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1.
流星群のニュースを眺めながら、キッチンテーブルにほおづえをついている人。
窓の外は曇り空。明日は雪の予報。その涙がはやく乾きますように。
映画館のロビーで、美しい少女が
父親といっし ....
いいえおじさん心の
じゃなく
心は闇なんですおばさん
そこに光は射すでしょう
頭蓋骨の中
風さえ入って来るでしょう
明るい気分が領します
色彩がこぼれ温度がながれ
音声がはずみ意味がお ....
今年は喪中の葉書が多いねと
年賀状を印刷しながら姉が言う
時々色を滲ませながら
古いプリンターがウィーンと動いてる
すこし早めのクリスマスケーキを切り分けて
マシュー・マコノヒーの映 ....
前にテラリウムが入ってた二段目のひきだし
あいたんだ陽に当てようとして風の強い日に
窓辺でひらいておいたらレースのカーテン風
にひらひらして棘からまってバラなんかじゃ
なく多肉植物の棘々がひっ ....
形を無くそう
手に手を取ったなら
千切ってしまえ
ところで
今日のおまえはやけに笑うね
窓越しに光を含んで
飴色にぼやけだすんだ
そこにいるのか
不安になって
唇をなぞれば
相変わ ....
待っているうちに、
背筋がちりちりしてきた。
正面の壁には食屍鬼の絵。
出されたコーヒーはいやに薄くて、
いつもは入れない角砂糖をひとつ落としたが、
ぜんぜん味がしない。
窓のむこう風がフ ....
二つの都市
二つの身体
帆船は消え去り
影が残る
壁だけが
いつまでも熱い
切っても切っても
生えてくる爪の羽
ぬくもりの終わり
雨の終わり
寒さの培養 ....
海がみえたあとは
歯のかけた歌だけきこえた
ぼくをわらっていたのだろう
あなたがここにいたなら
朝靄のなか、踊りながら
「もしも」や「けれども」を蹴ちらしなが ....
異国の空を飛翔する一匹の竜の軌道に同調して、その大樹の枝の一本は静かに幹から伸びていった。枝の数は竜の数。竜の数は異国の数。無知な子供が遊びでその大樹の枝の1本を折れば、一匹の竜が、人知れず、異国の荒 ....
質量のないさかなの群れが
雲の上をすいすいと泳いでゆく風景をわが子と見ている
色彩の細道にちいさく咲いた花々の
枯れゆく姿を眺めては何か言いたげに顔をこちらに向けるね
夜に月が浮か ....
バイトも週二日で、この春休み、お前は勉強もせずに何をやっているのかって?あのね、笑わないでくれよ、僕はね、詩を、詩を書いているんだ。なんで僕は詩なんか書いてるのかな、大学も三年生になるのだから、詩なん ....
「ようやく」
女の子の目蓋はどこまでも この丘に取り残されて馬と
落ちていく女の子の目蓋は 羊は交尾を始めるのだろう
どこまでも落ちていく2か か乾いたパンの形の雲と乾
ら1が引かれ ....
君がもしもシンデレラなら
うっかり者な僕はガラスの靴を
うっかり落として割ってしまうだろう
君がもしも白雪姫なら
悲観的な僕は涙に溺れて
君の隣で溺死してし ....
無限大をよこちょにかぶって
生真面目な顔して散薬を調合する
あるいは坩堝をかきまわす
半分だけ金に変わった銅貨が
あなたの夢想を具現する
それが真実の科学の結婚で
あなたの欲するも ....
私を分解していくと最小単位になる
例えば指先で
それは今も起こってる
人間の淡い輪郭
手をつなげば数千兆の電子が移動する
水溶性キネマ
記憶の階段を一段一段昇るたびに
潮のように満ちてくる
おじぃちゃんの机のうえには
馬の毛
たぬきの毛
頬にやわらかいリスの毛
お米にも描けそな ....
きらめく街に二重映しに
廃墟が黒々と微笑んでいる
何からの自由 何への自由
星が降る 壊れながら降る
その欠片が傷つけてゆく無数の意識
何からの覚醒 何への覚醒
君はいつ泣いていた ....
垂れ下がるこうべ五十数個、
効きの悪い空調がため息と空咳を掻き回すのを不可動式の椅子に座って眺めた、
ノートと感度は真っ白け
夜光心理学概説b/後期金3
蛹谷 空二郎
隣のヨシザ ....
冬
誰もが道行く姿に目をみはった
くすんだ家並の下町
それは何よりも奇異に映えた
女は山の手の私立病院に通う
病人ではない、看護師で
給料とボーナスを貯めて八年
恋人のひとりも作ら ....
泣きはらした顔を凍らせたいのに
きれいな星がぼくのそばに
どんどん墜落する夜で
つちぼこりが目に染みる
感受性を死守したいだけ
ぼくの左胸に生える樹も
切り口からどろどろと泣いてい ....
乳母車を押して
雪道を祖母が
駅まで迎えにきてくれた
ずっと昔
汽車は忘れるほど駅に止まってたもんや
毛糸玉がだんだん大きくなっていく
古い服が生まれかわって
新しい冬を越す
ぼくの記 ....
長い陣痛から産まれた
奇形の言葉たち
これは
鈍色の羅列
亜麻色のロマンス
可憐な夢夢
愛おしい白痴
醜さを仕事にする詩は
まるで人間のよう
はてどう説明しよう
だれも ....
健さん
坊やには雪駄が要るのでしたよ
とうに廃れた503
そんなものをいまだ穿き
巨乳のアルビノを抱きたがるくせ
面やつれのお杏さんを探している
かほどに行き暮れているのは
待ちあぐ ....
イモリと ヤモリ 何が違うの?
何度かの 掛け合い
イモリは 両生類だから 水辺に居るの
そして お腹が 赤いんだって
だから 庭園に居るのは ヤモリなんだよ
どうして イモ ....
扉をあけると影が廻る
壁を舐める火が径を揺らす
空が巡り 落ちてゆく場所
行方と行方が重なる場所
冬の帽子
両腕をひろげ
花を呼んだ
名前ではなく
かた ....
窓が溺れている
僕らが雨に気づくまえから
窓が溺れている
灯りを消して微睡むときも
窓が溺れている
ひっそりと溺れている
カーテンのむこう側で
水面もなく 海底もなく
....
妖精の産卵は瞬きしてる間に済んじゃうから
スミレ
青い花の
雨が産毛を撫でたら
水滴はダイアモンドのよう
文脈はこわいんだ
心象のアルペジオ
街に降り立てばビニール傘が
しろい灯をあびて泡立ってる
一秒迷って そのまま あるいた
いつも他人の水を掬っていた両手に
排気によごれた透明なしずくが寄り添う
僕のからだは重い ....
様々な矛盾が、私の森で、死体を漁る夜。腿に切り傷を、CDに回転を。サイコロの目が開いては閉じて、0から6を行き来している。僕はウトウトしながら、君の名前を呼んだ。だからきっと、どこかのアパートで、肉体 ....
電子でも
高音でも
もうなんでもいいから めの奥に巣をつくる泣きたがりを焼いて
みつめる画面が放つ頭痛と
どーにもならんただここにいる俺嫌
いらない
そんなことな_
....
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