日なのに
最後の日は何をしよう
今日は23歳最後の日
最後 ....
一人前 たまご三個は使いたい
これは食べ盛り男子向きなのだ
たまごを割ってボウルに入れ
醤油をたっぷり入れる
過ぎない程度に良く混ぜる
どんぶり飯に乗せて食べるのだから
しょっぱいくらいが ....
心地良い朝を吸い込んだら
迷子のオキシダントが
途方に暮れているのが分かった
悔しすぎて歯軋りしたら
心配性のフィブリノーゲンが
身構える気配を感じた
本当を言い当てられて黙っ ....
「ほんとうは何処にある?」
探しても見つからない
探し続けるためには
生きねばならない
だから仕事につき
いつしか妻をめとり
まもなく子が産まれ
ようやく家を借り
中古車を譲り受け
....
古色まぶしい
郷愁の地に
歴史と風雨を
たえぬいて
今もなお
多くの涙が
あるのでしょう
子どもらは
幾つに
なりましたでしょうか
孤独に歩み
すすめたことも
....
要らない人間に
選ばれると
赤い色の車が
家の前に止まり
赤い服を着た
屈強な男が数人
家に乗り込んできて
要らない人間を
力ずくで連れだそうとする
要らない人間は
何のことだか分 ....
リングが落ちていた、眩しい雨上がり。慌てん坊さんは何処?
渾天(そら)から
天使(エンゼル)の
立琴(リイル)
光輪(降臨)
掌(たなうら)に
馨り(パルファン)の
香 ....
カンカン照りの夏の日に
黒いペンキが捲れてた
露出した鉄の赤錆を
ぼんやり見つめる
ころがり落ちた
階段の下から
目覚ましが
遠く鳴る
リリリ
リン
リ
すでに
取り返しが ....
あぁ 声を出せば 空に溶け
取り戻す術を 僕は知らない
芝生に寝転び 眠ろうが 嘆こうが
空の青が 濁る事はなく ついつい安心してしまう
大きな葉の表に そんな一遍の詩を 書き記してお ....
雨、いつも待っている、
雨、いつまでも人を殺せない、
雨、いつか風邪を引いた私の、
雨、手の届かない、ところが常に、痒い、
痒い、痒いんだ、前歯の裏あたりが、前頭葉の祖語が、
優しかった祖母 ....
肉屋の軒先で 雨宿りしながら
ぼくはグラム398円の値のついた
ショーケースの中の
肉の切れ端を見ていた
タバコに火をつけた
ヘンドリックが
食肉になって
....
父の衣服が
風も無いのに揺れだした。
一人でうずくまる東京のアパートで。
死の間際
僅かな体力と精神力を右手に込めて
「お父ちゃん。お父ちゃん。」と呼ぶ娘たちの両手を
ほんの少しず ....
紙の実が地に落ち
音にまみれる
土ぼこり
鳥の声
水の庭
鳴りつづける標
海へ 海へ
蒼は岩をすぎる
百合の耳の子
息つく間もなく染まる羽
何も ....
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