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【 流石の沢蟹】
沢蟹は、歩く
沢を 歩く
さわさわとした沢を歩く
沢蟹も 花見をする
タンポポの花が 咲いている
その花弁を
器用に 切り取り
....
「ハイジのおでこはアールデコ」
塾に行く子供たち 電車を待ち
丸い おせなで ゲームする
一番線に 白ヤギが紛れ込んでいますご注意ください
満員電車の中で みんな気付きません
二番線に ....
【閂は開かれる】
閉ざされた記憶の門のかんぬきが
思いがけない方法で開かれることを 私は知った
たとえば 少女の髪にあったリボンが
ほどかれた瞬間に急に大人び
何かを失ったかのような遠い ....
水溶性キネマ
記憶の階段を一段一段昇るたびに
潮のように満ちてくる
おじぃちゃんの机のうえには
馬の毛
たぬきの毛
頬にやわらかいリスの毛
お米にも描けそな ....
そらが ぬけて
やまが 切り取られたかのように くっきり
やまぎわの空はしろく 天頂は限りがない
あきいろの あかねは
だ円のつぶらな目で ぬけたそらをみている
なんて ....
忘れられないのです
満月の夜に
海面が砂金のようでした
星々は だまって それを見守ってました
海蛍です
しずかに群れはじめ
そっと
この足首を
群れの真ん中に沈め
かるく ....
雹かな?と思ったけど、シラウオだった
晴れマークの天気予報が
小魚が 朗らかに ピチピチはねて
アスファルトの下で壊死していた イノチも復活
死者だって降ってきて 必死に飛び跳ねて ....
川が かろやかに ながれている
人々は みな
黒い衣装を着て
積み重ねてきた色とりどりの思い出が
しずかに ながれていくことに 心を寄せている
美しい心でありたいと焦る日々を埋葬し ....
なべなべそこぬけ
そこがぬけたら
つながれた両手のうちのどちらかを
くぐる
ふたり一組になって遊ぶこともあれば
大人数で輪になって歌いながら
そこがぬけたら そこぬけに笑う ....
1.ゆきんこちゃん
段ボールに書かれた 真っ赤に書かれたクレヨンの暖炉の炎には
ぱちぱちと
もえる友情が燃えていた
おともだちの ゆきんこちゃんは 五年生で
なふだにも ....
前略 神社の境内のながい石畳の階段を歩いて きずきました
わたくし カドウ域フェチなのでございます
鳥はイキモノの可動域を知らせてくれる
「愛(う)い奴 もちと 近こうよれ」と おもうほ ....
さしだされた 日差しに
両手を広げ
思い出を 手放す
記憶にない私の産着
世紀を飛び越えて 目の前にある紋付袴
晒された金襴の帯 鯨尺の和裁版
沈没しても浮上する船箪笥 ....